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ダークナイツ:デスメタル

ダークナイツ:デスメタル
(作:スコット・スナイダー、画:グレッグ・カプロ)

【地獄にて】
舞台は地獄、元々はセミッシラと呼ばれた場所。
それも"本物の"DCユニバース内の話。
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罪人たちから浴びせられる呪詛の声を浴びながら、ワンダーウーマンは"バットマン"の呼び出しに応えるべく歩を進めていた。

ジョーカー:よぉーワンダー看守。土方工事でもやってるのか?うるさくてかなわないぜ。
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何処からかくすねたであろう蝙蝠マークのサングラスをかけたジョーカーも、牢屋の中からワンダーウーマンに声をかける。
何も聞こえないかのように悠然と過ぎ去ろうとするワンダーウーマンだが、彼女に付き従うスワンプシングは血相を変えて、ジョーカーのサングラスを奪い去る。
スワンプシング:このマークを使うことは禁じられている。ダークナイトたちへの不敬を問われるぞ!

【ダークナイツ】
ワンダーウーマンが向かっていたのは、セミッシラの謁見室。
そこには彼女が忠誠を誓う相手、バットマンたちが姿を見せていた。
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やってきたバットマンは3人。
1人目はローブ姿の魔術師、バットメイジ。
もう2人目は未来からやってきたバットマン、ビヨンダー。
そして最後の1人はブルース・ウェインの意識をダウンロードされたバットケイブの恐竜ロボ、バット・レックスである。

3人の用件は2つ。1つめは彼らが連れてきた新たな囚人を、セミッシラの最下層にある深淵――タルタロス・ピットに幽閉することであった。
神々の監獄であるタルタロス・ピットを開けることに難色を示すワンダーウーマン。
そこにバット・レックスが咆哮を上げる。

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バット・レックス:命令に従え!お前の姉妹たちがどうなってもいいのか!?
ワンダーウーマン:二度と私の仲間の事を口にするな、爬虫類。
バット・レックス:爬虫類じゃない。私はバットマンだ!
ワンダーウーマン:では、そのちっちゃなお手々で、バッタランを投げるがよい。
バット・レックス:腕のサイズは適正だ! バッタランだって練習している。

軽口を返しバット・レックスを嘲笑うワンダーウーマン。
しかし、彼女もバットマンたちも分かっていた。バットマンたちの恩情にすがってしか生きられないワンダーウーマンにとって、彼らの命令を拒否することなど端からできはしないことを。

連れてきた囚人をワンダーウーマンに引き渡したバットマンたちは、2つ目の用件を彼女に告げる。
「嗤うバットマンがジャスティスリーグの集合命令を出した」と。

*************************************
というわけで、始まったDCの今年の大型イベントにして、DCリバース……いやNew52から続くDC世界の総決算である『ダークナイツ:デスメタル』。
今回はその登場人物を紹介しながら、このイベントの骨格を紹介していきましょう。


【嗤うバットマン】
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ダークマルチバースからやってきた、バットマンの能力とジョーカーの狂気を併せ持つ最凶のバットマン。
ジャスティスリーグとの最終決戦に打ち勝ったレックス・ルーサーを陥れ、ルーサーに替わり創世の地母神パーペチュアの第一使徒となる。
現在は、マルチバースに残された唯一の星である地球の支配者として、ダークマルチバースから連れてきた悪のバットマン軍団たちを束ねる存在。

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(ちなみにこれが現在の地球……というかDCユニバースの地図。バットマンの所有物のご多分に漏れず、蝙蝠の形。)


【ジャスティスリーグ】
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嗤うバットマンが地球を支配するために従えているヒーローたち。

ハーレクインはアーカムウェストランドを、アクアマンは艦隊司令として海上を、Mr.ミラクルはメガポリプスを、ワンダーウーマンは地下世界をそれぞれ担当している。
嗤うバットマンとパーペチュアに付き従うことで地球の生存者を護りながらも、パーペチュアが破壊したマルチバースを取り戻す起死回生の一手を模索している。


【バットマン】
嗤うバットマンとパーペチュアの魔の手から逃れた数少ないヒーローの1人。
"犯罪と戦い"という終わりのない戦争に身を置いてきた経験からか、ジャスティスリーグの他のヒーローと異なり、自分の手の届く範囲の人々の命を救う小さな勝利を愚直に積み上げていく道を選んだ。
現在はブラックリングの保持者として、死者たちを操り、嗤うバットマンにゲリラ戦を挑む。

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(バットマンが呼び出したアメリカ独立戦争を戦った兵士たち。そのリーダーはジョナ・ヘックス!)


