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ドゥームズデイ・クロック #1

ドゥームズデイ・クロック #1
(作:ジェフ・ジョーンズ、画:ゲイリー・フランク)

空想の侵略者によって脳を沸騰させられた死体がストリートを満たしたとき、俺達にはまだチャンスがあった。
だが、奴らはそれを台無しにした。
神はこの世界を後にし、俺たちに楽園を残した。まるで5歳児に剃刀を手渡すかのように…


【7年後】
1992年、オジマンディアスの企みによるマンハッタン島の大量虐殺から7年。
当初はオジマンディアスの読み通り、存在しない敵を前に協調の道を歩み始めたかに見えた各国であったが、核兵器廃棄条約の締結の直前にロールシャッハの手記が流出。
オジマンディアスの陰謀は世界中の人々が知るところとなり、"核なき世界"は再び幻想のものとなった。
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ロシアによるポーランド侵攻、北朝鮮の核配備完了、国境に築かれた"壁"を超えメキシコに逃げ出す難民たち、米国大統領のホールインワン、世界には暗いニュースが渦巻き、世界は再び人類滅亡へのカウントダウンを始めていた。

【ロールシャッハ登場】
アメリカ東部、ロシアによる核攻撃で避難勧告がでたこの地域にある刑務所ではパニックが起こっていた。
我先にと逃げ出す看守と、暴動を起こす囚人たち。誰もが刑務所の外へと向かう中、ただ1人建物の奥へと進んでいく人影。
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人影の正体はロールシャッハ。Dr.マンハッタンによって塵と消えたはずの男が再び現れたのだ。

ロールシャッハの向かう先は、刑務所の最深部の独房に収監されたマリオネットと呼ばれる女性。
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「彼女をある場所に案内するように相棒に頼まれた」と主張するロールシャッハは、成り行き上マリオネットと彼女の夫マイムを刑務所より連れ出し、2人をロールシャッハの相棒の待つニューヨークへと向かう…

【世界一賢い男。そして…】
ニューヨークの地下にあるロールシャッハの目的地、そこはかつてダニエル・ドライバーグ――ナイトオウルと呼ばれた男の作った秘密基地であった。

ナイトオウルのファンらしく、彼の登場を期待するマリオネット。
しかし彼女の前に姿を現した男、それはかつて当世を代表する思想家として"世界一賢い男"称えられた男、オジマンディアスであった。
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今や"世界一のお尋ね者"となったオジマンディアスは、マリオネットに語り掛ける。
オジマンディアス:私の夢は潰えた。もう私には世界を救うことはできない。ただ、それが可能な人間が1人だけいる。Dr.マンハッタンだ。
マリオネット:Dr.マンハッタン?もう何年も誰も見ていないはずよ…
オジマンディアス:その通りだ。それこそが我々のミッションだ。Dr.マンハッタンを探し出す、たとえ彼がどこに行ったのであろうとも!


…舞台は変わり、メトロポリスのとあるマンションの一室。
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寝室で眠る夫婦に異変が起きる。
夫が悪夢にうなされ飛び起きたのだ。

男性:高校時代の夢を見てた…母さんの叫び声、父さんが歯を食いしばって…
あれは父さんと母さんが死んだ日だ。凄く…こわかった
女性:落ち着いて、クラーク。あなたが悪い夢を見るなんて珍しいわね
クラーク:ロイス。それが今まで一度たりとも見たことないんだよ…

********************
というわけでついにDCリバースの最終章、DC世界とウォッチメン世界の衝突を描いたミニシリーズ『ドゥームスデイ・クロック』が始まりました!
一コマ一コマ息がつまるような内容の素晴らしさは、実際に本誌を手に取ってもらうとして、今回は#1で気になる点を挙げていきましょう。

【ロールシャッハの正体】
いずれ登場することは誰もが予想していたものの、第一話から惜しげもなく登場を果たしたロールシャッハ。
しかし、知っての通りロールシャッハはウォッチメンのラストにおいてDr.マンハッタンに殺されたはず。

それでは今回登場したロールシャッハは誰なのか?
彼の正体については既に何個かヒントが明かされています。

まずはマリオネットに「初代のロールシャッハとは別人であることの証明」を問われて見せた彼の手。
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見ての通り黒人です。

