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デスメタル後のDC世界について

【デスメタル完結!】
世界を改変する力である"クライシス"の力を集め、DCユニバースを思うがままに改変した嗤うバットマン。マルチバース最強の存在となった彼に立ち向かうためにヒーローたちに残された手段、それは"クライシス"とは正反対の力"アンチクライシス"を結集させることであった。

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「自分が存在する時代さえ、自分さえよければ良い」という利己主義の象徴である"クライシス"に対し、"アンチクライシス"とは「例え自分自身はちっぽけな存在に過ぎなくとも、それは歴史という連綿と続いていく偉大な物語の一部であることを受け止める」という利他主義の力。
そんな"アンチクライシス"を集めるため、ヒーローたちは過去にDC世界で起こった歴史改変イベントを消去し、1つの歴史を取り戻す。

そして、全てが終わった後で開催された、悪のバットマン軍団との戦いの勝利を祝うヒーローとヴィランの祝勝会。(メタルシリーズの恒例行事です)
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その最中にバリーの呼び出しを受けたウォーリーは、月の裏側に密かに建造された秘密基地、"ホール・オブ・ジャスティス&ドゥーム"に招かれる。
そこは今回のようなユニバース全体の危機に対抗すべく組織された善と悪の垣根を超えた評議会"トータリティ"の本拠地であった…

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(こちらがトータリティのメンバー。左からホークガール、マーシャンマンハンター、Mr.テリフィック、ヴァンダル・サベッジ、タリア、スーパーマン、バットマン、レックス・ルーサー)
***************

というわけで、先日ついに完結した『ダークナイツ:デスメタル』(翻訳も決定!)。
この物語のエピローグでDCユニバースの構造に相当大きな変更があったので、今回の記事では、その変化の内容を簡単に整理していきます。

【変化1:死者の復活】
まず重要なこととして、ワンダーウーマンによって世界はデスメタル発生前の状態に修復されました。
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このため、デスメタルの中で殉職を遂げたブルービートルや、ゾンビとなりながら最後まで戦い続けたバットマンは無事復活。
さらに、バットマン本人の説明によれば、"デスメタル以前に死亡した者の復活も確認された"とのこと。
先ほどトータリティのメンバーとして登場したヴァンダル・サベッジなんかはその典型なのですが、他に誰が復活したのかは不明です。

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パッと思いつく候補は、デスメタルの最終決戦にバットマンによって復活させられたゾンビとして参戦したアーセナルと、

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同じくゾンビで登場したアルフレッドあたりでしょうか?

現在進行中のバットマンの物語にいきなりアルフレッドが登場するとも思えませんが、ほとぼりが冷めたあたりで、デスメタルでのこの一件を理由に再登場することもありそうです。


【変化2:過去の歴史の復活】
先述の通り、クライシスの度にリセットされてきたDCの歴史が統合され1つのものになりました。
とはいえ、どうもこの"歴史の統合"というのは、「DCの過去の物語が全て1つの年表に収まるようにヒーローたちの人生が書き換えられた」というわけではなく、どちらかといえば、「New52世界での人生を歩むヒーローたちが、クライシス前の記憶を取り戻した」と言った形で実現されるようです。

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とはいえ、『デスメタル』のラストでは、第二次世界大戦中にサージェント・ロックに率いられるJSAの姿も確認されており、
ここら辺、正史世界の歴史が実際にどのような形になったのかは、今後の展開待ちですね。


【変化3:無限のアースの復活】
『ファイナルクライシス』以降、DCの世界観は「全てのアースの中心である正史世界(アース-0/プライムアース)と、それを取り巻く51のアース」という形で統一されていました。
そしてそれら52のアースで構成されるマルチーバースの外側には、"ソースウォール"という隔壁が存在していたのですが、『デスメタル』のラストでこの壁は完全に消失。その向こうに存在する無数のマルチバースが観測可能となりました。
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ちなみにこの複数のマルチバースからなる世界の総称を"オムニバース"と呼ぶようです。
数式で言えば「オムニバース > マルチバース > アース」と言ったところでしょうか?
(厳密には">"じゃなくて"⊃"ですが……と注釈を入れてしまう数学専攻の拘り)


