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DCの大型イベント『コンバージェンス』について

今回はDCの来年4-5月のイベント『コンバージェンス』について、今までわかっている内容を整理します。

【どんなイベントなのか?】
2011年のリブートと共に消滅したとされていたリブート前のDCユニバース。
『コンバージェンス』ではそのリブート前の世界が、『キングダムカム』などの別次元も含んだ形で表舞台に帰ってきます。
そして全てのカギを握るのが、過去に登場した全ブレイニアックの上位存在である“真の”ブレイニアックと、その継承者テロスとなるとのこと。(こちらの記事を参照)

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以下は#0の予告の抄訳
消滅したユニバースはどこに行くのか?
全マルチバースに激震が走り、『Doomed』事件後のスーパーマン不在の日々、『ワールズエンド』、DCの全歴史が狂える神とその息子によって一つに織り合わされる。
キングダムカム、レッドサン、ワイルドウエスト・ジャスティスリーグ、キャプテン・キャロット&ズー・クルー…
貴方の思い出深い全ての世界に、テロス(ブレイニアックの後継者)の手が伸びる!


【出版形式は?】
『コンバージェンス』の出版形式は下記の通り
(1)本イベントのメインストーリーとなる週刊タイトル『コンバージェンス』
(2)イベント期間中に刊行される2話完結のミニシリーズが40タイトル

まず重要なことはイベント期間にあたる2015年4月~5月の間はDCは通常のレギュラーの刊行を中断し、上記の2種類のコミックのみを刊行します。(ヴァーティゴレーベルの作品や、『バットマン'66』などの所謂"New52以外"の作品がどのように扱われるかは不明)

ちなみにこの間、現実世界ではDC本社のニューヨークからロサンゼルスへの引っ越しという大事業が行われています。
このためコンバージェンスという正式タイトルが発表される前は、「引っ越しによる混乱を最小限に抑えるための応急処置のようなイベント」と揶揄する意味で"バンドエイド"とネット上で呼ばれていた経緯があります。

各タイトルの具体的な刊行の流れは以下の通りとなる模様。

【2015/4/1】
・DCで現在進行中の全週刊タイトル、『New52:フューチャーズエンド』、『Earth2:ワールズエンド』、『バットマン:エターナル』の最終話と、『マルチバーシティ』の最終話が刊行される。
・『コンバージェンス#0』が刊行される。

【2015/4/8】
・『コンバージェンス#1』とタイイン誌の第一群の1話目が発売される。

【2015/4/15】
・『コンバージェンス#2』とタイイン誌の第二群の1話目が発売される。

【2015/4/22】
・『コンバージェンス#3』とタイイン誌の第三群の1話目が発売される。

【2015/4/29】
・『コンバージェンス#4』とタイイン誌の第四群の1話目が発売される。

【2015/5/6】
・『コンバージェンス#5』とタイイン誌の第一群の2話目(完結編)が発売される。
  (中略)
【2015/5/27】
・『コンバージェンス#8』(最終話)とタイイン誌の第四群の2話目(完結編)が発売される。

ここで押さえておきたい点は「各週刊タイトルとコンバージェンスの関係」と「1群、2群と分けられたタイイン誌」の2点。

まず前者についていえば、真ブレイニアックが初登場しメインの物語に深く絡んできそうな『フューチャーズエンド』はもちろんですが、その『フューチャーズエンド』の前日譚にあたる『ワールズエンド』も『コンバージェンス』の導入となることが発表されています。
またそれぞれ独立した物語として進んできた両誌ですが、終了の1週前にあたる話でクロスオーバーすることが予告されており、この2誌の最終話はそのまま同日発売の『コンバージェンス#0』にダイレクトにつながることが予想されます。
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個人的に驚きだったのが、DCの多次元世界を扱ったミニシリーズ『マルチバーシティ』の扱い。
こちらについては"モリソン時空"といっても過言ではない独自の世界観を築いていたのですが、先日DCの編集長によって『コンバージェンス』への導入の一翼を担っていることが明かされています。

さすがに『バットマン:エターナル』までもがこの宇宙的叙事詩に組込まれることはないとは思いますが、実は『バットマン:エターナル』には異次元世界からゴッサムに潜入してきた謎の生命体が登場している上に、その存在が物語上ほぼ放置されているので油断はできませんね(笑)