『ウォッチメン』において黒人の登場人物は実はそれほど多くないのですが、1人うってつけの人物がいます。
それは初代ロールシャッハ、ウォルター・コバックの精神鑑定を行った精神科医Dr.マルコムです。
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ロールシャッハの心の闇を除くうちにその闇に取り込まれてしまったマルコム医師ほど、本作のロールシャッハにふさわしい人物はいません。
それを証明するかのように、本作でロールシャッハの車から零れ落ちた書類の中に、コバックのものと思われる精神鑑定のプロファイルが見て取れます。
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しかし待ってください。
ロールシャッハの正体としてここまでうってつけの人物であるマルコム医師ですが、実は彼は『ウォッチメン』の終盤、ニューヨークの大量虐殺に巻き込まれ死亡しているのです。

これに関してはファンの間で2つの説があります。
1つは「実はマルコム医師は実は死んでいない」というもの。
この立場をとる人たちが根拠として挙げるのは、『ウォッチメン』における彼の死にざま。

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よく見るとその死体の目は見開かれており、テレパシー爆弾で呆けているだけのようにも見えます。

もう1つの説は「彼はマルコム医師本人ではなく、彼の身内である」というもの。
マルコム医師の奥さんは彼と一緒にニューヨークの虐殺に巻き込まれていますので、残るのは彼の子供。

勿論、マルコム医師の息子/娘は作中には登場していません。
しかし実は『ウォッチメン』においてマルコム医師は"DAD"と書かれたマグカップを使っているのです!
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(こんなの良く見つけたな)

【マイム&マリオネット】
続いては本作で初登場したマイムとマリオネット。往年のジョーカーとハーレクインを思わせる"バカップル"っぷりをみせる2人のヴィランですが、実はこの2人にも面白い考察があります。
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ご存知の方も多いと思いますが『ウォッチメン』は元々オリジナル世界ではなく、DC社が買収したチャールトンコミックスの世界を舞台したコミックとして企画されていました。

このためウォッチメンの登場人物には、
ロールシャッハはクエスチョン、
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ナイトオウルはブルービートル、
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などそれぞれの元ネタとなったチャールトンコミックスのキャラクターがいます。

実は、本作においてもこの原則は守られている、つまりマイム&マリオネットにも元ネタとなるチャールトンコミックスのキャラクターがいるのではというのです。

その元ネタとして挙げられるのがパンチ&ジュエリー。
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そう!『バットマン:アイ・アム・スーサイド』にも登場したあの2人組なのです!
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【宣伝(使いまわし)】

前回の記事では、ドニー・ケイツの非ヒーロー系のタイトルを少し紹介しましたが、最近の米国での非ヒーロー系のコミックの盛り上がりは目を見張るものがあり、ヒーロー系で腕を磨いたクリエーターが非ヒーロー系の作品に移って大ヒットを飛ばすのが一つの潮流となっています。
ヒーロー系を追っているとそういった作品の情報も自然と耳に入ってくるのですが、なかなか手を出しづらく面白そうな作品を横目でにらんでいるような状態だったのですが、最近はそういった非ヒーロー系作品の翻訳もコンスタントに出版されるようになり、嬉しい限りです。
そんなわけで、今回はそんな非ヒーロー系で気になる新刊を紹介。

『モンストレス vol.1: AWAKENING』売れっ子作家マージョリー・リュウと日本人アーティスト、サナ・タケダによるホラーコミック。
サナ・タケダの美麗でどこか妖しい筆致によって描かれた獣人や伝説上の生物が闊歩するアルーデコ風のスチームパンク世界が人気を博し、SF作品の最高峰ヒューゴ賞を受賞した作品が、遂に翻訳開始!

美麗なアートといえば『サンストーン』も忘れてはいけません。
現在アクアマンも担当しているステファン・セジクによるレズビアンとボンデージセックスをテーマとした作品。
これはもう、ちょっと検索してアートと作風を確認してみてくださいとしか言えない作品です。

最後にお勧めしたいのが、『Y:THE LAST MAN』の最終話!
「全ての男が死滅し女だけの世界となった現代の地球で生き残った最後の男」というシチュエーションを、俗悪な方向に流されることなく描き切った傑作コミックが遂に完結。
アメコミ界の最高権威アイズナー賞を総なめにしたのも納得の作品ですの、未読の方はこれを機にぜひ!