【変化4:"世界の中心"の変移】

冒頭で紹介したようにトータリティの会合に招かれたバリーは、メンバーから衝撃の報告を受けます。
それは「"世界の中心"が変わった」という事でした。
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DCの世界観では、マルチバースの中には常にその中心となるアースが存在し、残りのアースは全てその中心を基準とした変奏曲であることになっています。
そして今までのDCにおいて、世界の中心はつまりアース-0やプライムアースと呼ばれる世界――その時々で読者が"正史世界"として慣れ親しんでいるアースでした。
ところが、今回の事件により、我々の知る正史世界ではない、新たな"世界の中心"が生まれたのです。
それも2つも!

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(2つの世界の中心の内の1つは既に発見され"エルスワールド"と名付けられました。
そして2つ目の中心については謎のまま)

今まで読者にとって"世界の中心"とは、すなわち毎週の新刊の舞台であり、普段慣れ親しんでいる正史世界の事でした。
そのため「世界の中心とはなんなのか?」について、読者は深く考える必要はなく、「我々が正史として読んでる世界が、全ての基準になっているんだな」というふんわりとした理解でよかったのですが、これからは違います。

果たしてマルチバースにおける世界の中心とは何を意味するのか?
DC世界開始以降初めて"辺境"となった正史世界にとって、世界の中心とはどのような存在なのか?

おそらく今後のDC世界はこれらの謎を中心に物語が進んでいくのではと思います。

最後に、この世界の中心について某ニュースサイトが挙げていた面白い予想の紹介。
今回、所在地が観測された世界の中心の一つ、通称"エルスワールド"の事をマーシャンマンハンターは"アルファワールド"と呼んでいました。
もし、世界の中心が"アルファワールド"であるならば、その対極となるもう一つの中心は"オメガワールド"であると言えます。

そして『デスメタル』のエピローグでは、修復後の世界からダークサイドの存在が消えていることが判明しています。
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もしダークサイドがマルチバースの何処かに潜んでいるのだとしたら、この"オメガワールド"以上に相応しい名前がの場所があるでしょうか?

【今後のDCについて】
というわけで、DC世界の変化について簡単にまとめてきたのですが、続いてはDCの今後の出版予定について紹介していきましょう。
まず『デスメタル』の完結を機に、5年間続いた『DCリバース』のブランドは終了。
3月より新たに『インフィニットフロンティア』のブランドが立ち上がり、このタイミングで多くのタイトルが新たにライターを迎えて再スタートを切ることになります。
(誤解を呼びたくないので明言をすると、この『インフィニットフロンティア』で今までの展開がリセットされるわけではありません。
あくまで"新シーズン"的な扱いです。)

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そしてそんな新シーズン到来の号砲となる作品が、3月の第1週に発売される読み切り『インフィニットフロンティア#0』です。
この作品は、DCリバースにおける『DCユニバース:リバース』のような作品となり、3月より刊行される各タイトルの展開を紹介するとともに、今後のDCユニバース全体をけん引する大きな事件が起きることが予告されています。

先述の"世界の中心"に関する物語が展開されるとしたら、おそらくはここでしょう。

余談ですが公開済みの『インフィニットフロンティア#0』の表紙は
 ・New52世界では登場しなかったアラン・スコットの2人の子供、ジェイドとオブシディアンがいる
 ・アニメ『ティーンタイタンズ』の人気キャラ、レッドXがいる
 ・『デスメタル』のラストで時の彼方に旅立ったワンダーウーマンの不在
など、非常に示唆に富んだものとなっています。
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そしてDC世界の今後の展開を予告するものは、これだけではありません。
『デスメタル』が完結した12月から、『インフィニットフロンティア』が開始する3月の間にDCで展開するイベント『フューチャーステイト』もまた、DC世界の今後を占う上で外せない作品となりそうです。

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『フューチャーステイト』を刊行する1-2月の間、DCは正史世界を舞台とした全タイトルの刊行を停止、全てのタイトルが『フューチャーステイト』傘下の物語に置き換わります。

そして「デスメタルによる世界改編の余波として、垣間見えた"DC世界の描かれない未来"」という体で語られる『フューチャーステイト』の物語は、イベントが終了した3月以降もDC世界にこだまのように響き続け、物語を読み進める読者もその存在を忘れることが出来ない、面白い趣向が凝らされています。

