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Action Comics #12

アクションコミックス #12
(作:グラン・モリソン 画:ラグス・モラレス)

最近、紹介してなかったのですが、今号の展開に度肝を抜かれたので紹介。

***********
ニムロデ・ザ・ハンターは狩りで培った神業的追跡術を応用することで、「カンザスに落ちた宇宙船」、「カンザス出身の記者クラーク・ケント」、「スーパーマン」を一本の線で繋ぐことに成功する。
ニムロデの襲撃自体は退けたものの、自分の正体を容易く見破られたことを重く見たスーパーマンは、クラーク・ケントとしての人格を棄てることを決意。
衆人環境の中でクラークがテロに巻き込まれたことを幸いに自らの死を偽装、新たに消防士ジョニー・クラークとして、他人とは極力関わらないように孤独な生活を始める。
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その後クラークの死を知った友人たちの嘆きに接するうちに、自分の選択に疑問を感じ始めたスーパーマン。そんな彼が相談を持ちかけたのは、自分とは違う意味で、ヒーローとしての信念のために、人としての生活を捨てた男、バットマンであった。
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相談を受けたバットマンは、後日、スーパーマンにそっとUSBメモリを渡す。そこには、クラーク・ケントの発表した記事とそれが社会に与えた影響がまとめられていた。

スーパーマンとしての活動に負けないくらい、クラーク・ケントが多くの人々を救っていた事を知ったスーパーマンは、クラーク・ケントに戻ること決意。クラークのよき理解者であり、ことの顛末の一部始終を知っているアパートの大家さんに相談を持ちかける。
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大家さん:本気なの?みんな、あなたの葬式にまで参加したのよ?
クラーク:うーん。。。スーパーマンがボクを救ってくれていたとか?
     それでもって、ボクは死んだふりをする必要があったんだ、理由は、、、えーと、、、
大家さん:誰もそんな言い訳信じるわけないでしょ?みんなあれほど悲しんでいるのよ?
     そんなことをしたら、誰もあなたを許さないわよ。

クラーク:クラークはスーパーマンと同じくらい人々を救っていた。どうしてもクラークに戻る必要があるんです。
大家さん:・・・しょうがない、私がみんなの記憶からクラークの死を消すしか方法はなさそうね。
クラーク:なんだって?
大家さん:私だけが、あなたのやらかしたことを、取り消せるの。
     私は51年前、この世界に赤ん坊の姿で現れた。あなたを助けるために。
     私の名前はNYXLYGSPTLNZ。

クラーク:すいません、もう一度いいですか?あなたも実は宇宙人だったとか言わないですよね?
大家さん:いいえ。私の生まれはここよ。ただ、あなたが見ている私は、私のごく一部にすぎないの。
     私の大部分は、数学的により高次の次元に存在しているから。

クラーク:いったい、何が起ろうとしているんだ?
大家さん:とっくに起こってしまったの、あなたの両親が亡くなった時から、
     嫉妬に狂った男がジルフーの迷宮から逃げ出し、私の恋人MXYZPTLKを傷つけた時から・・・
大家さん:あなたの愛するもの全てが危険にさらされている。でもまだチャンスはある。
     VYNDKTVX卿の魔の手が迫っているとしても、まだ希望はあるの。

クラーク:?(絶句)

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***********

なんかもう、超展開すぎる。はじめ大家さんの台詞についていけず、誤読かと思って、3回くらい読み返してしまいました。
Mr.MXYZPTLKをはじめとする5次元人がギャグキャラとしてではなく登場するのを見るのは初めてですよ。
そして、今回、存在が明らかになったスーパーマンに嫉妬する悪の5次元人「VYNDKTVX卿」は察するにこいつですね。
[アンチ・スーパーマン・アーミーの首領として]
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[#1ではグレン・モーガンの取引相手として]
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[あるときはメトロポリスのバーのバーテンとして]
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アンチ・スーパーマン・アーミーのリーダーにしては、ずいぶん腰の軽い印象だったのですが、トリックスターである5次元人と思うと納得です。
(ちなみにこの小男#1から登場してます)

あと外せないのが、ケント夫妻が死んだのも、VYNDKTVX卿のせいであるということ。「あっ今回は死んでる設定なんだ。」と流されていたケント夫妻についても、今後、一悶着ありそうです。

と、一気には盛り上がってきたアクション・コミックスですが、ライターであるモリソンは#16で離れ、しばらくスーパーヒーロー物から距離をおくようです。
#16というと、次号が#0であることを考えると、残りTPB一冊くらいの分量なのでそこまで尻切れトンボにはならないと思いますが、なんせモリソンの張った伏線が膨大でして、ぱっと思いつく限りでも、
・アンチ・スーパーマン・アーミーのメンバーの正体
・地球へ進路を取った群生宇宙生物
・”最初のスーパーマン”と彼が語った"オールト・キング"について
・5次元人によるスーパーマンの人生への介入
などがあり、とても残り5号で消化できると思えませんね。

これらの伏線がどこまでモリソン自身の手で回収されるか判りませんが、なかなか魅力的な伏線も多いのでうまく後任に引き継いでくれないかなと思います。

【バットUSBメモリ】
今回、バットマンがスーパーマンに手渡したUSBメモリが当然のようにコウモリ柄で笑える。
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しかも、なぜかパソコン無しX-RAYビジョンのみで、保存された文書を読むスーパーマン。
やっぱり頭のなかで、0と1の羅列をコード変換してるのかな?
バットマンもせっかくバットUSBをつくるなら、暗号化機能くらい付ければいいのに。。。
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非公開コメント

No title

モリソンは面白い物と、ガッカリさせる物の、当たり外れの落差が激しいですね。NEW X‐MENとか、最近の邦訳バットマンとか・・・。

No title

>>サイ吉さん

もしかして、私の書き方で誤解させてしまったかもしれませんが、私自身は今回の展開についてはかなり好意的にとらえています。
正直、ブレイニアックを倒してから多少低調だなと思っていたのですが、一気にテンションがあがってきました。

モリソンはなんというか、ヒーロー物の王道を得意とする半面、その王道にさらにひねりを加えて読者を煙にまくのがすきというか、なんとも捉えどころのない作家ですよね。

No title

今回のこのシナリオは面白いですよ、久しぶりに大当たりです。
過去にグラント・モリソンのハズレだった話は、NEW X-MENで仮面を取ったら素顔がマグニートーにソックリだったり、ジーン・グレイを殺したり、DCではドゥームパトロールで、チーフが妄想に取り憑かれた話があって、モリソンは悪い方にもインパクトのある脚本も多いんですよね。
引継ぎが難しく、他の脚本家が苦悩する、イジり辛くて消化が困難な伏線もありますよね。
プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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