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バットマン#101

バットマン#101
(作:ジェイスム・タイニン4世、画:ギレン・マーチ)

ブルース・ウェインの資産を合法的に我がものとし、ゴッサムの財力・権力・暴力の全てを支配したジョーカーによる統治。
イベント『ジョーカーウォー』で描かれたその事件を終えたゴッサム市は、ジョーカーの残した爪痕からの復興の道を辿っていた。

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そしてそんなゴッサムの全てを見下ろす高層ビルのペントハウスには、謎の人影と戦うバットマンの姿が。
闘いの相手はコール・キャッシュ。生身の人間ながらこの世界有数の傭兵"グリフター"として恐れられる男である。

互いの体術の限りを尽くして死闘を続ける"世界一の探偵"と"世界一の傭兵"。

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ルーシャス・フォックス:キャッシュ、止めたまえ。彼が来るかもしれないことは伝えておいたはずだ!
グリフター:すまねぇ、忘れてた。というか、「奴とやりあったことあるぜ」っていう武勇伝が欲しくてな。


ルーシャスの制止に悪びれる様子もなく、構えを解くキャッシュ。

バットマン:あの男をボディガードを雇ったのか?
ルーシャス:知合いですか?
バットマン:自分自身をグリフター(詐欺師)と名乗る様な男だ。
ルーシャス:彼に払っている額を考えれば、納得の名前だ。
ただボディーガードの1人も雇いたくなりますよ、あなたの彼女が私にしでかしたことを考えれば。


バットマンを連れて愚痴りながら階段を降りていくルーシャス。
階段を下りた先は、豪勢なペントハウスの一部を改築したゴッサム最新鋭にして最高層の研究室であった。
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実は『ジョーカーウォー』で奪われたウェイン家の資産がキャットウーマンの手で取り返された時、複雑な事情により、その資産はブルースではなくルーシャスに振り込まれ、フォックス家はゴッサム1の資産家となったのだ。

研究室に腰を落ち着かせたルーシャスは、ブルースに現在の状況を淡々と説明する。
・バットマンが密かに街中に配備していた(そしてジョーカーに奪われた)武装の出資者がブルースであることを、世間は重く見ていること。
・そのため、ゴッサム再建計画をウェイン社が進めるためには、ウェイン社がブルース・ウェインと手を切ったことを世間に示す必要があること。
・ウェイン社の役員会は、十分な金額と引き換えにブルースから経営権をはく奪する方向で検討が進んでいること。
・今回の事件で、(いまやルーシャスの物となった)ウェイン家の資産には金融の専門家たちの厳しい目が注がれるようになり、仮に資産がブルースの手に戻ったとしても、今までのようにバットマンの活動に注ぎ込むのは実質不可能になること。
・上記の事を認識したうえで、それでも資産と経営権を取り戻したいならば、ルーシャスは協力を惜しまないこと。

つまり、ブルースに提示された選択肢は2つ。
1つ目は「ルーシャスから資産と経営権を返してもらい、ゴッサムの復興支援とバットマンとしての活動を諦めること」、
2つ目は「ルーシャスに資産をあずけゴッサム復興支援につくしてもらい、自分はバットマンとして活動すること」。

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ルーシャス:これはあなたの家族の会社と未来についての選択です。どちらを選ぶにせよ、私は全力でサポートします。
ただよく考えてください。確かに資産を受け取らなければあなたに向けられる監視の目も和らぎ、バットマンとして活動できる。
でもそれは"よりスリムなバットマン"としてです。
宇宙船も人工衛星もなし、バットモービルをウェイン社の最新3Dプリンタから出力することもできません。
もし車を壊したならば、その時は自分で直す必要があるんですよ?

資産家としての生活と、クライムファイターとしての生活。2つの選択を突きつけられたブルースは、事も無げに答える。
バットマン:ならばもう答えは出てる。


ルーシャスとの会話を終え、再び屋上から立ち去ろうとするバットマン。そんな彼にグリフターが声をかける。

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グリフター:さっきの件、恨んでないよな?スパーリングだったとでも思ってくれや。
バットマン:……お前のボスに言伝がある。
グリフター:おいおい、俺のボスとはいま話してきたばかりだろ?


