6月のDCミニリランチについて
1年にわたる大事業となった3誌の週刊タイトルの終了、それを受けての大型イベント『コンバージェンス』の開始と、話題には事欠かないDCユニバース。
「それではコンバージェンス終了以降のDCはどうなるのか?」という部分を紹介するため、今回はコンバージェンス終了後にDCで巻き起こる刊行タイトルの再編成、通称“ミニリランチ”について紹介します。
[まず重要なこと]
まず始めに明言しておかないといけないこととして、今回のミニリランチではNew52開始時のような歴史の改変は行われません。
リブート前のユニバースの復活を扱うイベント『コンバージェンス』の直後に行われるため、「リブート前の歴史とNew52の歴史が混ざり合い新しい歴史を持った世界が誕生する」と誤解されている方も稀に見受けられますが、コンバージェンスの正史世界への影響は(おそらく)限定的で、6月以降に発行されるタイトルは、あくまで3月までのNew52世界の続きとなります。
[ではミニリランチとは何なのか?]
それでは6月の“ミニリランチ”とは何なのか?
この質問に対して、答えを一言でまとめると「新規読者の参入を視野に入れた刊行タイトルの整理&立ち上げ」と言ったところで、
1.大量の新タイトルの立ち上げ
2.キャラクターの状況を一変させた上での新ストーリーの開始
3.コンテュニティではなく"Canon"を重視する姿勢
の3本柱がその骨子となっています。
以降はこちらの新刊リストを、上記の3つのキーワードを基に解説させていただきます。
(余談ですが、New52開始時のように過去の内容をリセットしたうえで再スタートを切る時は"Reboot"、過去の内容を引きついだ上で心機一転して#1から始める時は"Relaunch"という言葉を使うのが、本来的な英語のニュアンスのようです。)
[1.大量の新タイトルの立ち上げ]
まずDCは、今回のミニリランチを機に、20冊以上の新タイトルを立ち上げます。
そのラインナップは多岐にわたり、

ジャスティスリーグのセカンドタイトルである『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』や、遂に個人誌を獲得した人気キャラ『マーシャン・マンハンター』などの正統派タイトルから、

週刊タイトル『フューチャーズエンド』の最後で地球から脱出したアース2の面々が、遂に辿り着いた新世界にて人類社会の復興を目指す入植物『アース2:ソサエティ』や、『レッドフード&ジ・アウトローズ』のメンバーから個人誌を獲得したスターファイアが抜け男所帯となったチームを描いた『レッドフード/アーセナル』、ヴァーティゴ時代の名称を復活させ、よりアダルトでダークな雰囲気を志向する『コンスタンティン:ザ・ヘルブレイザー』といった旧作の後継作品、

多次元世界一のDCファンであるバットマイトが、ヒーローたちを"改善"するために狂った編集者のように暴れまわる全年齢タイトル『バットマイト』や、十代の名も無き若者たちによるSNSを駆使したソーシャルプロジェクトとしてロビン活動を扱った『We are Robin』などの変化球や

Twitterでバズった結果、見事に米国大統領に当選した10代の女性大統領(ちなみにフランク・ミラーの『ダークナイト・ストライク・アゲイン』にも登場)が主人公の『プレッツ』や、"犬溶接マン"ドッグウェルダーをはじめとする異色メンバーが日本でも話題を呼んだ『セクション・エイト』などのビーンボールのような作品まで、多種多様な作品が刊行されます。
DC編集部は「今後は、25タイトル程度の手堅い作品と、24タイトル程度の挑戦的なタイトルを混合していく」とその戦略を語っており、今回のラインナップはそういった戦略を反映したものになっています。
[2.キャラクターの状況を一変させた上での新ストーリーの開始]
また3月からの継続タイトルについても、3月で話をひと段落させて6月からは新規展開を行うタイトルが殆どです。
DCの顔ともいえるスーパーマン/ワンダーウーマン/バットマンのいわゆる"ビッグ3"は、6月からアクションコミックス、バットマン/スーパーマン、スーパーマン/ワンダーウーマン、スーパーマンの4誌にまたがるクロスオーバー『Truth』を開始しし、それに合わせるかのように各自コスチュームの変更を行います。

