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キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース #1-3

キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース #1-3
(作:ニック・スペンサー、画:ヘスース・サイズ)

【スティーブ・ロジャース復活】
スタンド・オフ』事件のさなかに、"生けるコズミックキューブ"ともいえる少女コビックの現実改変能力により若返ったスティーブ・ロジャース。
再び全盛期の力を取り戻した彼は、シールドのエージェントとして現場での活動に復帰していた。

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スティーブとシールドの目下の最大の懸念事項は、レッドスカルがリーダーとなったことで再び力を蓄えだしたヒドラ。
レッドスカルは、先進国の貧困層の間に広がる漠然とした不公平感を言葉巧みに移民や難民への憎しみへと転化させ、ヒドラの忠実な構成員とすることで急速にその版図を広げていく。

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(貧困のため社会からつま弾きにされてしまった青年。ヒドラの思想以外によりどころを失った彼は、スティーブの心からの説得を振り切り自爆テロの道を選ぶ…)

しかし、そんなレッドスカルによる新しいヒドラの隆盛を快く思わないのは、ヒーローたちだけではなかった。
"平和な牢獄"プレザントヴィルから脱出したジーモもまた、自身のヒドラを立ち上げようとしていた。

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バロン・ジーモ:レッドスカルは自分が新しいヒドラのリーダーだと世間に喧伝しているが、それは誤りだ。
ヒドラが、まともな教育も受けてないストリートギャングの集団であっていいわけがない。
ヒドラの理念を取り戻す戦争は今この場から始まる。
そしてレッドスカルを我々の前に跪かせるのだ!


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プラントマン:・・・"我々"? もう少しメンバーいないんですか?



しかし、そんなバロン・ジーモの同行を知ったシールドは、スティーブとその相棒のジャックフラッグをジーモの下に送り込む。
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突然の襲撃に、捕虜であるセルヴィク博士を連れて航空機で逃げ出すジーモ。
すかさず航空機に飛びつきそれを追うスティーブとジャックフラッグ。

激しい格闘戦の末、ジーモを取り押さえたジャックフラッグ。
そしてスティーブは彼の肩に手を置き、声をかける。
スティーブ:すまない、ジャック

戸惑うジャックフラッグを、手早く飛行機の外に投げ落とすスティーブ。
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そして…

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セルヴィク博士:それでは、偉大なるリーダーの話は本当だったのですね。あなたも我々の側で戦っているというのは!
スティーブ:全てはヒドラの、"真の"ヒドラの栄光のために。
セルヴィク博士:助けてくれてありがとう。あなたと偉大なるリーダーに感謝を…
スティーブ:あなたは少し勘違いされているようだ。ヒドラはあなたの献身に感謝している。が、すまない。他に方法がないんだ。

飛行機をビルへの衝突ルートに乗せたスティーブは、セルヴィク博士の拘束を解かぬまま、飛行機を後にする・・・

【スティーブの身に起こったこと】
自由主義の闘士であったはずのスティーブが、なぜヒドラの党員となったのか?
これにはもちろん、現実改変能力によってスティーブを若返らせた張本人であるコビックが絡んでいた。

シールドに保管されたコズミックキューブの欠片が自我を持ち、人間の少女の姿を持つようになった存在であるコビック。
実はこのコビックへと姿を変えたコズミックキューブは、もともとレッドスカルの持ち物であったのだ。
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器物であった自分へと注がれた愛着をよすがにレッドスカルの下にあらわれたコビック。

世界を思うがままに書き換える力を持つ秘宝が、人を疑うことを知らない純真な少女として現れたことに驚きを隠せなかったレッドスカルであったが、この少女が秘めた宇宙最強の力を自分のものとするため、彼女を何としてでも手なずけることを決意する。

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レッドスカル:こうしてヒドラはその偉大なリーダーと共に世界一のテロ組織となり、みんな幸せに暮らしましたとさ。
コビック:もういっかい!もう一回読んで!


シールドの研究施設で暮らすコビックと夜ごとに密会し、彼女を娘のようにあつかいながら愛情深くヒドラの思想に染め上げていくレッドスカル。
かくして、コビックは「世界中のみんなが楽しく暮らせるようになってほしい」という子供らしい純真な善良さと、「ヒドラによる独裁支配による新世界秩序」という思想を、自身の心の中で無理なく両立させていく。

コビック:どうしてシールドのみんなはヒドラにならないんだろ?世界を安全にしたいならば、わたしそれが一番だと思うの。
レッドスカル:まったく、君の賢さには目をみはるばかりだ。でももう少し待つとしよう。このことは2人の秘密にするっていう約束は守れているね? せっかくのサプライズパーティをだいなしにしてはいかんからな。
コビック:もちろん!ヒドラやおじ様の事は、わたしとセルヴィク先生以外知らないわ。