【囚人】
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バットマン達が連れてきた囚人。
その正体は"世界最速の男"ウォーリー・ウエスト。
ダークマルチバースの乱れを修復する旅の果てに、全知の椅子メビウスチェアーと、あらゆる時制を同時に観測するDr.マンハッタンの力を得ることに。
これにより、現在/過去/未来の全ての時制の森羅万象を把握する存在となったウォーリーは、この世界の真実を知ることとなった。

【ウォーリーの語る真実】
DCユニバースには全ての事象の根源となる2つの力が存在する。
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1つは、スピードフォースや、感情スペクトラム(グリーンランタンのあれ)、ジャスティスが属する"結合(Connective)"。
人々の絆を結び付け、自分の人生が過去から未来へと連綿と続く壮大な叙事詩の一部であることを信じさせてくれる力である。

一方、その対極に存在するのが、アンチライフや、カオスマジック、ドゥームが属し、「自分の時代が、自分だけが良ければそれで良い」と永遠に同じことを繰り返し続ける力。"クライシス"である。

かつて、自身の命と引き換えに"結合"の力を以てマルチバースを産み落とす使命を帯びたパーペチュアはしかし、その使命を拒否しソースウォールに幽閉されることとなった。
しかし、パーペチュアから漏れ出す"クライシス"の力は、常にDCユニバースに影響を与え続けてきた。
その力に感化された者たちによる欲望に任せた世界改編。それこそが、DCの歴史上で繰り返されていた『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』、『インフィニット・クライシス』、『ファイナルクライシス』といったクライシスイベントの本質であったのだ。
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パーペチュアがダークマルチバースの化身ともいえる存在、嗤うバットマンを使徒とした理由もここにあった。
人々が想像するあらゆる可能性が具現化するダークマルチバース。そこでは人々の深層意識に刻み込まれた過去のクライシスが、歪んだ変奏曲として無限に繰り返され"クライシス"の力を放出し続けているのだ。

【ワンダーウーマンの計画】
ウォーリーより世界の真実を知ったワンダーウーマンは、途方もない計画を思いつく。
人々の記憶が過去のクライシスを再演させ、それがパーペチュアに世界を改変する無限のエネルギーを与えているのであれば、それを利用すれば良いのである。
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過去のクライシスの現場に再び訪れ、そこで発せられる世界改編の力を自らの物とすれば、クライシスの存在を歴史と人々の記憶から消し去り、パーペチュアのエネルギー源を断つことが出来るのだ。

???:なるほど、アンチ・クライシス(Anti-Crisis)を、ダイレクト・クライシス(Direct Crisis)にぶつけるってわけか。
そのアイデア気に入った。AC/DCってヤツだ!

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突然二人の会話に割って入ったのは、嗤うバットマン。彼は全てをお見通しであったのだ。
しかし、あらゆる事態に備えることはバットマンの専売特許ではない。
ワンダーウーマンは、このような事態を見越していたのだ。

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突然、爆音が鳴り響き、嗤うバットマンの身体が四散する。
ワンダーウーマンは、見えないジェット機の破片と真実の投げ縄を組み合わせた"見えない真実のチェーンソー"を、如何なる時も持ち歩いていたのだ。

【蝙蝠城にて】
嗤うバットマンと彼のバットマン軍団の居城"蝙蝠城"の奥深くで黄色いボタンを押しながら、バットメイジはロビンたちに命ずる。
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バットメイジ:時は来た。彼の真の計画を発動する。
"最後のブルース・ウェイン"の準備に取り掛かれ。

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【宣伝】
今回紹介した作品の電子版がこちら。


また、作者のスナイダー曰く、本作はここからいきなり読み始めても問題ないが、前後の流れを完全に追いたいならば、
先ずは『ジャスティスリーグ(途中まで翻訳あり)』、『バットマン/スーパーマン』、『ヘルアリズン』。



文脈を完全に理解したいならば、『クライシス・オン・インフィニット・アース』、『インフィニット・クライシス』、『Final Crisis』、『ドゥームズデイクロック』がお勧めとのこと。



その他、マーベル関連では、マーベル初にして最大の大型イベント初代『シークレットウォーズ』の翻訳が決定。マーベルのアメコミを読んでると頻繁に引用されるイベントながら、なかなか手が出ない作品ですので、嬉しいですね。
また、日本人の人気アーティスト、グリヒルが作画を担当した『ワスプ1』の予約も開始。科学好きの少女をエンパワメントする作品として本国評価も非常に高い作品です。
女性をエンパワメントするといえば、DCの『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』もお勧め。ハーレクインを主人公にしたいわゆる"学パロ"で、ジョーカーやアイビーが全員高校生として登場。ちなみに今年のアイズナー賞にノミネートされました。
また、ハーレイ・クイン誌と同じレーベルから発売された『ワンダーウーマン:戦禍を呼ぶ者』も7月に発売。こちらもハーレイ・クイン誌と同様に、正史世界の細かい設定に縛られないYA向けの作品で、ワンダーウーマンの少女時代が美麗なアーティストで描かれます。

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NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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