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X-Men#4

X-Men#4
(作:ジョナサン・ヒックマン、画:レイニル・F・ユー)

【ダボス会議】
スイスはダボスで開催される経済会議。
例年、各国の首脳、大企業の経営者、経済学の権威などが集まり、今後の世界経済の見通しなどを話し合う一大イベントであるが、今年は例年以上の意味合いを持っていた。
数か月前に突如現れたミュータント国家クラコアの首脳陣が会議の場に初めて参加するのである。

太平洋に突如現れた"生きている島"に領土を構えるクラコアは、そこで生産される夢のような効果を持つバイオ医薬を、(クラコアの主権を認める国家にのみ)輸出することで、圧倒的な力を持つ経済大国としてその存在を人類社会に認めさせたのだ。

いまや世界で最も重要な経済トピックとなったクラコア。その首脳陣たちを乗せた飛行機が会場に到着する。
そしてボディーガードであるサイクロプスとゴーゴンに先導されて降りたのは…
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クラコアの中枢ともいえる"沈黙の評議会"の一員、プロフェッサーX、マグニート、アポカリプスの3人であった。

ガードマン:今回の会議は食事会形式ということで、すでに他の出席者はお揃いです。
護衛の方はこちら、こちらで待機ください。


プロフェッサーXたちを招き入れたセキュリティ担当官は、一方でボディガードとして帯同したゴーゴンの装備を見とがめる。

ガードマン:その刀はこちらでお預かりします。もちろん、護衛の武装は許可されています。ただ、あまりにもこれ見よがしな態度は問題となります。
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ゴーゴン:"問題"ね。本当の問題は、私と対峙した君が、この刀だけを危険視していることこそが真の問題だとは思うがね。
まぁ安心してくれて結構。我々は礼儀を護る。



【マグニートの発言】
ついに始まった会議。経済界の大物たちが見守る中、マグニートは改めて、今まで繰り返されてきた人類によるミュータント迫害の歴史を語り、世界が如何にその歴史を修正しようとしても、ミュータントはそれをけして忘れることはないと宣言する。

出席者:もちろん、我々だって歴史を忘れることはない。そして、国際社会におけるあなた方のような態度が何を招くかは、その歴史を紐解けば明白。戦争だ。
マグニート:いや、戦争は起こらない。
出席者:なぜそう言い切れる?
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マグニート:私はかつて、世界中の軍事兵器を奪い、それをあなたたち向けたことがある。
私は、そうすることで世界中に、私がいかに強大であるかを示そうとしたのだ。

しかし、我々は学んだ。
我々は、他でもない君たちから、"経済"という兵器を使った"影響力"を奪い合う戦争を学んだのだ。

これから我々は君たちに、より健康な生活を、より高い教育を、より豊かな人生を与える。
それによって我々は莫大な財産を手に入れるだろう、そして我々はその金を投資に回す。
我々は、君たちの銀行を買い、学校を買い、メディアを買い、政治家を買う。
安いもんだ、喜んで金を払わしてくれ。

そして、我々はそうして手に入れた影響力で、我々の敵が決して経済力を持てないようにする。
我々の創る社会に、彼らの居場所は与えない。
彼らが、その時代遅れで危険な思想を吹聴できる場所を絶やすことこそが重要なのだ。

勿論、そうなった後でも我々を恐れ憎む人々は現れるだろう。しかし、だとしても彼らにはもはや何もできない。
というわけで、「戦争は起こらない」。私がさっき言った通りだ。

マグニートが開陳する今後の経済展望に沈黙するしかない会議参加者。
そんな彼らにマグニートは、にこやかにこう告げる。

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マグニート:ところでこのステーキは素晴らしいな。シェフに賛辞を伝えておいてくれ。

【プロフェッサーXの発言】
マグニート:随分と耳元を気にされているようだが、はっきり言っておこう、彼らはこない。
気まずい静寂が流れる中、マグニートは今回の会議の主催者に声をかける。
言葉の意味が解らず、首を捻る他の出席者に対し、マグニートは、主催者が自分たちを暗殺するように密かに特殊部隊を配備していたこと、そしてその特殊部隊は既にサイクロップスとゴーゴンが排除したことを説明する。
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狼狽した主催者は、他の出席者に言い訳をするかのように、怒声をあげる。
主催者:この男は嘘をついている!そもそも彼らは信用できない。
今の平和的な態度にしてもいつまで持つか…