その趣向は何か?
……ということは、次回の更新で語らせてください。
(すみません、時間切れです。)

【宣伝】
アメコミとはあまり関係ないのですが、先日、フランスの漫画であるBDの翻訳版を紹介する雑誌『ユーロマンガ』が、電子マガジンとして再創刊されました。
これが、新旧10作品も収録されながらお値段880円という衝撃の値段!
昔からのBDファンのみならず、海外のコミック文化を知りたい方にとっても最適な雑誌なので、ぜひどうぞ!
(管理人は迷わず買いました)



また新たな新刊の情報として、マーベルの「もしもの世界」を追求する名物企画『ホワット・イフ』の翻訳が決定。
こちらも、最新シリーズから3編、過去のシリーズから3編を収録したオムニバス形式の作品となっています。


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クロスオーバー#1

クロスオーバー#1
(作:ドニー・ケイツ、画:ジェフ・ショウ)

【序文】
コミックブックの世界は、強者/冷血漢/嘘つき/詐欺師たちが幅を効かせる世界であり、そこでは人間の尊厳や高潔さが顧みられることはない。(フレデリック・ワーサム『無垢への誘惑』)

子供は鎖とかが超好き。(トッド・マクファーレン)

【クロスオーバー】
2017年、コロラド州デンバーは地獄と化した。
我々の世界が、ヒーローコミックの夏の大型イベントのタイインとなったのだ。

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後に"イベント"や"クロスオーバー"と呼ばれることとなるその日、蝙蝠の扮装をした男や、ハンマーを持った神など、我々がアメコミの中で慣れ親しんだヒーローたちがデンバーに現れ、ヴィランたちとの最終決戦を繰り広げた。
重要ではない人々の犠牲が全てページの外で行われるコミックと異なり、市民の被害は甚大なものとなった。

そしておそらくはヒーローたちの中に、この"アース"の住人に被害が拡散することを重く見た者がいたのであろう。混乱極まるデンバーの街は何者かが張ったと思われる謎のフォースフィールドに覆われ隔離される。

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それから数年の月日がたったが、デンバーはそのままである。
今でも街では絶え間ない戦いや破壊が続いているに違いない、真実やら正義やら、そういった諸々の名の下で……

(というわけで、今回はイメージコミックスで始まったドニー・ケイツの『クロスオーバー』を、登場人物を中心に紹介していきます。)

【エリプセス】
本作の主人公の1人。通称エリ。
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本名であるエリプセスは"…"を意味する単語で、少々エキセントリックな両親が「娘の前に広がる無限の可能性」を願って付けた。

彼女は、コロラド州にあるコミックショップでコスプレ店員として働いている。

しかし、クロスオーバーの日を境に、事件の原因となったヒーロー物のコミックは文字通り"悪魔の書"として忌み嫌われるようになり、DCもマーベルもヒーローコミックの出版を停止。両社とも今では政府の検閲の下で西部劇や刑事物などのコミックを出版している。

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そんな中、エリの勤めるコミックショップは焚書を逃れたヒーローコミックの古本を扱うアメリカ唯一の店となり、店の周りにはプラカードを持った宗教家やPTAなどが常に取り囲んでいる。

【オットー】
エリが働くコミックショップの店長。
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ヒーローコミックを出版しなくなったことを指して「DCとマーベルは死んだ!」と公言するほどのヒーローオタク。

世界中がヒーローコミックを恐れ攻撃する中、敢えて「ワーサムは正しかった!」と書かれたTシャツを着てヒーローコミックを売る、歪んだユーモアセンスの持ち主。
※フレデリック・ワーサムは、悪名高きヒーローコミック排斥運動の切っ掛けを造った医者。

そんなある日、オットーは店内で怪しげな動きを見せる少女を見つける。
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万引きだと勘違いし、少女を取り押さえるオットー。
目深にかぶったフードが取れ、少女の顔があらわになった時、オットーは言葉を失う。

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彼女の肌に浮かぶ画質の荒いカラードット。そう、彼女はただの少女ではない。コミック世界の住人であったのだ!