(『Truth』の詳細はまだ明かされていませんが、直前のスーパーマン誌の内容からすると、どうもスーパーマンの正体が全世界に公開されてしまう展開になりそうな雰囲気)
また、先日完結したバットマン誌の『エンドゲーム』にて行方不明となったバットマンに代わり、ゴッサム市には強化スーツを身にまとった新バットマンが登場。
先ほどの『Truth』だけではなく、バットマン誌やバットガール誌にもこの新バットマンが登場するようです。
新バットマンの正体については、先日日本でも開催されたイベントFree Comic Book DayでDCが配布した無料コミック『ダイバージェンス』にて公開されており、今後バットマン誌はこの新バットマンがゴッサムに与える影響について物語を展開することになりそう。

グリーンランタン、ハル・ジョーダンも、低下したグリーン・ランタン・コァの求心力を取り戻すために、自らをスケープゴートに仕立てるべくコァを脱退。
その際コァの武器庫より盗み出したガントレット(リングのプロトタイプ)を身につけて、逃亡者として活動する模様。

上記タイトルほど大幅な変更ではありませんが、フラッシュ誌でのプロフェッサー・ズームの登場や、ゴッサムアカデミー誌でのダミアン入学など、各誌ともコンバージェンス期間中の読者の教務を繋ぎ、6月からの新規読者が入りやすいように工夫を凝らしています。
[3.コンテュニティではなく"Canon"を重視する姿勢]
そして3つ目。実はこの3つ目の柱こそが、今回のミニリランチでDCに起こる一番大きな変化かもしれません。
このコンセプトについてはジム・リーとダン・ディディオがの発表した談話に目を通すのが一番でしょう。
以下は、その抄訳となります。
「今回のリランチにあたり、コンティニュティではなくCanonを大事にして欲しいと制作陣には強く依頼した。(どちらも同じ様な意味だが)コンテュニティで重視されるのは“この時この場所にはこのキャラはいないはず”といった枝葉末節に絡む部分。Canonはより物語体験に根ざしたもの。」
「『キングダム・カム』も『ダークナイトリターンズ』もエルスワールドの物語だ。しかし強い物語とはコンテュニティに組み込まれていようがなかろうが、必然的に正史世界に影響を与えてくる。(我々が重視するのはそういう関係性だ)」
「最近ではキャラクターではなくイベントだけが業界を牽引しているかに見える」
「読者も知らず知らずのうちにイベントのためのテコ入れの嵐に巻き込まれ、疲れはじめている」
「我々のゴールはそこではない」
「キャラクター自身が力強い物語を積み上げていくことこそが大事なのであり、そういう背景を背負ったキャラクターが集合するからこそ、イベントが"スペシャル"なものになるのだ」
「New52では複数のジャンルを立ち上げたが、その実フレーバーは同じだった。今回のミニリランチはジャンルは1つしかないように見えるかもしれないが、フレーバーは全く違う」
「(テイストの多様性を重視した新体制では)あなたが気に入るタイトルばかりではないかも知れない。そんな時は好きなタイトルの編集者が手掛ける別タイトルを読むことだ。そうすればきっと同系統のテイストが味わえるはず。あなた自身がその編集者を雇い彼のキュレーション能力にお金を払うつもりでタイトルを選んで欲しい。」