プロフェッサーX:1ヶ月だ。


それまで、沈黙を守っていたプロフェッサーXが声を上げる。

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プロフェッサーX:クラコアを建国した後で、君たちが暗殺者を差し向け、私を殺すまで1か月しかかからなかった。
(現在、ミュータントは複数のミュータントの力を組み合わせることで、死からの復活が可能となっており、別タイトル『Xフォース』にて暗殺されたプロフェッサーXも、問題なく復活しました。)
皆さんは、私が「人類とミュータントの平和的共存」という夢を諦めたように見えるかもしれません。
私がもはや人類を愛していないかのように見えるかもしれません。
とんでもない、私は君たちを愛している。

ある友人は私に「貴方は間違った夢に半生を捧げてきた」と言った。…そうかもしれない。
それでも、私は心のどこかで、君たちを信じたいとまだ思っている。

それなのに貴方たちが私を殺すまで1か月。
そして今日もまた同じことを試みた…そういうことです。


語るべきことをすべて語り、会場を後にするミュータントたち。
その背中に、参加者の1人が声をかける。

参加者:今日の列席者の全員が、君たちが世界を自分たちの物だと思っていることを目撃した。
今後我々はどう動くと思っている?


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プロフェッサーX:私たちが自分のものを「自分のものだ」と宣言したことをお怒りなら、やることは一つ。
「進化し、適用し、より高みを目指す」私たちが今までやってきたことと同じですよ。
いずれにせよ、次また同じようなことがあれば、今度はこんなに平和裏には終わらないとだけは申し添えておきます。


***************************

というわけで、今回は『ハウス・オブ・X』と『パワーズ・オブ・X』で新しいスタートを切り、現在快進撃を続けているX-MEN系列からX-MEN本誌の紹介をしました。

と言いながら、実際のところX-MEN誌は、現在のミュータントを取り巻く状況を一話完結方式で紹介するような形式で、
むしろクラコアの実務部隊を描く『Xフォース』誌や、
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クラコアの医薬品を世界中に輸出するとともに、様々な理由によりクラコアに亡命できないミュータントを救出する任務を帯びたヘルファイヤ商会の活躍を描く『マローダーズ』の方が、本筋に近いかもしれません。
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ところで、今回の記事を書きながら気が付いたのですが、今回の最後でプロフェッサーXが人類に進化を促したのは重要な意味がありそうです。

現在のところ、物語はあたかも"ホモ・サピエンス(人類)vsホモ・スペリオール(ミュータント)"という構図で進んでるように見えるかもしれません。しかし、プロフェッサーXたちにとって、人類との戦いは前哨戦に過ぎず、彼らの視線はすでにその先の敵を見据えています。
その敵の名前はホモ・ノヴィッシマ。
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環境に適応することで人類から進化したミュータントと異なり、自らを取り巻く環境自体を科学技術によって適応させていくことで人類から枝分かれした新人類です。
1,000年後の未来を体験し、人類でも機械でもなくこのホモ・ノヴィッシマこそがミュータントの最後の敵であることを知ったモイラとプロフェッサーXですが、彼らはいつ、どの瞬間にホモ・ノヴィッシマが誕生したのかを知りません。

「自分たちが進化の最先端であると思い込んでいたミュータントが、いかにして彼らの先を走るホモ・ノヴィッシマと戦うのか?」は、ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X以後のX-MENの一つのテーマであることを考えると、人類にさらなる進化を促すプロフェッサーXの言葉は、単なる皮肉であるわけがない。
管理人は、このセリフに、今後の展開を占う重要な意図が隠されていると予想しています。

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今回紹介した作品はこちら。もし本作を読むのであれば、現在のX-MEN系列のスタート地点となったミニシリーズ『House of X/Powers of X』も読んでおくことをお勧めします。


続いて翻訳本ですが、こちらはなんといっても『ヴィジョン 1』がお勧め。「21世紀のマーベル最高傑作」という惹き文句がこけおどしにならない作品で、MCUのドラマ『ワンダヴィジョン』の原作の一つと言われている作品です。
また日本人作家藤ナオさんによるマーベル公式猫コミック『マーベル・ミャオ』も発売決定。
こちらは、「ほぼ全編描き下ろし&日本オリジナル編集」ということですので、Web版を見た方もぜひどうぞ。


またDCではドラマ化の決まったバットウーマンの作品『バットウーマン:エレジー』が発売。
アメコミ表現の最先端と言ってもいい美麗アートと変態的なコマ割りもみどころで、管理人が楽しみにしている作品です。
また、いまAMAZONを眺めていたら『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』を発見!
こちらは、アメコミ、BD、漫画を含めたマンガ理論をまとめた米国人によるコミック。
長年プレミアがついていた本作が、新訳になって復刊!
プレミアを払って古本を買った管理人としては悔しい限りですが、「コミックとは何か?」「日本の漫画は欧米のそれと何が違うのか?」といったコミックに関するあれこれを、感覚に頼らないあくまで論理的な方法でアプローチする快作ですので、未読の方は是非!

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プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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