続いてヒーローコミックですが、2017年初頭のDCのクロスオーバー『ジャスティス・リーグ VS.スーサイド・スクワッド』が早くも翻訳決定。
DCを代表する2大ヒーロー(?)チームの激突を描いた作品ですが、当ブログをご覧の方はご存知の通りそこに介入する"第三のチーム"がファンの話題をさらった作品でもあります。
そんなスーサイドスクワッドですがリバース後第二巻にあたる『スーサイド・スクワッド:ゴーイング・セイン』も同時に発売予定。
また『ワンダーウーマン:イヤーワン』も翻訳が発表。こちらも一応リバース後の第二巻に当たるのですが、ワンダーウーマン誌は奇数号の現代編と偶数号の過去編を交互にやるという特殊な出版形態をとっており、本作はその過去編にあたるワンダーウーマンの誕生譚を収録。
このためいきなりここから読み始めても何ら問題のない作品になっています。
また、MCU版ドラマの日本公開を控えた『インヒューマンズ』も翻訳予定。こちらはかつてマーベルの大人向けレーベル"マーベルナイツ"の目玉の一つとして発表され、その華美で退廃的な雰囲気で今日のインヒューマンズのイメージの礎を築いた記念碑的作品ですので、翻訳は嬉しいところ。





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Dr.ストレンジ #380-381

Dr.ストレンジ #380-381
(作:ドニー・ケイツ、画:ガブリエル・ヘルナンデス・マルタ)

【至高の魔術師】
ニューヨーク市ブリーカー街177Aに存在する古びた洋館サンクタム・サンクトラムは宙に浮いていた。
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館の主である至高の魔術師が、かつてのように来訪者を好まなくなったからだ。

主の名前はロキ。数十年に一度開かれる闘技会の結果、正式に"至高の魔術師"の座を獲得したのだ。
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あまりの出来事に呆気にとられるマーベル世界の魔術師達。
しかしロキはそんな同業者たちの冷たい視線を気にするそぶりも見せず、飄々と異界の脅威から現実世界の秩序を守るという至高の魔術師の使命を果たしていく…

一方で、今や"元"至高の魔術師となり下がったステファン・ストレンジは、かつての彼の希望通り、医術をもって人々を助ける役目に戻っていた。
獣医Dr.ストレンジとして!
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(ちなみに医師としてのライセンスは失効しちゃってました)

【ロキの狙い】
勿論、ロキが至高の魔術師の座を奪い取ったのは、世界を護るためではなかった。
彼の本当の狙いは魔法界に伝わる伝説の魔法"シンスーンの放逐"の習得。
存在すら疑われる究極の魔法を、Dr.ストレンジがサンクタム内の開かずの間に隠していると読んだのだ。

開かずの間の扉を開けるために、様々な手段を講じるロキだが、彼の力をもってしてもその扉を開けることはかなわない。
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(開かずの間を開けるために、アスガルドの処刑者スカージの伝説のアサルトライフルを持ち出すロキ。
映画をご覧になった方は"デス"と"トロイ"と言った方が通りがいいかもしれません。)

余談ですが、マーベル・レガシーではロキが"世界を救うため"と称してマーベル界に存在する様々なパワーソースをなりふり構わず求める姿が散見されます。

インフィニティ・ガントレットにはじまり…
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『マーベル・レガシー』誌にて存在が明かされた地球に封じられた"ザ・フォールン"と呼ばれる謎のセレスチャル、
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そして所有者を"世界の屠殺者"へと変える謎の黒剣ネクロソード。
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はたして今回のロキの活動もこれらの探索の一環なのでしょうか?


【復活!!】
"動物と話せる獣医"として気味悪がられながらも、何とか一般人としての生活に戻りつつあったDr.ストレンジであったが、
ロキの真の狙いを知った彼は、何としてでもロキを止めなければいけないと行動を開始する。

しかし、一介の獣医となったストレンジには至高の魔術師である神を倒すことなど到底不可能。
窮したストレンジは最後の手段として、ロッククライミングでしかたどり着けない雪深い絶壁の頂上に存在する、場違いなまでに普通の郊外型住宅を訪れる。

家の住人はこれまた、場違いなまでに普通の男性ロバート。
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ストレンジ:君の助けが必要なんだ、ロバート。
ロバート:だめだ、そんなことをしたらどんな風になるか、あなただってわかってるはずだ。はやく僕の頭から出て行ってくれ。
ストレンジ:大丈夫、君はもう完治した、もう正気なんだ。それに今回は多くの人々の命がかかっている。
ロバート:……わかった。私は何をすればいい。
ストレンジ:先ずは変身してくれ。すまないが私が必要なのは君ではない、セントリーなんだ!