編集部は上記のようなコンセプトを受けて、各タイトル間の連携を少しルーズにするとしており、6月から始まるジャスティスリーグ誌のストーリー『ダークサイド・ウォー』は、「バットマンやハルが通常の設定のまま登場する」、「『ジャスティスリーグ:誕生』からの物語の総決算という、従来ならば"夏のイベント"としてタイイン誌やミニシリーズなどを巻き込む規模の物語でありながら、基本的にはジャスティスリーグ誌単体で完結する」など、そのような思想が色濃く表れています。
このような路線変更が吉と出るか凶と出るかは何とも言えませんが、今回発表されたタイトルがなかなか魅力的な事は紛れもない事実ですので、管理人は楽しみに今後の展開を身守ろうと思います。
【宣伝】
今月発売のアメコミで気になるタイトルですが、まずは何と言っても米国で公開の始まったアベンジャーズ2に合わせて刊行される『AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND1』と『エイジ・オブ・ウルトロン』の2誌。
前者はフェニックスフォースの到来を巡るX-menとアベンジャーズの戦いを描いたマーベルの大型クロスオーバー、後者はウルトロンに支配された未来世界を変えるため、ウルヴァリンが歴史改変の為に過去へと飛ぶミニシリーズの翻訳となります。
また現在米国で一番売れているアメコミの一つ『サーガ』がついに翻訳されるのも嬉しいところ。
「それではコンバージェンス終了以降のDCはどうなるのか?」という部分を紹介するため、今回はコンバージェンス終了後にDCで巻き起こる刊行タイトルの再編成、通称“ミニリランチ”について紹介します。
[まず重要なこと]
まず始めに明言しておかないといけないこととして、今回のミニリランチではNew52開始時のような歴史の改変は行われません。
リブート前のユニバースの復活を扱うイベント『コンバージェンス』の直後に行われるため、「リブート前の歴史とNew52の歴史が混ざり合い新しい歴史を持った世界が誕生する」と誤解されている方も稀に見受けられますが、コンバージェンスの正史世界への影響は(おそらく)限定的で、6月以降に発行されるタイトルは、あくまで3月までのNew52世界の続きとなります。
[ではミニリランチとは何なのか?]
それでは6月の“ミニリランチ”とは何なのか?
この質問に対して、答えを一言でまとめると「新規読者の参入を視野に入れた刊行タイトルの整理&立ち上げ」と言ったところで、
1.大量の新タイトルの立ち上げ
2.キャラクターの状況を一変させた上での新ストーリーの開始
3.コンテュニティではなく"Canon"を重視する姿勢
の3本柱がその骨子となっています。
以降はこちらの新刊リストを、上記の3つのキーワードを基に解説させていただきます。
(余談ですが、New52開始時のように過去の内容をリセットしたうえで再スタートを切る時は"Reboot"、過去の内容を引きついだ上で心機一転して#1から始める時は"Relaunch"という言葉を使うのが、本来的な英語のニュアンスのようです。)
[1.大量の新タイトルの立ち上げ]
まずDCは、今回のミニリランチを機に、20冊以上の新タイトルを立ち上げます。
そのラインナップは多岐にわたり、

ジャスティスリーグのセカンドタイトルである『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』や、遂に個人誌を獲得した人気キャラ『マーシャン・マンハンター』などの正統派タイトルから、

週刊タイトル『フューチャーズエンド』の最後で地球から脱出したアース2の面々が、遂に辿り着いた新世界にて人類社会の復興を目指す入植物『アース2:ソサエティ』や、『レッドフード&ジ・アウトローズ』のメンバーから個人誌を獲得したスターファイアが抜け男所帯となったチームを描いた『レッドフード/アーセナル』、ヴァーティゴ時代の名称を復活させ、よりアダルトでダークな雰囲気を志向する『コンスタンティン:ザ・ヘルブレイザー』といった旧作の後継作品、

多次元世界一のDCファンであるバットマイトが、ヒーローたちを"改善"するために狂った編集者のように暴れまわる全年齢タイトル『バットマイト』や、十代の名も無き若者たちによるSNSを駆使したソーシャルプロジェクトとしてロビン活動を扱った『We are Robin』などの変化球や

Twitterでバズった結果、見事に米国大統領に当選した10代の女性大統領(ちなみにフランク・ミラーの『ダークナイト・ストライク・アゲイン』にも登場)が主人公の『プレッツ』や、"犬溶接マン"ドッグウェルダーをはじめとする異色メンバーが日本でも話題を呼んだ『セクション・エイト』などのビーンボールのような作品まで、多種多様な作品が刊行されます。
DC編集部は「今後は、25タイトル程度の手堅い作品と、24タイトル程度の挑戦的なタイトルを混合していく」とその戦略を語っており、今回のラインナップはそういった戦略を反映したものになっています。
[2.キャラクターの状況を一変させた上での新ストーリーの開始]
また3月からの継続タイトルについても、3月で話をひと段落させて6月からは新規展開を行うタイトルが殆どです。
DCの顔ともいえるスーパーマン/ワンダーウーマン/バットマンのいわゆる"ビッグ3"は、6月からアクションコミックス、バットマン/スーパーマン、スーパーマン/ワンダーウーマン、スーパーマンの4誌にまたがるクロスオーバー『Truth』を開始しし、それに合わせるかのように各自コスチュームの変更を行います。