コビックがヒドラの事をセルヴィクに打ち明けていることを知り、狼狽するレッドスカル。
しかし、その後コビックのとりなしでセルヴィク博士と会ったレッドスカルは、コビックがセルヴィクにしたことを知り驚嘆する。
コビックはその力を用いて、セルヴィクを理想に燃える熱烈なヒドラ党員に仕立て上げたのだ。
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セルヴィクの心を覗き、それが洗脳やマインドコントロールのようなちゃちなものではなく、コズミックキューブの力を用いた完全な歴史改変であることを知ったレッドスカル。
(今のレッドスカルは、世界最高のテレパスであるエグゼヴィア教授の脳を奪い、その能力を自身のものとしています)

彼はその改変能力を積年のライバルであるキャプテン・アメリカに適用する計画を思いつく…


【スティーブロジャース:エージェント・ヒドラ】
ジーモとの戦いを終え、セルヴィク博士を抹殺したスティーブは…

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レッドスカル:遅いぞ。ヘル・ロジャース。
スティーブ:申し訳ありません。お許しください。
レッドスカル:許すかどうかは、お前次第だ。ジーモとセルヴィクの件は順調か?
スティーブ:はい。ただ本当にセルヴィクを殺す必要があったのでしょうか?彼の今までの功績を考えれば…
レッドスカル:それを判断するのはお前ではない! それで他に報告事項は?
スティーブ:実は昏睡状態ながらジャックフラッグが生きております。落下の衝撃を耐えきりました。
レッドスカル:馬鹿者!なぜ不確実な方法をとった!セルヴィクやジーモと一緒に爆破してしまえばよかったのだ。
スティーブ:申し訳ありません。あの時はそれが最善の判断だと・・・
それに敵ながらフラッグは、まっとうに埋葬されるべき立派な若者です。

レッドスカル:お前は柔弱すぎる!先日の自爆テロのときも、戦闘員に情けをかけたことは報告に上がっている。
スティーブ:お言葉ですが、総統。私がシールドのために活動していると改めて信じさせるために、若者を殺すのはやりすぎでは。
レッドスカル:うるさい!奴が投降し、支部の位置がばれたらどうするつもりだ。お前の情けとヒドラの理想を天秤にかけるつもりか!


"偉大なるリーダー"レッドスカルより強い叱責をうけ、その日の報告を終えたスティーブは、シールドのものでもレッドスカルのものでもない彼個人の計画に着手する。
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セルヴィク博士と共にレッドスカルを打倒し、理想のヒドラを取り戻す計画を!

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というわけで、5月より始まったキャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース誌の紹介でした。
"キャップが長年ヒドラの崇拝者であった"というクリフハンガーが、普段アメコミ特有のダイナミックな展開に親しんでいない層にまで拡散したせいで、炎上騒ぎにまで発展した本作。
その後「ユーザの猛抗議をうけて#2の展開をかえた」という、アメコミ出版体制の仕組みを知っていればありえないことがわかる噴飯物の記事がでまわるなど、アメコミ好きとしてはいろいろと感情をざわつかせられることが多かった本作ですが、その後これだけ魅力的な展開を見せているのに、(当たり前ですが)アメコミ好き以外では一切話題にならないのが悲しいところです。

今回のセッティングの面白いところは、キャップの忠誠心の向かう先が自由主義の理想からヒドラの理想にすり替わっただけで、彼本来の正義感は一切変わっていないところでしょう。
(そもそも今回の発端が、無邪気な少女の平和を愛する素朴な願いだったことを思い出してください)
ヒドラの末端構成員の哀れな境遇に向ける同情や、ひとたびヒドラがその"理想"を失ったとみるや、"理想"のためにヒドラ自体とも敵対する姿は、まさに我々の知るキャプテン・アメリカそのものです。

また作戦遂行のためには殺人をいとわないヒドラ・キャップですが、そもそも現在の状況は彼にとってはまさに戦争中。
「キャップといえども大戦中は敵兵を殺した。しかし相手に対する敬意の心は失わなかった」という近年の解釈を考えれば、その行動も無理もないところでしょう。

それでは、言わば"正義のヒドラ信者"となったスティーブが今後どのような方向に進んでいくのか?
詳しいことはもちろんわかりませんが、興味深い情報として先日発表された『シビルウォーⅡ:オース』についての情報があります。
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現在進行中のイベント『シビルウォーⅡ』のエピローグとなる本作において、スティーブ・ロジャースはヒーローコミュニティを2分する戦いを収めるための調停役として、両陣営のリーダーであるアイアンマンとキャプテン・マーベルの間に立つことになります。
果たしてヒドラの信奉者であるスティーブは、この機会をどう活用するのか?
本作は、キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース誌のライターであるニック・スペンサーがライターを担当することもあり、本作の内容がキャプテン・アメリカの、ひいてはマーベルユニバース全体の今後に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

