"フレッシュスタート"ファーストインプレッション(その1)
5月から始まったマーベルの新リランチ、通称『フレッシュスタート』。以前も当ブログで紹介したのですが、実際に始まってみるとどれも楽しい作品ばかり。
本当ならば時間をとって一つ一つ紹介したいのですが、最近の更新スペースではそれもなかなか難しそうなので、この際序盤を読んでのファーストインプレッションをまとめて紹介したいと思います。
イモータル・ハルク#1
(作:アル・ユーイング、画:ジョー・ベネット)

マーベルの歴史上、何度も死亡しそのたびに何らかの理由をつけては甦ってきたブルース・バナーとハルクですが、週刊シリーズ『アベンジャーズ:ノーサレンダー』にて、"その不死性こそがハルクの真の特殊能力なのだ"と定義づけられて復活。
そうして始まった今回の新シリーズですが、これが抜群に面白い。

「内なる怪物を隠しながら全米を放浪するブルース・バナー」という原点回帰を志向し、ホラーコミックとしての側面を強く意識した本作。
そんな事情に合わせて、ハルクも人間の悪意を体現したような粗暴で狡猾な存在、いわゆるグレイ・ハルクのようなパーソナリティが与えられたのですが、これがジョー・ベネットのアートと相まって非常に効果的に作用していています。
ソー
(作:ジェイソン・アーロン、画:マイク・デル・ムンド)
神の存在意義に疑いを持ってしまったことでムジョルニアを持つ資格を失い、ハンマーと共に"ソー"の名をジェーン・フォスターに譲ったオーディンソン。
その後、自ら"アンワーシー(能わざる者)"と名乗り、多少いじけた態度をとっていた彼ですが、ジェーン・フォスターと"神殺しの魔獣"マンゴッグとの戦いを通してソーの必要性を再確認。
ジェーンの後を継ぎ再びソーを名乗ることとなりました。

とはいえ、けしてムジョルニアを持つ資格を取り戻したわけではなく、そもそもムジョルニア自体もマンゴッグ戦で破壊され、残されたのはその破片のみ。
そんな状況で世界中に散ったアスガルドの秘宝集めと、迫りくるマレキスとの戦いを控え、強力な武器を必要とするソーが最初に行ったこと。
それは、(ソーにとって)超重量のムジョルニアの欠片を用いて、ドワーフの鍛冶師に新たな武器を造らせる事であった。
ドワーフの親友スクリューベアードに造らせた新たなハンマーを手に、地球に落ちたアスガルドの秘宝を保持する魔神サイトラックの代理人ジャガーノートと対峙するソー。

ソー:我はハンマーを手に産まれたわけではない。しかし、母の身体から生まれ出しその時に、すでにこの胸には猛ける稲妻が渦巻いていた!
ハンマーなどなくとも、我は生ける嵐の王。だがしかし、貴公がそれを所望するなら、新たなハンマーを受けてみよ!

あぁスクリューベアードよ… すまんが全てのハンマーを送ってくれ。
といった感じで始まったソー誌。実際のところ2012年から続くアーロンによるソーの物語の新章といった側面の強い本誌ですが、最近は割といじけた態度をとっていたソーが、再び豪放磊落な好漢としての姿を取り戻したのは読んでいて爽快です。
ソーとロキの関係など映画の雰囲気をよく取り入れたシリーズですし、なおかつ来年にはアベンジャーズも巻き込んだ大型イベント『ウォー・オブ・レルムス』を行いユニバースの中心となっていくことがほぼ間違いのないタイトルですので、MCUなどで興味のある方はいきなりここから読み始めてしまうのもいいかもしれません。
ブラックパンサー#1
(作:タナハシ・コーツ、画:ダニエル・アクーニャ)

2000年前に宇宙へと旅立ったワカンダの分派。祖国から遠く離れた銀河の片隅に小さなコロニーを作り上げた彼らは、祖国の理念である自己防衛の概念を過激に拡大解釈し、多くの国々を併合。やがて、彼らは生粋のワカンダ人を筆頭に激しい階級社会を施く強大な宇宙帝国、ワカンダとして発展を遂げた。
そんなワカンダ帝国の辺境、彼らの経済を支えるヴィヴラニウムの採掘惑星で、1人の奴隷が目覚める。

生まれ故郷から引き離され、名前も記憶も、文化的アイデンティティすらも奪われた男はしかし、奴隷たちの中で1人不服従を貫き、脳裏に残る白髪の女性の下に帰るため抵抗を企てる。
反乱軍に加わり王となる宿命を背負った奴隷は、やがて人々から古の英雄の名を取りティチャラと呼ばれることとなる!