次に「1群、2群と分けられたタイイン誌」についてですが、実はこれらのタイイン誌は適当な順番で刊行されるわけではなく週ごとにはっきりとしたテーマがあります。

全ての週で共通で言えることは
 ①DCの歴史上で人気のある時代/キャラクターを主人公にした物語
 ②主人公たちは全て"ドーム"と呼ばれる隔離施設に街ごと閉じ込められている
 ③各"ドーム"は、別世界による攻撃にさらされている

の3点なのですが、週毎に「どの時代のDC世界が舞台なのか?」が異なっています。
(またライターやアーティストに往年の名手を起用するなど、"わかってる"人選が多いのも特徴です)

それでは具体的なタイトルを週毎に見ていきましょう。


[第一群](参考記事)
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・SUPERMAN
・THE ATOM
・BATGIRL
・NIGHTWING/ORACLE
・SPEED FORCE
・TITANS
・JUSTICE LEAGUE
・QUESTION
・BATMAN & ROBIN
・HARLEY QUINN

リブート直前、2010年ごろのDC世界が舞台(厳密には世界が保存されたドーム内が舞台)。この世界はフラッシュポイントの世界による攻撃を受けています。

[第二群](参考記事)
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・BATMAN: SHADOW OF THE BAT
・SUICIDE SQUAD
・GREEN ARROW
・CATWOMAN
・SUPERBOY
・SUPERMAN: MAN OF STEEL
・JUSTICE LEAGUE INTERNATIONAL
・SUPERGIRL: MATRIX
・AQUAMAN
・GREEN LANTERN/PARALLAX

90年代、具体的にはスーパーマンが死に、バットマンが代替わりし、ハルがパララックスへの変貌を遂げた時代といえば、イメージがわくでしょうか?
この世界は名作『キングダムカム』の世界のヒーローたちが侵攻してきています。

[第三群](参考記事)
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・BATMAN AND THE OUTSIDERS
・ADVENTURES OF SUPERMAN
・WONDER WOMAN
・THE FLASH
・SUPERBOY AND THE LEGION OF SUPER-HEROES
・GREEN LANTERN CORPS
・SWAMP THING
・JUSTICE LEAGUE AMERICA
・HAWKMAN
・NEW TEEN TITANS

テーマとなる世界は80年代。『クライシス・オン・インフィニティ・アース』事件によって再構成されたばかりのDC世界が舞台となります。
敵役となる世界は『タンジェントコミックス』! 「既存キャラの名前の響きだけをベースに全く新しいキャラクターを創造する」という、かなり野心的な企画によって作られた世界です。
名前に聞き覚えがない方でも、この世界のパワーガールをみれば「あ!これか…」と思い出す人も多いのではないでしょうか?
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[第四群](参考記事)
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・JUSTICE SOCIETY OF AMERICA
・INFINITY INC.
・DETECTIVE COMICS
・ACTION COMICS
・WORLD’S FINEST COMICS
・CRIME SYNDICATE
・BLUE BEETLE
・SHAZAM
・PLASTIC MAN AND THE FREEDOM FIGHTERS
・BOOSTER GOLD

こちらは第三群よりもさらに昔、クライシスによる統合前のDCの各ユニバースが舞台となります。
ゴールデンエイジのヒーローたちが住むアース2、善悪逆転世界アース3(言っておきますけれど『フォーエバーイービル』や『JLA:逆転世界』のようなスタイリッシュな世界じゃないですよ!)、DCが買収したチャールトンコミックスの世界、キャプテンマーベルたちがいるアース5などが舞台となり、そこを襲う世界も『レッドサン』、『ワンミリオン』、『フューチャーズエンドの未来世界(#0で配られた"あの"世界です)』、『ジョナ・ヘックスのいた世紀末世界』などバラエティ豊かです。
また先日のフューチャーズエンド月間に突如刊行され、『コンバージェンス』につながる大きなヒントを読者に提示した『フューチャーズエンド:ブースターゴールド』の直接の続きが刊行されるのも、この週となります。
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【DC世界に何が起こるのか?】
このイベント『コンバージェンス』によってNew52のDC世界に何が起こるのか?
この疑問に答える信頼に足る情報は今のところ出ていません。

ただこれだけの大型イベントを開催し、鳴り物入りでリブート前世界の復帰を喧伝したのであれば、New52の世界にまったく影響を与えないことは考えづらいでしょう。

おりしも先日発表された3月の新刊リスト上で、DCは13タイトルものコミックの打切りを発表しました。もともと終了が予定されていた週刊タイトルまで含めれば、実に16タイトル、25冊分もの空白がDCの刊行リストに生まれるのです。
(逆に言えばこれらのタイトル以外は『コンバージェンス』後も発刊されることとなります)

