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アクションコミックス #1022

アクションコミックス #1022
(作:ブライアン・マイケル・ベンディス、画:ジョン・ロミータJr.)

【孤独の要塞にて】
スーパーボーイ:もう一度ですか?OKわかりました。
俺はコナー・ケント。スーパーマンとレックス・ルーサーのDNAを組み合わせたクローン体だって事になってます。
で、どうも俺はこのアースの別バージョンからやってきたらしくて。いや、そうじゃなくてあくまで"このアース"の別バージョン。
もうなくなったっぽいけど……
すみません、ちょっと思い出しちゃって。

スーパーマン:こちらこそすまなかった。


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ここ、孤独の要塞ではスーパーマンとコナー・ケントの対話が続いていた。
ルーサー率いるリージョン・オブ・ドゥームとの戦いで初めてヤングジャスティスと共闘したスーパーマンは、そこで出会った自分のクローンを名乗る少年の素性を調べるべく、あらゆる検査機器がそろった孤独の要塞へと連れてきたのだ。

スーパーマン:そんなにナーバスにならなくていいんだ。私は君の言ったことを信じてる。
ただ、君をどう扱えばいいのかわからないだけなんだ。

2人の間に漂うどこかぎこちない雰囲気を破ったのは、要塞の中で突如あらわれた光球であった。
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ブレイニアック5:それがやつの仇名の由来ってわけさ。
ジョン:そんな馬鹿な事ってありえるの!? てっきり能力に関係してるんだと思ってたよ!

光球の中から現れたのは、和やかに笑いあう2人の若者。
未来世界にいったスーパーマンの息子ジョンが、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの参謀役と一緒に里帰りをしてきたのだ。

スーパーマン:ジョナサン!いったいどうした?
ジョン:父さん!いや、ブレイニーが21世紀のトイレを見てみたいっていうから……おっと、ごめんなさい。
はじめまして。ジョン・ケントです。

コナーの存在に気が付き自己紹介をするジョン。

ジョン:で、僕が31世紀に行っている間に、父さんは新しくイケてる息子を作ったってこと?
コナー:イケてるかな?
ジョン:もちろんだよ!その革ジャンとか…

一瞬で打ち解ける、2人のスーパーボーイ。

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それから数時間。やがてスーパーマンによるコナーの調査は、ジャスティスリーグ全体を巻き込んだものに。
しかし、コナーの生い立ちを確認するうちに、スーパーマンはコナーに合せなければいけない人物が、もう2人存在することに気が付く。

【ケント家集結】
スーパーマンたちが向かった先、それはカンザス州にある田舎町、スモールヴィルであった。

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マーサ:まぁジョン!すっかり大きくなって!ちゃんと食べてる?
あなた、すぐにリンゴを持ってきて。

ジョナサン:かあさん、馬じゃないんだから。
で、そちらの方は?


コナーに水を向けるジョナサン。
スーパーマン:実はこの子こそがここに来た理由なんだ。変なことを聞くけど、彼に見覚えはない?

クラークのお願いを聞き、不思議そうにコナーの顔を見つめるマーサとジョナサン。
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ジョナサン:コナー?
マーサ:もっと近くで顔を見せておくれ。
ジョナサン:オマエさんがわしのトラクターを無くした時…
コナー:……本当は池に沈めちゃってた。
ジョナサン:やはりコナーだ。 クラークいったい何が起きておる。
スーパーマン:僕にもよくわからないんだ。
マーサ:いいのよ。こうしてみんなが帰ってきた。それだけで。

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互いに抱きしめあう"ケント家"の面々。
しかしスーパーマンはこれから訪れる苦難の到来を察知していた……