というわけで、ぶっ飛んだ設定で始まったブラックパンサー誌。
突然のSFとして始まった本作ですが、その舞台は完全な別世界とも、現在のメイン世界の未来ともとれる内容になっています。
しかしまぁそうなれば読者は当然、メイン世界が舞台で主人公の奴隷もティチャラ本人であることを期待するわけですが、脳裏に浮かぶストームの面影の件もありますし、おそらく主人公がティチャラであることは間違いないでしょう。
アメリカにおける黒人差別、欧米によるアフリカ諸国の経済的/文化的支配など、様々な問題を体現するヒーローとして描かれることが多いブラックパンサーが、それらが全て裏返ったワカンダ中心主義の世界で何を語るのかという点にも個人的には注目しています。
【宣伝】
マーベルからは、『デス・オブ・ウルヴァリン』の翻訳が決定。
現在本国で進行中の『ハント・フォー・ウルヴァリン』と、10月から開始する『リターン・オブ・ウリヴァリン』を合わせた3部作の第一弾となる作品です。
またマーベルではキャラクター紹介をメインとした事典『アベンジャーズ大全』の刊行が決定。
こちらの方は、ワスプ(ナディア・ピム)やシビルウォーⅡのあたりの比較的最近の展開まで反映した内容になっているとのことですので、こういう図鑑系が好きな方は是非!
またDCでの一押しはなんといっても『バットマン:アイ・アム・ベイン』と『バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン』の2作品。
ただでさえトム・キングのライティングが冴える最高の作品なのですが、先日は発売されたバットマンの結婚記念号で、これらの2作品が非常に重要な意味をもっていたことが判明しました。
管理人も今後のバットマン誌の展開の予習のために、もう一度翻訳版で読んでおこうかと思っています。
本当ならば時間をとって一つ一つ紹介したいのですが、最近の更新スペースではそれもなかなか難しそうなので、この際序盤を読んでのファーストインプレッションをまとめて紹介したいと思います。
イモータル・ハルク#1
(作:アル・ユーイング、画:ジョー・ベネット)

マーベルの歴史上、何度も死亡しそのたびに何らかの理由をつけては甦ってきたブルース・バナーとハルクですが、週刊シリーズ『アベンジャーズ:ノーサレンダー』にて、"その不死性こそがハルクの真の特殊能力なのだ"と定義づけられて復活。
そうして始まった今回の新シリーズですが、これが抜群に面白い。

「内なる怪物を隠しながら全米を放浪するブルース・バナー」という原点回帰を志向し、ホラーコミックとしての側面を強く意識した本作。
そんな事情に合わせて、ハルクも人間の悪意を体現したような粗暴で狡猾な存在、いわゆるグレイ・ハルクのようなパーソナリティが与えられたのですが、これがジョー・ベネットのアートと相まって非常に効果的に作用していています。
ソー
(作:ジェイソン・アーロン、画:マイク・デル・ムンド)
神の存在意義に疑いを持ってしまったことでムジョルニアを持つ資格を失い、ハンマーと共に"ソー"の名をジェーン・フォスターに譲ったオーディンソン。
その後、自ら"アンワーシー(能わざる者)"と名乗り、多少いじけた態度をとっていた彼ですが、ジェーン・フォスターと"神殺しの魔獣"マンゴッグとの戦いを通してソーの必要性を再確認。
ジェーンの後を継ぎ再びソーを名乗ることとなりました。