この大量打切りは『コンバージェンス』後の体制を見据えた前準備と目されており、『コンバージェンス』が終了の翌月に当たる6月には多数の新タイトルが創刊されることはまず間違いないと思われます。
また毎年5月に開催されるコミック業界全体のイベント「フリーコミックブックデイ」において、DCは自社で配布する無料コミックの内容を"トップシークレット"として発表しておらず、ここからもDCが『コンバージェンス』後に大きな隠し玉を準備している事が伺えます。

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実はDCのライバルであるマーベルも「ユニバースの過去の歴史がパッチワークのように一つの世界とし融合する」というイベント『シークレットウォーズ』を1年掛かりで行うことを発表しており、来年のコミック業界を語る上で"ノスタルジー"という切り口がひとつのキーワードになって行くことは間違いないでしょう。

【宣伝】
コンバージェンスがDCの80年間の歴史を俯瞰するイベントとなるのであれば、事前に是非読んでおきたいのがヴィレッジブックスから翻訳されている『DCユニバース:レガシーズ』。
こちらはDCの設立75周年記念として出版されたコミックで、DCユニバースを揺るがした事件とヒーロー達の活躍の歴史を1人の一般人の視線を通して凝縮した、まさにコンバージェンスの副読本としてぴったりの作品となっております。
(というか、管理人はこの記事を書いてるうち読みたくなってきました)
また、来月発売予定の『DC:ニューフロンティア 上』もシルバーエイジのDC世界を扱ったという意味で、日本語の情報が乏しいコンバージェンス第4群の時代の理解の一助になるのではないかと期待しています(管理人未読)


先日、小学館プロダクションより2-3月の翻訳予定が発表されました。
その中で管理人的に是非お勧めしたいのが、「シャザム! :魔法の守護者」。
こちら当ブログでも何回か触れているのですが、DCのトップライター、ジェフ・ジョーンズによるNew52でのシャザムの活躍を描いた作品で、もう本当に名作です。
ドキドキハラハラと始まって、中盤で少ししんみりして、最後にジェットコースターのような爽快感が爆発して、最高に幸せな気分になって終わる、ディズニー映画を観てるような気持ちにさせるコミックですので未読の方はこの機会にぜひ!
また幾多の賞を総なめにし、現在米国で最も売れているコミックといっても過言ではないスペースオペラ「サーガ vol.1」や、ヒーローコメディの決定版として評価の非常に高い「クァンタム&ウッディ:世界最悪のスーパーヒーロー」など話題作が目白押しで、管理人的に嬉しい悲鳴の連続です。

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グレイソン(#1-5)

グレイソン(#1-5)
(作:トム・キング&ティム・シーリィ、画:マイク・ジャニン)

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フォーエバーイービル事件の際、「悪のジャスティスリーグ」クライムシンジケートに捕まり、正体を世界中に公開されてしまったナイトウィング。
その後バットマンとヴィラン連合の活躍によって無事救出された彼であったが、世界中に正体を知られヒーローとしてはもはや死に体となってしまう。
そんな彼にバットマンが頼んだ新たな依頼。
それは「ナイトウィングはシンジケートとの戦いで戦死した」と世間を欺き、バットマンすら全容をつかめない謎の諜報組織スパイラルにエージェントとして潜入し、内情を探って欲しいというもの。
かくしてスパイラルの特殊工作員"エージェント37"として、グレイソンの2重スパイの日々が始まる!

という感じで始まったグレイソン誌。
表紙を見てもらうと分かる通り、ノリとしては「おしゃれ(秘)探偵」や「ナポレオン・ソロ」のような60年代の少しレトロなスパイ物のノリ。
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初めは「なるほどね、人気者のディックでスパイ物をやるんだ」くらいの軽い気持ちで読み始めたのですが、これが抜群に面白い!
特に3話目を過ぎたあたりからは毎回神がかり的な面白さで、個人的には今年はじまったオンゴーイングシリーズのなかではベストですね。

特筆すべきなのはその構成。通常アメコミは4-6話程度の短い物語を繰り返しながら少しずつ伏線を積み上げて、最終的なクライマックスに進んでいく大河ドラマ志向の構成が一般的なのですが、グレイソンは今のところ1話完結の話ばかり。
活劇、ノワール、コメディと毎回お話の雰囲気をガラッと変え、その短いお話の中にテーマを語るためのパーツを一部の隙もなく敷き詰めていく様は、まるで良くできた短編集を読んでいるような興奮を読者に抱かせます。