(『Truth』の詳細はまだ明かされていませんが、直前のスーパーマン誌の内容からすると、どうもスーパーマンの正体が全世界に公開されてしまう展開になりそうな雰囲気)
また、先日完結したバットマン誌の『エンドゲーム』にて行方不明となったバットマンに代わり、ゴッサム市には強化スーツを身にまとった新バットマンが登場。
先ほどの『Truth』だけではなく、バットマン誌やバットガール誌にもこの新バットマンが登場するようです。
新バットマンの正体については、先日日本でも開催されたイベントFree Comic Book DayでDCが配布した無料コミック『ダイバージェンス』にて公開されており、今後バットマン誌はこの新バットマンがゴッサムに与える影響について物語を展開することになりそう。

グリーンランタン、ハル・ジョーダンも、低下したグリーン・ランタン・コァの求心力を取り戻すために、自らをスケープゴートに仕立てるべくコァを脱退。
その際コァの武器庫より盗み出したガントレット(リングのプロトタイプ)を身につけて、逃亡者として活動する模様。

上記タイトルほど大幅な変更ではありませんが、フラッシュ誌でのプロフェッサー・ズームの登場や、ゴッサムアカデミー誌でのダミアン入学など、各誌ともコンバージェンス期間中の読者の教務を繋ぎ、6月からの新規読者が入りやすいように工夫を凝らしています。
[3.コンテュニティではなく"Canon"を重視する姿勢]
そして3つ目。実はこの3つ目の柱こそが、今回のミニリランチでDCに起こる一番大きな変化かもしれません。
このコンセプトについてはジム・リーとダン・ディディオがの発表した談話に目を通すのが一番でしょう。
以下は、その抄訳となります。
「今回のリランチにあたり、コンティニュティではなくCanonを大事にして欲しいと制作陣には強く依頼した。(どちらも同じ様な意味だが)コンテュニティで重視されるのは“この時この場所にはこのキャラはいないはず”といった枝葉末節に絡む部分。Canonはより物語体験に根ざしたもの。」
「『キングダム・カム』も『ダークナイトリターンズ』もエルスワールドの物語だ。しかし強い物語とはコンテュニティに組み込まれていようがなかろうが、必然的に正史世界に影響を与えてくる。(我々が重視するのはそういう関係性だ)」
「最近ではキャラクターではなくイベントだけが業界を牽引しているかに見える」
「読者も知らず知らずのうちにイベントのためのテコ入れの嵐に巻き込まれ、疲れはじめている」
「我々のゴールはそこではない」
「キャラクター自身が力強い物語を積み上げていくことこそが大事なのであり、そういう背景を背負ったキャラクターが集合するからこそ、イベントが"スペシャル"なものになるのだ」
「New52では複数のジャンルを立ち上げたが、その実フレーバーは同じだった。今回のミニリランチはジャンルは1つしかないように見えるかもしれないが、フレーバーは全く違う」
「(テイストの多様性を重視した新体制では)あなたが気に入るタイトルばかりではないかも知れない。そんな時は好きなタイトルの編集者が手掛ける別タイトルを読むことだ。そうすればきっと同系統のテイストが味わえるはず。あなた自身がその編集者を雇い彼のキュレーション能力にお金を払うつもりでタイトルを選んで欲しい。」

編集部は上記のようなコンセプトを受けて、各タイトル間の連携を少しルーズにするとしており、6月から始まるジャスティスリーグ誌のストーリー『ダークサイド・ウォー』は、「バットマンやハルが通常の設定のまま登場する」、「『ジャスティスリーグ:誕生』からの物語の総決算という、従来ならば"夏のイベント"としてタイイン誌やミニシリーズなどを巻き込む規模の物語でありながら、基本的にはジャスティスリーグ誌単体で完結する」など、そのような思想が色濃く表れています。
このような路線変更が吉と出るか凶と出るかは何とも言えませんが、今回発表されたタイトルがなかなか魅力的な事は紛れもない事実ですので、管理人は楽しみに今後の展開を身守ろうと思います。
【宣伝】
今月発売のアメコミで気になるタイトルですが、まずは何と言っても米国で公開の始まったアベンジャーズ2に合わせて刊行される『AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND1』と『エイジ・オブ・ウルトロン』の2誌。
前者はフェニックスフォースの到来を巡るX-menとアベンジャーズの戦いを描いたマーベルの大型クロスオーバー、後者はウルトロンに支配された未来世界を変えるため、ウルヴァリンが歴史改変の為に過去へと飛ぶミニシリーズの翻訳となります。
また現在米国で一番売れているアメコミの一つ『サーガ』がついに翻訳されるのも嬉しいところ。
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