とはいえ、けしてムジョルニアを持つ資格を取り戻したわけではなく、そもそもムジョルニア自体もマンゴッグ戦で破壊され、残されたのはその破片のみ。
そんな状況で世界中に散ったアスガルドの秘宝集めと、迫りくるマレキスとの戦いを控え、強力な武器を必要とするソーが最初に行ったこと。
それは、(ソーにとって)超重量のムジョルニアの欠片を用いて、ドワーフの鍛冶師に新たな武器を造らせる事であった。
ドワーフの親友スクリューベアードに造らせた新たなハンマーを手に、地球に落ちたアスガルドの秘宝を保持する魔神サイトラックの代理人ジャガーノートと対峙するソー。

ソー:我はハンマーを手に産まれたわけではない。しかし、母の身体から生まれ出しその時に、すでにこの胸には猛ける稲妻が渦巻いていた!
ハンマーなどなくとも、我は生ける嵐の王。だがしかし、貴公がそれを所望するなら、新たなハンマーを受けてみよ!

あぁスクリューベアードよ… すまんが全てのハンマーを送ってくれ。
といった感じで始まったソー誌。実際のところ2012年から続くアーロンによるソーの物語の新章といった側面の強い本誌ですが、最近は割といじけた態度をとっていたソーが、再び豪放磊落な好漢としての姿を取り戻したのは読んでいて爽快です。
ソーとロキの関係など映画の雰囲気をよく取り入れたシリーズですし、なおかつ来年にはアベンジャーズも巻き込んだ大型イベント『ウォー・オブ・レルムス』を行いユニバースの中心となっていくことがほぼ間違いのないタイトルですので、MCUなどで興味のある方はいきなりここから読み始めてしまうのもいいかもしれません。
ブラックパンサー#1
(作:タナハシ・コーツ、画:ダニエル・アクーニャ)

2000年前に宇宙へと旅立ったワカンダの分派。祖国から遠く離れた銀河の片隅に小さなコロニーを作り上げた彼らは、祖国の理念である自己防衛の概念を過激に拡大解釈し、多くの国々を併合。やがて、彼らは生粋のワカンダ人を筆頭に激しい階級社会を施く強大な宇宙帝国、ワカンダとして発展を遂げた。
そんなワカンダ帝国の辺境、彼らの経済を支えるヴィヴラニウムの採掘惑星で、1人の奴隷が目覚める。

生まれ故郷から引き離され、名前も記憶も、文化的アイデンティティすらも奪われた男はしかし、奴隷たちの中で1人不服従を貫き、脳裏に残る白髪の女性の下に帰るため抵抗を企てる。
反乱軍に加わり王となる宿命を背負った奴隷は、やがて人々から古の英雄の名を取りティチャラと呼ばれることとなる!

というわけで、ぶっ飛んだ設定で始まったブラックパンサー誌。
突然のSFとして始まった本作ですが、その舞台は完全な別世界とも、現在のメイン世界の未来ともとれる内容になっています。
しかしまぁそうなれば読者は当然、メイン世界が舞台で主人公の奴隷もティチャラ本人であることを期待するわけですが、脳裏に浮かぶストームの面影の件もありますし、おそらく主人公がティチャラであることは間違いないでしょう。
アメリカにおける黒人差別、欧米によるアフリカ諸国の経済的/文化的支配など、様々な問題を体現するヒーローとして描かれることが多いブラックパンサーが、それらが全て裏返ったワカンダ中心主義の世界で何を語るのかという点にも個人的には注目しています。
【宣伝】
マーベルからは、『デス・オブ・ウルヴァリン』の翻訳が決定。
現在本国で進行中の『ハント・フォー・ウルヴァリン』と、10月から開始する『リターン・オブ・ウリヴァリン』を合わせた3部作の第一弾となる作品です。
またマーベルではキャラクター紹介をメインとした事典『アベンジャーズ大全』の刊行が決定。
こちらの方は、ワスプ(ナディア・ピム)やシビルウォーⅡのあたりの比較的最近の展開まで反映した内容になっているとのことですので、こういう図鑑系が好きな方は是非!
またDCでの一押しはなんといっても『バットマン:アイ・アム・ベイン』と『バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン』の2作品。
ただでさえトム・キングのライティングが冴える最高の作品なのですが、先日は発売されたバットマンの結婚記念号で、これらの2作品が非常に重要な意味をもっていたことが判明しました。
管理人も今後のバットマン誌の展開の予習のために、もう一度翻訳版で読んでおこうかと思っています。
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