ニュー・スーパー・マン #8
ニュー・スーパー・マン #8
(作:ジーン・ルン・ヤン、画:ビリー・タン)
今回は、ジーン・ルン・ヤンの"中華スーパーマン"ことニュー・スーパー・マンの紹介。
このタイトルを紹介するのは初めてですので、まずは簡単に登場人物たちの紹介を。
ちなみに本作は中国を舞台としているため、固有名詞に漢字の意味を逐語訳した英文がつけられています。
記事内ではこれらの名前に適当に漢字名をつけていますが、日本人である管理人による適当訳ですのでご容赦ください。
[スーパー・マン]
本名コン・キーナン(孔克南)。

上海在住の青年。街で鉢合わせしたヴィランを偶然倒す様がSNS上でバズったところを、「官製ヒーローチームの設立による中国の威信高揚」を目的とする秘密組織"自立省(ミニストリー・オブ・セルフリライアンス)"に目をつけられる。
自立省の秘密施設にて"スーパーマンの気"を注入されたコンは、不安定ながらスーパーマンの能力を身に着け、官製ヒーロー"スーパー・マン・オブ・チャイナ"として活躍することに…

本人はかなりお調子者で軽薄な性格。
美人レポーターの気を引きたいがために、全世界に自分の正体を発信してしまう。
[ジャスティスリーグ・オブ・チャイナ]
自立省が設立した官製ヒーローチーム。

スーパー・マンの他には、太っちょな皮肉屋バット・マンと、融通の利かない女戦士ワンダー・ウーマンがいる。
(ちなみに彼らのコードネームは"Super-man"、"Bat-man"のようにハイフンが入っています。けして海賊版ではありませんよ!)
彼らの存在はしばらく秘密にしておくはずであったが、これもコンくんのせいで全世界に発信…
[Dr.オーメン]
自立省を率いる女マッドサイエンティスト。
『ファイナルデイズ・オブ・スーパーマン』にて初登場した時からすでに、スーパーマンの体から発せられた気を別人に纏わせる実験を行っていた。
[フリーダム・ファイターズ・オブ・チャイナ]
「正義、真実、そして民主化」を合言葉に、中国の民主化を目論むテロ組織。
人造スタロを用いたマインドコントロールで人民を操ることで民主化を成し遂げようとするも、ジャスティスリーグ・オブ・チャイナに止められる。

幹部の飛龍将(フライング・ドラゴン・ジェネラル)の正体は、車の整備工として働くコンの父親。
ちなみにリーダーのヒューマン・ファイアクラッカー(人間花火)は、本家フリーダム・ファイターズのヒューマン・ボムとは無関係。
突然ヒーローに仕立てあげられ、イデオロギー闘争に巻き込まれたコンとリーグの面々。
初めはDr.オーメンの命令にただ従っていたリーグだが、やがて彼らはイデオロギーや政治形態とは無関係に営まれる"人々の日常"の重要さを学んでいく…
そんなある日、自立省の海底牢獄に謎の人影が現れる。

人影は、『ファイナルデイズ・オブ・スーパーマン』に登場した"最初のスーパー・マン"の独房で立ち止まり、彼を解き放つ。
我こそは全ての始まり。我なくしてスーパー・マンはなく、スーパーヒーローそのものも存在しえなかった。
"最初のスーパー・マン"の問いかけに、そう答える人影。
その姿はなんと…

というわけで、現れたこの男。
コミックファンならば、おそらく1度は目にしたことがあるこの人物ですが、その名前を知る人は少ないでしょう。
彼の名前はチン・ラン。
1937年に発売されたディテクティブ・コミックス第一号の表紙を飾ったキャラクターです。

同誌が、DC社の前身であるDetective Comics,Inc.が初めて発売したコミックであることを考えると、バットマンもスーパーマンも、ひいては"スーパーヒーロー"という存在そのものがこの男から始まったと言えるわけで、彼のセリフもあながち間違いとは言えないでしょう。
しかし、西側諸国がアジアに対して感じていた不安や蔑視をそのまま体現したようなその姿は"当時の差別主義の象徴"として度々槍玉に上げられる言わば"コミック業界の負の歴史"でした。
そんな彼の再登場について、ニュー・スーパー・マン誌のライターを務めるジーン・ルン・ヤンは、新聞社のインタビューについてこう語っています。
「DCリバースがDCの全歴史を受け入れる試みだとしたら、その醜い面にも光を当てるべきだ。」
「彼の再登場にあたり、その外見を現代的にリデザインする道もあった。しかし、彼をリデザインするとなれば必然的に現代における黄禍論を取り込む形になるだろう。
それは私の意図するところではない。
私がやりたいのは過去の悪しきステレオタイプをあげつらう事ではなく、コミックの過去を再確認することで、そこから現代のコミックがどれだけ遠くへと進んできたのかを知ることだ。」
"民主主義の拡大は本当に善なのか?"、"コミック界のおける人種差別の現在"と興味深い問題を扱いながらも、どこまでもコメディカルでヒロイックな視点で若者たちの成長を描く本作が、この悪役にどのような役割を割り振り、何を語らせるのか?
管理人は非常に楽しみです。
【宣伝】
今月発売のコミックで一番気になる作品といえばなんといっても『アイデンティティ・クライシス』!
"クライシス"の名を冠したDCの大型クロスオーバーながら、ヒーローコミックのタブーを破り大きく話題となったコミックです。
またワンダーウーマンのオリジンに鬼才グラント・モリソンが挑んだ『ワンダーウーマン:アースワン』や、New52のジャスティスリーグの完結編『ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 2』も今月発売です。
さらには日本での人気をよそになかなか翻訳されなかったトランスフォーマーのオンゴーイング誌『トランスフォーマー:フォー・オール・マンカインド』もついに翻訳開始となりました。
(作:ジーン・ルン・ヤン、画:ビリー・タン)
今回は、ジーン・ルン・ヤンの"中華スーパーマン"ことニュー・スーパー・マンの紹介。
このタイトルを紹介するのは初めてですので、まずは簡単に登場人物たちの紹介を。
ちなみに本作は中国を舞台としているため、固有名詞に漢字の意味を逐語訳した英文がつけられています。
記事内ではこれらの名前に適当に漢字名をつけていますが、日本人である管理人による適当訳ですのでご容赦ください。
[スーパー・マン]
本名コン・キーナン(孔克南)。