とぼけるグリフターを無視し、バットマンはグリフターの"本当のボス"への伝言を残す。

バットマン:私はHALO社の正体を知っている。
そしてもう1つ。何が変わろうとこの街は私の街だ。いつでもお前たちの事は見張っているぞ。


*******************************

というわけで、今回はイベント『ジョーカーウォー』終了後のバットマンの状況を整理してみました。
一番最後に名前の挙がったHALO社とは、イメージコミック設立当時の看板チーム『ワイルドキャッツ』の出資会社の名前。
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今回のグリフター登場からも見て取れるように、どうやら来年はDCユニバースに編入以降いまいち影の薄かったワイルドストーム勢が次々と登場する雰囲気です。

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ちなみに、スーパーマン系列には、"ワイルドストーム版バットマン"ことミッドナイターが登場予定で、スーパーマンが"ワイルドストーム版ジャスティスリーグ"ともいえるヒーローチーム、オーソリティのリーダーとなるなんていう噂もあったりします。

またバットマン誌の今後を占う上で、もう一つの重要なキャラが、今号に登場したルーシャス・フォックスの3人の子供たち。
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フォックステック社の若き天才社長であるルークは、バットウィングとして活動中で、DCファンにはお馴染みのキャラ。
そしてその妹であるタムも、兄のサポート役としてよくに目にする名前なのですが、注目なのが長兄のティム・フォックスです。
ルーシャスの息子として1970年代に登場するもその後数回しか登場していない忘れられたキャラであるティムですが、2021年1-2月で行われるイベント『フューチャーステイト』では、近未来のゴッサムのバットマンとして登場することが確定。

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『フューチャーステイト』というイベントは、今後のDC各誌の展開(の方向性)を予告するような内容であるため、今後のバットマン誌においてもティム・フォックスが台風の目となっていくことが予見できます。
ここら辺、あえて読者にとって馴染みのあるルークではなく新キャラに等しいティムにその役割を与えるあたり、DCの自信を感じさせますね。
余談ですが、「フォックス家のメンバーを黒人初のバットマンとするという展開の脚本の出来が素晴らしいらしい」という噂は、昨年の冬あたりから様々なメディアで囁かれており、そういう意味でも楽しみです。


【宣伝】
今回した物語の直前となるバットマン誌のイベント『ジョーカーウォー』の単行本がこちら。
1冊目はバットマン誌で繰り広げられた本編、2-3冊目はその関連誌となっています。


続いて最近の翻訳本ですが、米国での大ヒットをうけすっかり"ホワイトナイト・ユニバース"を形成しつつある『バットマン:ホワイトナイト』の続編である『バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト』が1月に発売。今回はアズラエルやバットガールが登場!!
そして現在のDC正史世界の旗艦タイトルであるジャスティス・リーグ誌関連では、そのクライマックスである『ジャスティス・リーグ:ドゥーム・ウォー』が発売。『ダークナイツ:デスメタル』へと繋がる重要タイトルでDC世界の未来と過去のヒーローたちが集結するさまは一見の価値あり。
そして先日発表された嬉しいサプライズが『ゴッサム・セントラル』の翻訳。なんの特殊能力も持たず、職業的倫理観だけに突き動かされてゴッサムの狂人たちと戦うゴッサム市警の活躍を描いた本作。グレッグ・ルッカ(ワンダーウーマン)や、ブルベイカー(ウィンターソルジャー)といったハードボイルドな作風で知られる人気ライターが手掛け、非常に高評価な作品なのですが、とにかく地味なタイトルであるのでまさか翻訳されるとは。



また嬉しいサプライズといえばマーベルの『スーペリア・フォー・オブ・スパイダーマン1』。シニスターシックスを名乗る5人組のC級ヴィランたちが、マーベルユニバースの底辺で繰り広げるドタバタ劇がまさかの翻訳です。その評判だけ聞いていつか手を出したいと思っていた本作が日本語で読めるとあって、管理人はすぐさま予約しました。

またマーベルからは『チャンピオンズ:チェンジ・ザ・ワールド』と『ウエスト・コースト・アベンジャーズ:ベスト・コースト』の翻訳も発表。前者はカマラ・カーン(Ms.マーベル)やマイルス・モラレス(スパイダーマン)、後者はケイト・ビショップ(ホークアイ)やグウェンプールを中心とした、若手ヒーローたちのチーム誌。明るいキャラ同士の掛け合いが魅力のタイトルですので、そういうのが好きな方は是非!


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NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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