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*********************
というわけで始まった、マーベル・レガシー期のDr.ストレンジ誌。
管理人は実は当初は手を出す気はなかったのですが、米国のコミックショップの店長たちがやたらとライターであるドニー・ケイツを信頼し、彼の手掛けるDr.ストレンジ誌とサノス誌を推しているのが気になったために読んでみることに。

ドニー・ケイツは2大出版社での仕事は多くはないものの、イメージやアフターショックなどの非ヒーロー系の出版社で近年頭角を現してきた若手ライターで、アメリカ南部の粗野な田舎町に潜む吸血鬼一族を描いた『レッドネック』や、地獄の門を開く反キリストとしての宿命をもった赤ん坊を育てる母親の奮闘を描いた育児漫画『ベイビートゥース』などが代表作。
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そんな新進気鋭のライターが、遂に『Dr.ストレンジ』と『サノス』の2タイトルで本格的にマーベルに参戦するのは一つの事件ですし、そんな彼に上記2誌だけではなく来年開始のイベント『ダムネーション』の本編を任せたことからも、マーベルが彼に寄せる期待が大きいことが窺えます。
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この『ダムネーション』は、『シークレットエンパイア』の影響で地獄に落とされ悪魔メフィストによって支配される"悪徳の街"となったラスベガスを舞台にしたイベントで、この『Dr.ストレンジ』誌もタイインとして参加する見込み。
管理人は成り行き上このイベントも追ってみる予定ですが、"次代の大物"と称される彼の評判が本物か、非常に楽しみです。
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【宣伝】

今回の記事では、ドニー・ケイツの非ヒーロー系のタイトルを少し紹介しましたが、最近の米国での非ヒーロー系のコミックの盛り上がりは目を見張るものがあり、ヒーロー系で腕を磨いたクリエーターが非ヒーロー系の作品に移って大ヒットを飛ばすのが一つの潮流となっています。
ヒーロー系を追っているとそういった作品の情報も自然と耳に入ってくるのですが、なかなか手を出しづらく面白そうな作品を横目でにらんでいるような状態だったのですが、最近はそういった非ヒーロー系作品の翻訳もコンスタントに出版されるようになり、嬉しい限りです。
そんなわけで、今回はそんな非ヒーロー系で気になる新刊を紹介。

『モンストレス vol.1: AWAKENING』売れっ子作家マージョリー・リュウと日本人アーティスト、サナ・タケダによるホラーコミック。
サナ・タケダの美麗でどこか妖しい筆致によって描かれた獣人や伝説上の生物が闊歩するアルーデコ風のスチームパンク世界が人気を博し、SF作品の最高峰ヒューゴ賞を受賞した作品が、遂に翻訳開始!

美麗なアートといえば『サンストーン』も忘れてはいけません。
現在アクアマンも担当しているステファン・セジクによるレズビアンとボンデージセックスをテーマとした作品。
これはもう、ちょっと検索してアートと作風を確認してみてくださいとしか言えない作品です。

最後にお勧めしたいのが、『Y:THE LAST MAN』の最終話!
「全ての男が死滅し女だけの世界となった現代の地球で生き残った最後の男」というシチュエーションを、俗悪な方向に流されることなく描き切った傑作コミックが遂に完結。
アメコミ界の最高権威アイズナー賞を総なめにしたのも納得の作品ですの、未読の方はこれを機にぜひ!



続いてヒーローコミックですが、2017年初頭のDCのクロスオーバー『ジャスティス・リーグ VS.スーサイド・スクワッド』が早くも翻訳決定。
DCを代表する2大ヒーロー(?)チームの激突を描いた作品ですが、当ブログをご覧の方はご存知の通りそこに介入する"第三のチーム"がファンの話題をさらった作品でもあります。
そんなスーサイドスクワッドですがリバース後第二巻にあたる『スーサイド・スクワッド:ゴーイング・セイン』も同時に発売予定。
また『ワンダーウーマン:イヤーワン』も翻訳が発表。こちらも一応リバース後の第二巻に当たるのですが、ワンダーウーマン誌は奇数号の現代編と偶数号の過去編を交互にやるという特殊な出版形態をとっており、本作はその過去編にあたるワンダーウーマンの誕生譚を収録。
このためいきなりここから読み始めても何ら問題のない作品になっています。
また、MCU版ドラマの日本公開を控えた『インヒューマンズ』も翻訳予定。こちらはかつてマーベルの大人向けレーベル"マーベルナイツ"の目玉の一つとして発表され、その華美で退廃的な雰囲気で今日のインヒューマンズのイメージの礎を築いた記念碑的作品ですので、翻訳は嬉しいところ。



バットマン#25-32 (ウォー・オブ・ジョークス&リドルス)

久々の更新ですみません。11月はプライベートが人生で一番といってもいいくらい忙しかったもので…
おかげで、海外マンガフェスタも東京コミコンも行き逃してしまいました。
今後も更新は不定期になると思われますが、引き続きよろしくお願いします。

バットマン#25-32 (ウォー・オブ・ジョークス&リドルス)
(作:トム・キング、画:ミケル・ハニン)

