バットマン#44
バットマン#44
(作:トム・キング、画:ミケル・ハニン、ジョエル・ジョーンズ)
ウェイン邸の深夜2時、世紀の結婚を控えたセリーナ・カイル(キャットウーマン)は、隣で婚約者が眠るベッドを抜け出し"最高のウェディングドレス"を求め、ゴッサムの街へと向かう。

彼女の心に去来するもの。それは遂に終わりを迎えるバットマンとキャットウーマンの永遠の追いかけっこの思い出であった…
というわけで、一話完結の非常に読みやすくロマンチックな作品。
作中に挿入される回想シーンはミケル・ハニンがアートを担当し、80年にわたる2人の歴史を称えるかのように、過去の作品を完全に再現。


現代のパートでは個人的に最近注目しているアーティスト、ジョエル・ジョーンズがその腕を振るっており、
こっそりと持ち帰ったドレスを前にキャットウーマンがアルフレッドに送った、いたずらっ子のような目くばせを見て、誰もが彼女に恋をすることでしょう。

7月発売のバットマン#50にて結婚する2人を祝福するかのような、可愛らしい一遍ですので、未読の方は是非!
…と思わずいつものまとめをしてしまいましたが、果たして本作は本当に2人を祝福するような内容なのでしょうか?
確かに、『アイ・アム・ベイン』でのプロポーズ以降、バットマン誌では二人の結婚に向けた準備と言えそうな話を順調に展開しています。
また、7月の結婚号に向けて、バットマンの仲間たちがそれぞれヴィラン達と対決する連作『バットマン:プレリュード・オブ・ウェイディング』も発表され、コミックファンの間ではすっかり「ついにバットマンが結婚するんだ」という雰囲気になっています。

しかし、管理人は本作こそ、バットマンとキャットウーマンの未来に破局が待っていることを暗示した物語に思えてなりません。

セリーナ:「豹はその身の柄を変えられない(注:人の本質は変えられないという意味のことわざ)」…
そして豹は猫科の動物なの。
バットマン:…キャットウーマンとしての過去を忘れなければ、お前に未来はない。

セリーナ:それが猫の習性よ。誇り高く、自由気まま!

セリーナ:盗むの?それとも結婚するの?
一件、ただの2人の歴史をたどる回想シーンに見える本作の過去編(台詞はどれも過去作のままです)。
しかし、そこで描かれている姿はどれも、、「セリーナはけして盗みをやめない。スリルを求め気ままに盗み、バットマンを翻弄し続けることこそが彼女の性質である」ということを物語っています。

そして、現代パートについても、その美しくロマンチックな描写に思わず流されてしまいそうですが、深夜の高級店に忍び込み、ウェディングドレスを盗み出すセリーナの行動はまぎれもなく窃盗行為であり、世界有数の資産家の婚約者となった彼女には行う必然性のない悪徳なのです。
また、そもそもの問題として、「バットマンが結婚を決意する」という現在の状況を、トム・キングは密かに異常事態として描いている節もあります。
バットマンがバットマンとしてではなく"ブルース・ウェインとしての幸せ"を念頭に入れるようになったきっかけは、『ザ・ボタン』において、父であるトーマス・ウェインと出会ったからです。
しかし、この出会いは決して偶然の奇跡ではありません、DC世界から歴史を奪ったDCリバースの黒幕が全てをおぜん立てしたのです。
事実、『ザ・ボタン』以降、バットマン誌において、バットマンがゴッサムのためにヴィランと戦う様子が描かれる回数は、ひっそりとしかし確実に激減。
遂には先日発売の『フラッシュ』誌においても、バットマンがヒーロー活動よりもセリーナとの生活を優先している(と思われる)描写が入りました。
そういう目で見れば、本作の冒頭に描かれた「深夜2時に婚約者と共に眠っているブルース・ウェイン」という描写がそもそも異常な描写なのです。
夜こそがバットマンの時間なのですから。
…というわけで、管理人の予想は「バットマンとキャットウーマンは破局する。仮に結婚したとしても、トム・キングの在任中に別れる」。
皆さん。当たったら何かください!
【宣伝】(使いまわし)
前も書きましたが、更新が滞ると書くのが一番おっくうになるのがこの欄。
これだけ次から次に翻訳本がでるなんて、本当にいい時代になったもんです。
個人的に今一番気になる作品は『スパイダーメン』。正史世界のピーター・パーカーと、アルティメット世界のマイルズ・モラレスとという2人のスパイダーマンの次元を超えたチームアップを描き非常に評判が高い作品です。
また"コミック界のアカデミー賞"ともいえるアイズナー賞で、今年5部門もノミネートされている『モンストレス』の第二巻が早くも翻訳され、こちらも気になるところです。
また、5月6月はデッドプールの翻訳が目地押し。
スパイダーマンとデッドプールの"娘"が登場する『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』に、デッドプールがハワード・ザ・ダックと融合してしまう『デッドプール・ザ・ダック』。
比較的単行本が売れない傾向のあるマーベルにおいて異例のヒットを跳ばした作品の続編企画『デッドプール・キルズ・マーベルユニバース・アゲイン』。
デッドプールの最近の個人誌である『デッドプール:エンド・オブ・エラー』から、彼のキャラクターの礎を築いたともいえる往年の名作『ケーブル&デッドプール:こんにちは赤ちゃん』とその数なんと5作品。
近年のマーベルの人気者の面目躍如ですね。
(作:トム・キング、画:ミケル・ハニン、ジョエル・ジョーンズ)
ウェイン邸の深夜2時、世紀の結婚を控えたセリーナ・カイル(キャットウーマン)は、隣で婚約者が眠るベッドを抜け出し"最高のウェディングドレス"を求め、ゴッサムの街へと向かう。