*********************************
というわけで、今回は久しぶりのスーパーマン系列の紹介でした。
とはいえ、今回紹介した内容については少々面食らった方も多いでしょう。
なので、以下はそこら辺の補足を。

【疑問1】マーサとジョナサンの復活
New52でのリブートでスーパーマンに起きた一番の設定変更。それは、両親であるマーサとジョナサンの死亡でした。
(シルバーエイジの設定に戻ったともいえます)
5次元人の攻撃の結果や、Dr.マンハッタンによる実験の結果など、その原因については様々な解釈がされてきましたが、「マーサとジョナサンは、クラークのプロムパーティの日に交通事故で死んだ」というのがNew52以降のスーパーマンの基本設定だったのです。
それがなぜ、今回、何事もなかったかのように登場したのか?
その原因は先日完結した『ドゥームズデイクロック』に遡ります。

本作のクライマックスにおいて、DC世界におけるヒーローの本質を知ったDr.マンハッタンは、1940年7月の鉄道事故現場で緑色のランタンの位置を数センチ動かし、あるべき位置に戻します。
これにより、初代グリーンランタン――アラン・スコットは復活を遂げたのです。
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そして、Dr.マンハッタンの行動の影響はグリーンランタンだけにとどまりません。グリーンランタンの登場は、彼が発起人であるヒーローチーム、ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカの設立へとつながり、世界はジャスティスリーグの登場のずっと前に"ヒーロー"という概念を発見することとなったのです。
(忘れないでください。New52の本来の歴史では、『ジャスティスリーグ:誕生』で描かれたスーパーマンたちがヒーロー第一世代なのです)

そしてそんなヒーローがいる世界で育ったクラーク・ケント少年にとって、自らの持つ強大な力を社会のために役立てることは自然な事でした。
こうして"スーパーボーイ"としての少年期を送ることになったクラーク少年の経験は、彼の高校のプロムパーティの夜に生きます。
ヒーローとして日ごろから周囲の危険を見守る習慣を持っていたクラーク少年は、両親の事故を素早く察知。
間一髪のところで、両親を護ることに成功したのでした。
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というわけで、クラークたちも気が付かないまま復活を遂げたマーサ&ジョナサン。
超人たちが闊歩する世界における市井の人々の持つ"強さ"を象徴する存在である彼らの不在は、New52の設定の中で個人的に一番残念なものであったので、彼らの復活は大歓迎です。

【疑問2】なぜマーサとジョナサンはコナーの事を思い出したのか?
この疑問については、まだ答えは出ていません。
ただ言えることは、フラッシュポイント前の世界の記憶を取り戻す現象は、マーサとジョナサン個別の事象ではありません。
以前、この記事でも書いた通り、様々なDCタイトルで起こっている共通の現象なのです。


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今回紹介した号の電子書籍がこちら。



コナー・ケントが帰ってくる経緯が読みたいのであれば『ヤングジャスティス』誌がお勧めです。


(以下は使いまわし)
DCは最近本国で、1冊完結のグラフィックノヴェルに力を入れているのですが、そんな作品群が続々と翻訳される模様。
『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』はいわゆる"学パロ版ゴッサム"!ハーレクインを主人公に、ブルース、ジョーカー、ポイズン・アイヴィがみんな10代の若者として登場。
同じくハーレイが主人公の『ハーリーン』は打って変わって、アダルトな雰囲気が漂うロマンス。ジョーカーがセクシーすぎて鼻血出そう…
『ワンダーウーマン:ウォーブリンガー』は、ワンダーウーマンの少女時代を描いたグラフィックノベル。こちらは"Wonder Woman Warbringer comic"ちょっと検索してほしいのですが、とにかくアートが美麗です。ワンダーウーマンを主人公としたベストセラー小説が原作で、内容も折り紙つきです。




また、最近はヒーローコミック以外のコミックの翻訳も盛んになってきました。
『アメリカン・ボーン・チャイニーズ:アメリカ生まれの中国人』は現在DCで活躍中のライター、ジーン・ルエン・ヤンの出世作。
彼が『スーパーマン』に抜擢されたのは、アメリカ移民2世の悲哀を描いた本作がDC編集部の眼に止まったからではないかと、管理人は思っています。
またピュリッツァー賞を獲得した名著『完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』が久しぶりに発売。
こちらも一生モノのコミックですので、未読の方は是非。


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プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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