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直前講習! 『ヒーローズ・イン・クライシス』

【DCユニバースの現在の流れ】
DCリバース開始から2年。

現在のDCユニバースには、ユニバース全体をけん引する大きな流れが3つあります。
1つは『DCユニバース:リバース』で提示された「Dr.マンハッタンによるDC世界のへの介入と、奪われた歴史」。
これは、1年後のDC世界を舞台に、ウォッチメン世界からやってきたオジマンディアスやロールシャッハの姿を描く『ドゥームズデイ・クロック』や、
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大ウォーリーに続きフラッシュポイント前の記憶を取り戻したアイリスや、インパルスの復活などを扱う『フラッシュ』誌で展開されています。
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そしてもう一つの流れが、『ダークナイツ:メタル』から始まる、マルチバースの果ての壁ソースウォールに空いた風穴と、その向こう側からやってくる存在をめぐる物語です。
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こちらは『ジャスティスリーグ』を筆頭に、『ジャスティスリーグ・ダーク』、『ジャスティスリーグ・オデッセイ』、『タイタンズ』などが、メインと言えるでしょう。

これら2つの流れは、いずれも宇宙規模の問題を扱ったユニバースを揺るがす大事件であり、まさにDCの王道のド真ん中を進むストーリーラインなのですが、実はDCにはもう一つの流れがあり、そこではより小規模で、より個人的な脅威がヒーロー達に迫っています。
そのストーリーラインの中心となるタイトルこそが今月から開始予定のイベント『ヒーローズ・イン・クライシス』。そしてそこで描かれる脅威とは“ヒーロー達のメンタルヘルス”なのです。
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【サンクチュアリとは】
『ヒーロー・イン・クライシス』の粗筋を一言でまとめると、「ヒーローたちのケアセンター"サンクチュアリ"で起こった殺人事件を巡るミステリー」という、非常にシンプルなもの。

しかし、そのシンプルな粗筋を魅力的なものにしている要素、それはなんといっても物語の舞台となる施設であるサンクチュアリの設定でしょう。
サンクチュアリとは、スーパーマン/バットマン/ワンダーウーマンが秘密裏に作った一種の医療施設で、表向きにはネブラスカの片田舎にある農場に見えますが、実際はクリプトン星の超技術、セミッシラの魔術、そしてウェイン社の財力によって支えられた秘密施設となっています。

サンクチュアリは既に5年前にスーパーマンらの手によって設立され、密かに運営されてきました。
そして、彼らがサンクチュアリを設立した目的、それはヒーローたちの心のケアなのです。

しかし、スーパーパワーを駆使して世界を駆けまわり、どんな時でも正義の心を失わない希望の象徴であるヒーローにとって、本当に心のケアが必要なのでしょうか?

本作のライターを務めるトム・キングは、CIAの対テロ局員としてバグダッドのグリーンゾーンへも赴いた自身の経験から、この問いに明確に"YES"と答えます。
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(本作の発表会でのトム・キング。作品の内容に合せて怪しげなセラピストスタイル。)

ヒーローたちは常日頃から暴力の世界に生きています。
彼らの日常とは、自身が暴力を振るわれる日々であり、愛する者たちが暴力にさらされる日々であり、自らが他者に暴力をふるう日々でもあります。
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そんな、"暴力の経験"がヒーローの心に何も影響を与えないわけがない。
彼らのメンタルは、その肉体同様、日々のヒーロー活動で傷だらけなのです。

にもかかわらず、これまでヒーローコミックはその心の傷から目を背けてきました。
ヒーローたちの物理的な傷をケアするために描かれる、「孤独の要塞にあるクリプトン星の医療機器」、「スピードフォースによる超スピード自然回復」、「アルフレッドによる応急処置」などの最低限度の設定すら与えられることはなく、ただその存在を無視されてきたのです。

また読者にとってみても、人間的な弱さを見せたヒーローを"豆腐メンタル"などと呼んで揶揄するなど、どこか精神を病むということを、弱い人間のなる"ヒーローらしからぬ行為"としてみる節がありました。

そういったコミック業界の一連の動向に対するアンチテーゼ、それこそがサンクチュアリであり、トム・キングの言葉を借りれば、
ヒーローたちは、彼らを見上げる子供たちの前でなに臆することなく「少しメンタルに問題を抱えていたが、もう大丈夫。皆が私を助けてくれたから。」と語ることが出来るのです。

…少々脱線しましたが、そんなわけで今回の惨劇の舞台であるサンクチュアリなのですが、実はその存在は今年の初めごろから少しずつ読者に匂わされてきました。
以降は今のところ分かっているサンクチュアリの患者を紹介していきましょう

【サンクチュアリの患者たち】

ブースターゴールド
皆さんご存知、未来からやってきたお調子者のヒーロー。
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バットマン#45-48で展開された物語『The Gift』において、バットマンに最高の結婚祝いを贈ろうと思い試みた軽挙が、地獄のような世界線を作り上げてしまい、自責の念に捕らわれたブースターゴールドはサンクチュアリで療養することに。
今回の『ヒーローズ・イン・クライシス』では、サンクチュアリ内で起こった殺人事件の第一容疑者となる模様。