そんなわけで、今回はそんな管理人一押しの作品『グレイソン』の#1から#5までの各話を、お気に入りのシーンを交えながら簡単に紹介していきたいと思います。

【#1 Grayson(グレイソン)】
新米エージェント・グレイソンは相棒である美女ヘレナと共に、危険な人工臓器を体内に埋め込んだ男性を移動中のシベリア鉄道から誘拐することとなる。しかしそこに「ワイルドストーム版バットマン」であるミッドナイターが現れて・・・
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第一話は基本設定説明を兼ねた『007シリーズ』のようなアクション回。

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こちらが美人エージェント、ヘレナ。リブート前のハントレスに当たるキャラです。

【#2 Gut Feeling(虫の知らせ)】
ミッション中の大怪我で戦線を離脱した同僚の後を継ぎ、イギリスの片田舎に向かったディックとヘレナ。
調査の果てにたどりついた秘密の地下室には、ARGUSやチェックメイトといった世界中の諜報組織の制服と、食人の痕跡が残されていた…
#1とは打って変わって『X-File』風のサスペンス物。

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スパイラルが経営する聖ハドリアヌス女学園の授業風景。
なぜに授業中にクロスボウ?なぜに的がデスストローク?
※ちなみにこの学園がどんなところなのかは、小プロから発売中の『バットマン:インコーポレイテッド 』を読むとわかります

【フューチャーズエンド編 Only a Place For Dying】
グレイソン誌を紹介する上で、欠かすことのできないエピソード。
(というか、この話の紹介がしたくて今回の記事を書いたような面もあります)
5年後の未来を舞台にした週刊タイトル『フューチャーズエンド』のタイインですが、本編とは一切関係がなく独立した短編として読むことが可能です。
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「ヘレナによるディックの絞首刑執行」という衝撃のラストシーンから、1ページずつ時間が遡っていく凝った構成となっており、読者はディック死亡の瞬間から、ディックのエージェントとしての活躍、ナイトウィング/ロビン時代の思い出、そしてロビン誕生のきっかけとなった両親の事故の瞬間と、彼の歴史を逆回しで辿って行くことになります。

その逆回しの時間の中に作者は2重3重ものトリックを施しており、最初は単純であったり意味不明であったりした台詞がページをめくるにつれてその本当の意味を明かしていく様は圧巻の一言です。
そして作者が仕掛けたトリックを全て解きほぐした読者は、コミックには掲載されなかった"0ページ目"の存在をはっきりと感じることとなります。
(余談ですが、本国の某ニュースサイトはこの最後にして最大のトリックを解き明かせずに酷評のレビューを載せたため、多くのファンから失笑を買いました。逆に言うと、それほど最後のトリックは巧妙に隠されているのです。)

20数ページのコミックでありながらよくできた短編小説を読むような興奮を味わえる本作は、個人的には今年読んだコミックの中の"ベストシングルイシュー"と言っても良いかもしれません。
(これまた余談ですが、『マルチバーシティ:パックス・アメリカーナ』とどちらがベストか非常に悩むところです)

【#3 The Gun Goes Off(撃鉄は落とされた)】
ディックは銃口にカメラを仕込みそれを視神経と直結させた盲目の殺し屋オールドガンを追う。
ターゲットとの対決を視野に入れ銃の携帯を命令されるディックだが、本人はバットマンの教えもあり銃の使用に拒否感を隠せない様子。
そして追跡を続ける中で、ディックは血なまぐさい世界に生きるオールドガンに唯一つ残された堅気の世界への未練を知る…
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今回は裏社会に生きる男女の悲哀を描いた『男たちの挽歌』のようなノワール調の物語。
オールドガンの背負う悲しみとその末路には、人生の皮肉を感じずにはいられません。

【#4 The Raid(襲撃)】
学園内に謎のイケメン(ディックのことです)が住んでいることを知った聖ハドリアヌス女学園の女生徒達。
退屈な学園生活に飽き飽きした彼女たちは、パンティレイド(下着泥棒)ならぬ"マン"ティレイド(男性下着泥棒?)を決行する。
ディックの下着に危険が迫る!!
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前号とはうってかわったコメディ回。
この事件のせいで学園の生徒に存在を知られてしまったディックは、カモフラージュの為にゲイのフランス人体育教師として教鞭を振るうはめに・・・

ところで管理人はこの話のオープニングが大好きです。

(新任務のブリーフィングをうけて)
ヘレナ:ディック、前回の事件のことは・・・(前号のオールドガンの事件のこと)
ディック:あれは任務だった、もう忘れたよ。
ヘレナ:でも・・・
ディック:大丈夫、さぁ新しい任務に集中しよう。
僕が集中したってことは任務は終わったも・・・
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ディック:・・・同然だ!