彼女の心に去来するもの。それは遂に終わりを迎えるバットマンとキャットウーマンの永遠の追いかけっこの思い出であった…
というわけで、一話完結の非常に読みやすくロマンチックな作品。
作中に挿入される回想シーンはミケル・ハニンがアートを担当し、80年にわたる2人の歴史を称えるかのように、過去の作品を完全に再現。


現代のパートでは個人的に最近注目しているアーティスト、ジョエル・ジョーンズがその腕を振るっており、
こっそりと持ち帰ったドレスを前にキャットウーマンがアルフレッドに送った、いたずらっ子のような目くばせを見て、誰もが彼女に恋をすることでしょう。

7月発売のバットマン#50にて結婚する2人を祝福するかのような、可愛らしい一遍ですので、未読の方は是非!
…と思わずいつものまとめをしてしまいましたが、果たして本作は本当に2人を祝福するような内容なのでしょうか?
確かに、『アイ・アム・ベイン』でのプロポーズ以降、バットマン誌では二人の結婚に向けた準備と言えそうな話を順調に展開しています。
また、7月の結婚号に向けて、バットマンの仲間たちがそれぞれヴィラン達と対決する連作『バットマン:プレリュード・オブ・ウェイディング』も発表され、コミックファンの間ではすっかり「ついにバットマンが結婚するんだ」という雰囲気になっています。

しかし、管理人は本作こそ、バットマンとキャットウーマンの未来に破局が待っていることを暗示した物語に思えてなりません。

セリーナ:「豹はその身の柄を変えられない(注:人の本質は変えられないという意味のことわざ)」…
そして豹は猫科の動物なの。
バットマン:…キャットウーマンとしての過去を忘れなければ、お前に未来はない。

セリーナ:それが猫の習性よ。誇り高く、自由気まま!

セリーナ:盗むの?それとも結婚するの?
一件、ただの2人の歴史をたどる回想シーンに見える本作の過去編(台詞はどれも過去作のままです)。
しかし、そこで描かれている姿はどれも、、「セリーナはけして盗みをやめない。スリルを求め気ままに盗み、バットマンを翻弄し続けることこそが彼女の性質である」ということを物語っています。

そして、現代パートについても、その美しくロマンチックな描写に思わず流されてしまいそうですが、深夜の高級店に忍び込み、ウェディングドレスを盗み出すセリーナの行動はまぎれもなく窃盗行為であり、世界有数の資産家の婚約者となった彼女には行う必然性のない悪徳なのです。
また、そもそもの問題として、「バットマンが結婚を決意する」という現在の状況を、トム・キングは密かに異常事態として描いている節もあります。
バットマンがバットマンとしてではなく"ブルース・ウェインとしての幸せ"を念頭に入れるようになったきっかけは、『ザ・ボタン』において、父であるトーマス・ウェインと出会ったからです。
しかし、この出会いは決して偶然の奇跡ではありません、DC世界から歴史を奪ったDCリバースの黒幕が全てをおぜん立てしたのです。
事実、『ザ・ボタン』以降、バットマン誌において、バットマンがゴッサムのためにヴィランと戦う様子が描かれる回数は、ひっそりとしかし確実に激減。
遂には先日発売の『フラッシュ』誌においても、バットマンがヒーロー活動よりもセリーナとの生活を優先している(と思われる)描写が入りました。
そういう目で見れば、本作の冒頭に描かれた「深夜2時に婚約者と共に眠っているブルース・ウェイン」という描写がそもそも異常な描写なのです。
夜こそがバットマンの時間なのですから。
…というわけで、管理人の予想は「バットマンとキャットウーマンは破局する。仮に結婚したとしても、トム・キングの在任中に別れる」。
皆さん。当たったら何かください!
【宣伝】(使いまわし)
前も書きましたが、更新が滞ると書くのが一番おっくうになるのがこの欄。
これだけ次から次に翻訳本がでるなんて、本当にいい時代になったもんです。
個人的に今一番気になる作品は『スパイダーメン』。正史世界のピーター・パーカーと、アルティメット世界のマイルズ・モラレスとという2人のスパイダーマンの次元を超えたチームアップを描き非常に評判が高い作品です。
また"コミック界のアカデミー賞"ともいえるアイズナー賞で、今年5部門もノミネートされている『モンストレス』の第二巻が早くも翻訳され、こちらも気になるところです。
また、5月6月はデッドプールの翻訳が目地押し。
スパイダーマンとデッドプールの"娘"が登場する『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』に、デッドプールがハワード・ザ・ダックと融合してしまう『デッドプール・ザ・ダック』。
比較的単行本が売れない傾向のあるマーベルにおいて異例のヒットを跳ばした作品の続編企画『デッドプール・キルズ・マーベルユニバース・アゲイン』。
デッドプールの最近の個人誌である『デッドプール:エンド・オブ・エラー』から、彼のキャラクターの礎を築いたともいえる往年の名作『ケーブル&デッドプール:こんにちは赤ちゃん』とその数なんと5作品。
近年のマーベルの人気者の面目躍如ですね。
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