【宣伝】
今回の翻訳本の宣伝はDCから。
まずお勧めなのが『アクアマン』! 長い歴史を誇りながらも「ジャスティスリーグ1の不人気ヒーロー」と揶揄されることも多かったアクアマンを一躍DCのトップヒーローへ押し上げたジェフ・ジョーンズの腕前に舌を巻くこと間違いなしの内容です。
"一躍DCのトップヒーローへ押し上げた"といえば『バットガール:バーンサイド』も外せません。打ち切り前の穴埋め的に行った路線変更が大当たり。その方向性の後追いをするタイトルがDCのみならずマーベルでも現れ、"バットガール化"という言葉すら生まれた記念碑的作品となります。
つづいては『ジャスティス・リーグ:インジャスティス・リーグ』。傑作イベント『フォーエバーイービル』の展開をうけ、ルーサーがジャスティスリーグに加入という衝撃の導入で開始する本作は、ジェフ・ジョーンズのジャスティスリーグの絶頂期と言っても過言ではない面白さです。



続いてはマーベル。
こちらは何といっても『スーペリア・スパイダーマン:マイ・オウン・ワースト・エネミー』でしょう。
Dr.オクトパスがピーターの体を乗っ取りヒーロー活動を始めるという、変化球どころかビーンボールのような内容ながら、その面白さで多くの人を唸らせた傑作です。ピーターが体を乗っ取られるまでの経緯を描いたアメージング・スパイダーマン誌の最後のストーリーも収録されるのがうれしいところ。
続いて未読ながら「心の中にいるキャプテンアメリカ、ウルヴァリン、スパイダーマンの人格と会話をしながら戦う多重人格ヒーロー」という設定がとにかく凄い『ムーンナイト 上』も気になるところ。
最後は定番となったデッドプールから『デッドプールVol.7:アクシス』と『デッドプール Vol.8:オール・グッド・シングス(仮) 』の2冊が発売。



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アクションコミックス #957-960

アクションコミックス #957-960
(作:ダン・ジャーゲンス、画:タイラー・カーカム他)

今回は軽めで。

リバース開始前にも書いたように、New52のスーパーマンが死に、フラッシュポイント前のスーパーマンをはじめとする様々なスーパーマンがいっきょに登場したスーパーマン系列。

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そんな中でアクション・コミックス誌は、突如メトロポリスに現れたドゥームズデイと、フラッシュポイント前スーパーマンとレックス・ルーサーの戦いを描いています。

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こちらは新たな"メトロポリスの守護者"を名乗るルーサー。
『ダークサイドウォー』にてダークサイドの後継者となった際に手に入れたマザーボックスをアーマーの動力源としており、何気に強力。
今のスーパーマンは、とにかく悪辣だったフラッシュポイント前のルーサーの姿が頭から離れず、割とまともにヒーローをやろうとしている今のルーサーの姿に若干戸惑っている模様。

そして本作の一番の謎が、ドゥームズデイとスーパーマンたちの戦いの場にひょっこりと現れた"人間"クラーク・ケント。
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見た目はどう見てもNew52世界のクラーク・ケントその人ながら、会う人会う人にされる「あなたスーパーマンでしょ!?」という突っ込み否定し、詳細についての質問はのらりくらりとかわし続けています。

「こんなスクープのチャンスを見逃せないよ!」と何だかんだと理由をつけて、戦いの現場に残り続ける姿は、確かに往年のクラークを思わせるものがありますが、どうも特に超能力はなく本当にスクープ目当てで行動している模様。

いったい彼は何者なのか?そろそろ誰かに核心を突いた質問をして欲しいところです。
(なんせドゥームズデイが暴れている現場なので、皆が「今はその質問は後だ!」と、棚上げしてしまうのです)

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またジェフ・ジョーンズのスーパーマン誌にて暗躍していた謎の男"Mr.オズ"も再び登場。
スーパーマンにかかわるすべての物事を密かに見守りながら、何かを企んでいる様子。

彼が『DCユニバース:リバース』でスーパーマン本人に放った言葉「君は、君が自分で思っているような存在ではないのだよ…」という言葉が、今後のスーパーマン系列を引っ張っていく謎となりそうな雰囲気です。

【宣伝】
DCの翻訳で気になるのはこちら。
まずは外せないのがNew52バットマンの最新作「バットマン:エンドゲーム」!
多くは語りませんが、徐々に明かされていくジョーカーの"正体"に、毎号のたうち回りながら読みふけったあの感動をこれからまっさらな気持ちで読むことができる方が管理人は羨ましくてしかたありません。

そして管理人は未読ながら気になっているタイトルが「バットガール:バーンサイド(仮) 」。
新タイトル立ち上げ前の埋め草的に始まったタイトルの筈が、その面白さから大ヒット。
"バットガーライズ"という流行語すら作ったうえで、DCのみならずマーベルを含めた全女性ヒーローたちの新潮流を築いた記念碑的作品です。

また長らく絶版で入手難の状況が続いていた「バットマン:マッドラブ」が完全版となって発売。
こちらは今やDCの顔となったハーレイのデビュー当初の物語となります。



続いてマーベルの新作ですが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのデッドプールは遂に一昨年の大イベント「アクシス」の関連誌を刊行。
イベントの中でマーベルユニバースを襲った"反転"効果により、禅の心に目覚めたデッドプールが主人公。

また先日、本国で発売されたばかりの「キャプテン・アメリカ:ホワイト」がこちらも早くも登場。
『デアデビル:イエロー』や『スパイダーマン:ブルー』に連なる"カラーシリーズ"の最新作となります。




プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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