なんと2ページ目にして任務完了。
余計なことを一切省く、グレイソン誌の特徴を象徴するシーンです。

【#5 We All Die at Dawn(全員、夜明けに死す)】
生まれたばかりの赤ん坊と共に砂漠のど真ん中に不時着したディック&ヘレナと、宿敵ミッドナイター。
残された僅かな水を頼りにディックは無謀な砂漠縦断を決意する。赤ん坊の命を救うために!
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アクションシーンや場面転換などが一切なく、ひたすら続く会話劇の中で、小さな命を前にしたディックの強さと優しさが語られる回。
ちなみにタイトルは「バットマン:ブラックグローブ」に収録された60年代の作品『ロビン、夜明けに死す』のパロディとなっており、内容もこの話を踏まえた物となっております。


ヒーローでありながら冷酷に赤ん坊を身捨てることを主張してくるミッドナイターとのやり取りが燃える。
ミッドナイター:だめだ…これ以上は…進めない。
何故だ? 俺は強化人間。お前はただの男のはず・・・
・・・お前、いったい何を隠している!

ディック:ボクにはこの子がいる・・・

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・・・渋い!(それに引き換えこのミッドナイターとかいう90年代野郎は!)

【オマケ】
以上、グレイソン全話紹介なんていう無謀なことをやってしまいましたが、それもこれもグレイソンが(予想外に)面白いせい。
一話完結ですので、気になった話があれば是非その話だけでも手に取ってみてください。(フューチャーズエンドは特にお勧め!)
また駄目押しなのですが。ディックを語る上で避けて通れないのが、その女性人気。
毎号、なんだかんだと理由を付けてはディックのセクシーショットが入るあたり、ライターさんもわかってる!

そんなサービスシーンの中で一番気に入ったのが#3のこちらのシーン。
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(銃の訓練中)
女スパイ:銃を目標に向けて、そう目標にゆっくり滑りこませるように・・・
銃の事ばかり考えちゃだめ、ちゃんと相手の事を考えるの。
ゆっくり・・・そう!
準備できた?でも発射したいからって、すぐ発射しちゃダメよ。もうちょっと我慢できる?私のために頑張れる?ボクちゃん
グレイソン:僕の名前は…
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女スパイ:ディック!!


はい、アウト!狙ってやってるでしょ(笑)

【宣伝】(使い回し)
気になる翻訳本はいかのとおり。
まずは、なんといっても「ニューアベンジャーズ:パワーロス」。管理人が大好きなヴィラン、フードが再登場します!
また鬼才マイク・ミニョーラによる短編集「驚異の螺子頭と興味深き物事の数々」は、聞くだけでワクワクするそのタイトルに惹かれて購入予定。また、絶好調のデッドプールについても新刊「デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション(仮) 」の発売がアナウンスされました。


またDCでいえば何といっても、鬼才モリソン(鬼才ばっかり・・・)によるバットマンサーガの集大成、「バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光」と「ゴッサムの黄昏」の2ヶ月連続刊行ですね!
こちらの作品「バットマン:インコーポレイテッド」の直接の続編となります。
バットマンという物語の進化の歴史を真摯にみつめなおし、進化の方向性としてあり得たであろうもう一つバットマン像を提示するモリソンの野心作が遂に完結です。

スーパーマン #33-35

スーパーマン #33-35
(作:ジェフ・ジョーンズ、画:ジョン・ロミータJr.)
 ※前号の紹介はこちら

【ユリシーズの帰還】
スーパーマンそっくりの生い立ちと、そっくりの能力、そして勝るとも劣らない高潔さを持つ、地球生まれの"もう1人のスーパーマン"ユリシーズ。
彼は自身が育った4次元世界での宿敵、5次元人クレリックを追って、とっくに滅びたと思い込んでいた故郷、地球へと帰還を果たす。

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クレリックとの戦いの中で初めて出会ったスーパーマンとユリシーズは意気投合。
スーパーマンは、地球にしばらく留まることを決めたユリシーズの為に、産まれたばかりのユリシーズを4次元世界へ脱出させた彼の両親の行方探しを開始する。