上海在住の青年。街で鉢合わせしたヴィランを偶然倒す様がSNS上でバズったところを、「官製ヒーローチームの設立による中国の威信高揚」を目的とする秘密組織"自立省(ミニストリー・オブ・セルフリライアンス)"に目をつけられる。
自立省の秘密施設にて"スーパーマンの気"を注入されたコンは、不安定ながらスーパーマンの能力を身に着け、官製ヒーロー"スーパー・マン・オブ・チャイナ"として活躍することに…

本人はかなりお調子者で軽薄な性格。
美人レポーターの気を引きたいがために、全世界に自分の正体を発信してしまう。
[ジャスティスリーグ・オブ・チャイナ]
自立省が設立した官製ヒーローチーム。

スーパー・マンの他には、太っちょな皮肉屋バット・マンと、融通の利かない女戦士ワンダー・ウーマンがいる。
(ちなみに彼らのコードネームは"Super-man"、"Bat-man"のようにハイフンが入っています。けして海賊版ではありませんよ!)
彼らの存在はしばらく秘密にしておくはずであったが、これもコンくんのせいで全世界に発信…
[Dr.オーメン]
自立省を率いる女マッドサイエンティスト。
『ファイナルデイズ・オブ・スーパーマン』にて初登場した時からすでに、スーパーマンの体から発せられた気を別人に纏わせる実験を行っていた。
[フリーダム・ファイターズ・オブ・チャイナ]
「正義、真実、そして民主化」を合言葉に、中国の民主化を目論むテロ組織。
人造スタロを用いたマインドコントロールで人民を操ることで民主化を成し遂げようとするも、ジャスティスリーグ・オブ・チャイナに止められる。

幹部の飛龍将(フライング・ドラゴン・ジェネラル)の正体は、車の整備工として働くコンの父親。
ちなみにリーダーのヒューマン・ファイアクラッカー(人間花火)は、本家フリーダム・ファイターズのヒューマン・ボムとは無関係。
突然ヒーローに仕立てあげられ、イデオロギー闘争に巻き込まれたコンとリーグの面々。
初めはDr.オーメンの命令にただ従っていたリーグだが、やがて彼らはイデオロギーや政治形態とは無関係に営まれる"人々の日常"の重要さを学んでいく…
そんなある日、自立省の海底牢獄に謎の人影が現れる。

人影は、『ファイナルデイズ・オブ・スーパーマン』に登場した"最初のスーパー・マン"の独房で立ち止まり、彼を解き放つ。
我こそは全ての始まり。我なくしてスーパー・マンはなく、スーパーヒーローそのものも存在しえなかった。
"最初のスーパー・マン"の問いかけに、そう答える人影。
その姿はなんと…

というわけで、現れたこの男。
コミックファンならば、おそらく1度は目にしたことがあるこの人物ですが、その名前を知る人は少ないでしょう。
彼の名前はチン・ラン。
1937年に発売されたディテクティブ・コミックス第一号の表紙を飾ったキャラクターです。

同誌が、DC社の前身であるDetective Comics,Inc.が初めて発売したコミックであることを考えると、バットマンもスーパーマンも、ひいては"スーパーヒーロー"という存在そのものがこの男から始まったと言えるわけで、彼のセリフもあながち間違いとは言えないでしょう。
しかし、西側諸国がアジアに対して感じていた不安や蔑視をそのまま体現したようなその姿は"当時の差別主義の象徴"として度々槍玉に上げられる言わば"コミック業界の負の歴史"でした。
そんな彼の再登場について、ニュー・スーパー・マン誌のライターを務めるジーン・ルン・ヤンは、新聞社のインタビューについてこう語っています。
「DCリバースがDCの全歴史を受け入れる試みだとしたら、その醜い面にも光を当てるべきだ。」
「彼の再登場にあたり、その外見を現代的にリデザインする道もあった。しかし、彼をリデザインするとなれば必然的に現代における黄禍論を取り込む形になるだろう。
それは私の意図するところではない。
私がやりたいのは過去の悪しきステレオタイプをあげつらう事ではなく、コミックの過去を再確認することで、そこから現代のコミックがどれだけ遠くへと進んできたのかを知ることだ。」
"民主主義の拡大は本当に善なのか?"、"コミック界のおける人種差別の現在"と興味深い問題を扱いながらも、どこまでもコメディカルでヒロイックな視点で若者たちの成長を描く本作が、この悪役にどのような役割を割り振り、何を語らせるのか?
管理人は非常に楽しみです。
【宣伝】
今月発売のコミックで一番気になる作品といえばなんといっても『アイデンティティ・クライシス』!
"クライシス"の名を冠したDCの大型クロスオーバーながら、ヒーローコミックのタブーを破り大きく話題となったコミックです。
またワンダーウーマンのオリジンに鬼才グラント・モリソンが挑んだ『ワンダーウーマン:アースワン』や、New52のジャスティスリーグの完結編『ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 2』も今月発売です。
さらには日本での人気をよそになかなか翻訳されなかったトランスフォーマーのオンゴーイング誌『トランスフォーマー:フォー・オール・マンカインド』もついに翻訳開始となりました。