ロイ・ハーパー(アーセナル)
グリーンアローのサイドキックとして登場したヒーローで、ジェイソン・トッドの親友。
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薬物に依存していた過去を振り切りタイタンズのメンバーとして活躍していたが、チーム解散をきっかけに自暴自棄となり、強大な組織犯罪を相手取り単身で危険な活動を行うように。
その活動の最中に、かつての恋人の裏切りによって、再び薬物を体に入れてしまう。
そんな最低の日々を過ごしたロイは、自らを救うために、自身の意思でサンクチュアリに赴くことに。

ウォーリー・ウエスト
『DCユニバース:リバース』にてDC世界に復活を遂げた、言わばDC世界の希望の象徴。
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しかし『フラッシュウォー』にて、フラッシュポイント前の世界にいた自分の息子たちが、今でも何処かに捕らわれて父親である自分に助けを求め続けていることを知り、全てを投げ打ち息子らを探して世界を駆け続けることに。
しかし、どこを探しても手掛かりを見つけることが出来ず、燃え尽きてしまったウォーリーは、スーパーマン達の勧めでサンクチュアリで療養することに。

ポイズン・アイヴィーとハーレクイン
サンクチュアリのケアの対象はヒーローだけではありません。
バットマンの宿敵ポイズン・アイヴィーは、『ウォー・オブ・ジョークス&リドルス』で自身が行ったとある行為で、その心に大きな傷を抱えて生きてきました。
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ポイズン・アイヴィーが世界を支配下に置いた、バットマン#41-43『エブリワン・ラブス・アイヴィ』事件にて、その傷を知ったバットマンはアイヴィをサンクチュアリに収容しています。
また、アイヴィの親友で自身も精神科医であるハーレクインは、どうやらアイヴィの回復のためにサンクチュアリの運営を手伝っているらしく、ブースターゴールドと共に今回の殺人事件の容疑者となる模様。


【惨劇の被害者】

ところで、今回の記事で度々言及される"サンクチュアリでの殺人事件"。容疑者はブースターゴールドとハーレクインであることはお伝えしましたが、被害者は誰なのでしょうか?

実はこれはまだわかっていません。
しかし、DCは本作の広告にて2つのヒントを出しています。

1つ目のヒントは、本作では2人の犠牲者が現れること。
そして2つ目のヒントは、第一話で明かされるであろう1人目の犠牲者が、以下のメンバーの誰かであるという事です…
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【最後に】
以上が『ヒーローズ・イン・クライシス』の概要なのですが、最後に本作のライターのコメントを再び引用して、この記事を結びたいと思います。
トム・キング:我々は数百万の人々が20代を海外でテロと戦うことに費やす時代を生き、彼らが持ち帰る“暴力の世界での経験”は、我々の国と文化を形作っている。
「"暴力の経験"が、人を、共同体を、国を、そして世界をどのように変貌させるのか」、それこそが私が『ヒーローズ・イン・クライシス』で語りたいことだ。


【宣伝】(使いまわし)
引き続き翻訳ラッシュの続くアメコミから目ぼしいものを。
まずは映画の公開が予定されているヴェノムが主人公の『ヴェノム:リーサル・プロテクター』が発売。
映画の原作の1つとされている作品で、エディ・ヴェノムが主人公の物語としては鉄板のタイトルなので、翻訳は納得。
また、ヴェノムがスパイダーマンのもう一人の人気ヴィランと戦う『スパイダーマン:ヴェノム VS. カーネイジ』も発売。
続いてはアイアンマンの最新タイトル『インビンシブル・アイアンマン:ウォーマシン』。こちらは『インビンシブル・アイアンマン:リブート』の続刊ですね。



また、最近、マーベルの新世代ヒロインを精力的に翻訳している小プロからは、『グウェンプール:デップーなんかこわくない』『グウェンプール:第四の壁、破っちゃいました』が発売。
日本人アーティスト、グリヒルが描く何ともかわいらしいアートが魅力の本作ですが、後者は「最新のマーベルコミックを読めないせいで強みを失いつつあるグウェンプールが現実世界に里帰りする」という展開も気になりますね。

またバットマンの新刊『バットマン:ウォー・オブ・ジョーク&リドル』も翻訳。こちらは「ジョーカー派とリドラー派。ゴッサムヴィラン達が2派に分かれてのシビルウォー」というただでさえ魅力的な設定に、天才ライター、トム・キングによる特異な観点でのひねりが加えられた大傑作です。
"天才ライター"といえば、『ウォッチメン』、『ダークナイトリターンズ』のライター、アラン・ムーアが"ストーリーテリング"自体をテーマとしたヒーローコミック『プロメテア』の続刊が遂に発売!管理人はこれを待ってました!



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NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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