バットケイヴに残された謎のスマイルマークを巡るフラッシュ誌とのクロスオーバー『ザ・ボタン』にてフラッシュポイントの世界へと導かれ、その世界におけるバットマン――つまりは父であるトーマス・ウェインと再会を果たしたブルース。

崩壊する世界に取り残されたトーマスは、ブルースに最後の言葉を贈る。
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トーマス:バットマンとなるな。私や母のためにそんなことをする必要はないんだ。
父になれ、お前自身の幸せを見つけるんだ。

かくして自身を突き動かす強迫観念じみた使命感に対する赦しを胸に、自分の世界に帰還することとなったバットマン。
そんな彼が次に行ったこと、それは自分と同じ心の傷を抱えお互いのトラウマを理解しあえる唯一の女性、キャットウーマンへの求婚であった。
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しかしキャットウーマンからの回答を聞く前に、バットマンには彼女に伝えなければならないことがあった。
それは彼が過去に犯した罪の告白。バットマンは、彼が今までの人生でひた隠しにしてきた罪を知った上で求婚の是非を考えるよう、キャットウーマンに懇願する。
バットマンがキャットウーマンに告白した"バットマンの最大の恥"、それは彼がバットマンとして活動を始めた最初期に起こったジョーカーとリドラーの抗争、「ジョークとリドルの戦争」として人々に記憶される事件に遡る…
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・・・というわけで、『アイ・アム・ゴッサム』、『アイ・アム・スーサイド』、『アイ・アム・ベイン』の"アイアム三部作"の後に続くバットマン誌のストーリー、それはジョーカーとリドラーをそれぞれ筆頭におきゴッサムヴィランを二分する大抗争劇でした。

今回の物語の肝、それはこの抗争劇の主軸はあくまでもジョーカーとリドラー、そして彼らの部下として激しく争うヴィラン達であり、バットマンでさえ、ゴッサムの市民同様、強大な力同士の激突に翻弄される第三者でしかないということです。

それを象徴するかのように、作中ではジョーカーとリドラーの戦いの全体像が語られることはなく、戦争に巻き込まれた人々の視点から断片的なあらましが語られるにすぎません。

ジム・ゴードン…
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ブルース・ウェイン…
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そしてバットマン。
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ゴッサムの守護者たちはそれぞれ持てる力を駆使して戦争を止めようとしますが、互いのプライドをかけて全力で争い続けるヴィラン達を前に、彼らの奮闘も蟷螂の斧に過ぎません。
(いつもならば全てを解決する筈のバットマンの活躍も、"POW""CLNNN"などの滑稽な擬音で飾り立てられ、本当の戦争を前にどこか作り物めいたものとして描かれていることに注目)

そんな中、この戦争を止めるために密かに立ち上がった一人の男がいます。
男の名前はカイトマン。
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DCリバース期のバットマン誌に何度も登場し存在そのものがジョークのように扱われるB級ヴィランですが、何を隠そう彼こそがこの物語の陰の(いや、表のかも…)主役なのです。

果たして、凧揚げが好きなだけのさえない中年男がコスチュームヴィランとなったのは何故なのか?
彼の口癖"Hell Yeah"に秘められた本当の意味とは?
彼の登場が2人の大物ヴィランの戦争に何をもたらすのか?
そして、"ジョーク"と"リドル"の違いとは?

個人的には今年読んだアメコミの中のベストストーリーに挙げたい本作。
翻訳が出ることはほぼ確実だと思いますが、皆さんも是非どうぞ!

【余談】
冒頭に書いたように、父との出会いでトラウマを解消し、自身の幸せを模索しはじめたバットマン。
しかし読者としてはこのことを手放しで喜ぶことはできません。
なんといってもこの出会いを演出したのは、DCリバースの黒幕と目される謎の存在でなのですから…
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【宣伝】
最近の注目作の初めは「インフィニット・クライシス」。初代クライシスで次元の彼方へ消えていったゴールデンエイジのスーパーマンが、不審と欺瞞が渦巻く現代のDC世界に帰還するという粗筋だけで、興奮が止まらない作品です!
(実は管理人は未読。楽しみ!)
また、人気者ハーレクインがDCを代表するキャラクターやアーティストたちと共演する「ハーレイ・クイン:リトル・ブラック・ブック」も楽しみです。
続いて個人的に押したいのが「スーパーマン:アメリカン・エイリアン」!
以前当ブログでも紹介しましたが、まだスーパーマンと呼ばれる前のクラークがゆっくりと大人へと成長していく姿を情感たっぷり(そしてユーモアもたっぷり)に描いた作品で、名作ぞろいのスーパーマンの新たなマスターピースとの呼び声も高い傑作です。


プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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