コミックのキャラクターの登場により、パニックとなる店内。
当たり前である、少女がコミック世界の住人であるということは、彼女は超人である可能性がある。
よしんば超人ではなかったとしても、ひょんなきっかけで能力に目覚める可能性があるのだ。

オットー:エリ、警察を呼べ。「架空のキャラが現れた」って!
狼狽するオットーを、エリは嗜める。

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エリ:彼女は架空のキャラじゃない。小さな子供よ。
ごめんね、怖がらせて。
私はエリ。アナタはどこから来たの?
少女:ごめんなさい。あの…男の人が壁の中から逃がしてくれて…
でも、両親はまだ壁の中で…

エリ:そうあなたのパパとママはドームの中にいるのね。私も一緒。"イベント"の日、私だけはデンバーから避難できたんだけど、両親は逃げ遅れちゃって。


少女を落ち着かせるために、ゆっくりと彼女から言葉を引き出すエリ。

エリ:それで、あなたを逃がしてくれた"男の人"ってどんな人なの?
少女:ごめんなさい。名前を聞く時間もなくって……あっ!でもどんな人だったか、画でなら描けます!


そういうと鉛筆を走らせ始める少女。
少女が描いた似顔絵を見て、エリとオットーは言葉を失う。

なぜならそこに描かれていたのは…
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************************
というわけで、今回はイメージコミックスの『クロスオーバー』の紹介でした。

上記の通り、「現実世界がアメコミの大型イベントのタイインとなってしまう」という大技で始まった本作。
序文からも分かる通り、1950年代に盛り上がったコミック排斥運動のパロディとして、コミックが実際に人々に悪影響を及ぼす世界を舞台としたSF作品となります。

イメージコミックスから出版されている作品ですが、エリたちが作中で語るアメコミヒーローたちは"よく似た別キャラ"ではなく、我々が慣れ親しんだヒーローそのもの。
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(ちなみに#2で登場する架空キャラ収容所はこんな感じ。詳細は割愛しますがスポーン#10のオマージュになってます)


これからどこまで他社のキャラクターが登場するのかは分かりませんが、アメコミオタクあるあるな描写も多い愉快な作品ですので、今後が楽しみですね。

【宣伝】(使いまわし)
最近の翻訳本ですが、米国での大ヒットをうけすっかり"ホワイトナイト・ユニバース"を形成しつつある『バットマン:ホワイトナイト』の続編である『バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト』が1月に発売。今回はアズラエルやバットガールが登場!!
そして現在のDC正史世界の旗艦タイトルであるジャスティス・リーグ誌関連では、そのクライマックスである『ジャスティス・リーグ:ドゥーム・ウォー』が発売。『ダークナイツ:デスメタル』へと繋がる重要タイトルでDC世界の未来と過去のヒーローたちが集結するさまは一見の価値あり。
そして先日発表された嬉しいサプライズが『ゴッサム・セントラル』の翻訳。なんの特殊能力も持たず、職業的倫理観だけに突き動かされてゴッサムの狂人たちと戦うゴッサム市警の活躍を描いた本作。グレッグ・ルッカ(ワンダーウーマン)や、ブルベイカー(ウィンターソルジャー)といったハードボイルドな作風で知られる人気ライターが手掛け、非常に高評価な作品なのですが、とにかく地味なタイトルであるのでまさか翻訳されるとは。



また嬉しいサプライズといえばマーベルの『スーペリア・フォー・オブ・スパイダーマン1』。シニスターシックスを名乗る5人組のC級ヴィランたちが、マーベルユニバースの底辺で繰り広げるドタバタ劇がまさかの翻訳です。その評判だけ聞いていつか手を出したいと思っていた本作が日本語で読めるとあって、管理人はすぐさま予約しました。

またマーベルからは『チャンピオンズ:チェンジ・ザ・ワールド』と『ウエスト・コースト・アベンジャーズ:ベスト・コースト』の翻訳も発表。前者はカマラ・カーン(Ms.マーベル)やマイルス・モラレス(スパイダーマン)、後者はケイト・ビショップ(ホークアイ)やグウェンプールを中心とした、若手ヒーローたちのチーム誌。明るいキャラ同士の掛け合いが魅力のタイトルですので、そういうのが好きな方は是非!


プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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