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スーパーマンが調査をする間、故郷である地球の街並みを散策するユリシーズ。
争いや貧困が全て解決した理想郷から来た彼には、どうやらお金の概念はないもよう。

【感動の再会】
スーパーマンの調査はほどなく終わった。ユリシーズの両親は研究施設の大事故を潜り抜け、夫婦二人でつつましく暮らしていたのだ。
感動の再会を果たすユリシーズと彼の両親。
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ユリシーズの両親は、緊急避難のためとはいえ、事故の規模を見誤りまだ赤ん坊であったユリシーズを謎の異次元世界へ送り込んでしまった事を詫びるが、ユリシーズは両親の後悔を理由なきものとして直ちに否定。
ただただ両親との再会を喜び、これからは両親と共に地球で暮らし、この地球を自分が育った4次元世界に負けない理想郷とするために、全力を尽くすことを誓うのであった。

【ユリシーズの絶望】
ヒーローとして活動を始めたユリシーズは、スーパーマンと共に因縁のある仮面の武器商人マシニストを追うことになる。
しかし、争いや疫病の無い理想郷で生まれ育ったユリシーズは、武器商人の行方を追ううちに、だんだんとこの世界のありように絶望していく。

そして最後のひと押しがユリシーズ自身の手によって加えられる。
マシニストを追い詰めたユリシーズは、生体電磁波を感知できる自らの能力を使い、マシニストが関係した武器が地球上のどこにあるのかを探知したのだ。
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その刹那、ユリシーズの脳裏には常軌を逸した量の武器のイメージが押し寄せる。
平和な世界しか知らないユリシーズにとって、私利私欲のために同胞同士で殺し奪い合うこの世界は、まさに地獄そのものであったのだ。

【人類救済計画】
不完全な人類文明に絶望し、スーパーマンの前から姿を消したユリシーズ。
程なく再び表舞台に現れたユリシーズは、テレビ/PC/スマホ、あらゆるモニターをジャックして、人類に呼びかける。
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この矛盾だらけの文明を捨てることを決意した600万人を、自らの生まれ故郷である理想郷―4次元世界へと案内すると!

*******
というわけで、ジェフ・ジョーンズとジョン・Jr.というドリームチームによるスーパーマン誌の紹介でした。
ユリシーズが登場した当初から、彼がやがてスーパーマンの敵にまわることは予想できていましたが、あくまで善意の人として地球文明に絶望していく様子は、なかなか胸が痛いものがありました。
果たしてこの先どうなってしまうのか・・・

また、気になるのがスーパーマンとユリシーズの様子を謎の空間から見守る怪しい影。
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このシーンではユリシーズと両親の再会を、どこか寂しげに見守るスーパーマンに対して
「お前には孤独でいてもらわなければならない。・・・当面の間はな。」
と、意味深な呟きを残しています。

New52世界ではスーパーマンの育ての親ケント夫妻は、スーパーマンの高校卒業の夜に交通事故を起こして死亡しております。しかし実はこれはスーパーマンの人生をみじめなものにしようとする、悪の5次元人の介入によるものだったりします。
今回の物語に再び5次元世界が絡んできた上に、スーパーマンそっくりな人生を送るユリシーズの両親との再会、そして上記の怪しい影の呟きとくると、なんとなくケント夫妻の復活もあるのではと感じてしまうのは、期待しすぎでしょうか?

【宣伝】
気になる翻訳本はいかのとおり。
まずは、なんといっても「ニューアベンジャーズ:パワーロス」。管理人が大好きなヴィラン、フードが再登場します!
また鬼才マイク・ミニョーラによる短編集「驚異の螺子頭と興味深き物事の数々」は、聞くだけでワクワクするそのタイトルに惹かれて購入予定。また、絶好調のデッドプールについても新刊「デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション(仮) 」の発売がアナウンスされました。


またDCでいえば何といっても、鬼才モリソン(鬼才ばっかり・・・)によるバットマンサーガの集大成、「バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光」と「ゴッサムの黄昏」の2ヶ月連続刊行ですね!
こちらの作品「バットマン:インコーポレイテッド」の直接の続編となります。
バットマンという物語の進化の歴史を真摯にみつめなおし、進化の方向性としてあり得たであろうもう一つバットマン像を提示するモリソンの野心作が遂に完結です。


プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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