ダークナイツ・オブ・スティール #1-2
ダークナイツ・オブ・スティール#1-2
(作:トム・テイラー、画:ヤスミン・プットリ)
星々の遥か彼方に存在する惑星クリプトン。その崩壊を予見した科学者は、最愛の息子を守るため脱出ロケットを建造した。

遂に訪れたクリプトンの崩壊の日、爆発する惑星から飛び立つロケット。
やがてロケットは緑豊かな惑星、地球に着陸する。
ロケットから現れたのは、科学者ジョー=エルと、着陸の衝撃で産気づいた身重の妻のラーラ。
そして彼らがたどり着いた地球は、剣と魔法、合戦と権謀が渦巻くファンタジー世界であった!

……ということで、半年ぶりの更新となる今回は、今をときめく人気ライター、トム・テイラーとヤスミン・プットリによるファンタジー版ジャスティスリーグの紹介です。
以降はこの世界における3つの大国とその住人たちを紹介していきます。
【キングダム・オブ・エル】
クリプトン人であるジョー=エルが治める王国。

元々はウェイン王家が治める国であったが、先王トーマスとその妻マーサが正嫡の子を残さないまま暗殺されたため、その遺言に従いトーマスが最も信頼し、半ば崇拝していた側近であったジョー=エルが新たな国王となった。
魔法に弱いという王族の体質上、国内では魔法が禁止されている。
[ブルース卿]
先代の女王マーサ・ウェインの私生児。

先王トーマスとの間にできたのではない不義の子であるため継承権はなく、両親の死後はジョー=エルが後見人となり、王の近衛となった。
王家の人々の守護を誓っており、そのためには汚れ仕事をこなすことも厭わない。
そんな危険な任務をこなす日々の中で、たびたび絶体絶命の危機を経験するが、どんな状況であっても致命傷を負わない自分の悪運に疑問を抱いている。
[カル=エル王子]
エル王国の王子。宮廷のなかで屈託なく育ち、一緒に育ったブルース卿を兄弟のように慕っている。

しかしブルース卿は、そんなカル=エルのことを命に代えても守るべき主君として、一歩引いた態度を崩さない。
[ロビンズ]
ブルース卿の従者である少年少女たち。隠密行動に特化した特殊な訓練を受けており、ブルースとその家臣であるアルフレッドの諜報活動をサポートする。

左からリチャード、デューク、ジェイソン、ステファニー。
ティムは嵐の王国にて潜入活動中。
[ブルース卿の秘密]
そんなある日、ジョー=エル国王に呼び出され、人払いされた城のバルコニーを訪れたたブルース卿は、国王よりある秘密を打ち明けられる。その秘密とは、自身の出生についてであった。

マーサの密通の相手、つまりブルースの父の正体とは、ジョー=エル国王その人であったのだ。
ジョー=エル国王は、自身の過ちによりマーサの名誉を傷つけ、ブルースに恥辱にまみれた少年期を与えてしまったことを謝罪。国民に全てを打ち明け、ブルースを第一位王位継承者とする腹積もりであることを打ち明ける。
自身の生まれとともに、自分がどんな致命的な状況でも傷一つ負わない理由を知り、狼狽するブルース卿。
しかし、その瞬間、何者かの手で放たれた"緑色の矢"がジョー=エルを射抜く。

崩れ落ちる国王……父の身体を支えながらブルース卿は気が付いていた。
自分が今回も肉親の命を護れなかったことを、そして自分がジョー=エルの子であり正式な王位継承者であることを知る者は、自分以外にはもういないということを。
【アマゾニア】
女王ヒッポリタが治めるアマゾンたちの王国。

その勇猛さで世界に知られ、魔法大国である嵐の王国とは、同盟関係にある。
[ダイアナ]
女王ヒッポリタの娘。

平和を愛する博愛主義者でジョー=エル国王の暗殺によって大戦への道を歩み始めた世界に平和をもたらす道を模索する。
[ロイス・レーン]
アマゾニアに使える密偵。世界中を旅し、そこで集めた周辺諸国の動向をヒッポリタに伝えることを使命とする。

ジョー=エル国王暗殺の報を伝えるために、アマゾニアに緊急帰還する。
[ザーラ]
ジョー=エルの娘。エル王国の王女だが、見聞を広げるために客人としてアマゾニアの宮廷に迎え入れられている。

ダイアナ王女の恋人でもある。
(正史世界に於けるスーパーガール(カーラ)。正史世界とは異なりカル=エルの従姉ではなく妹であるため、名前が微妙に変わっているものと思われる。)
ロイスより父の訃報を聞いたザーラはショックを隠せず、何処かへと飛び立つ。
【嵐の国】
賢王ジェファーソンが治める魔法大国。

[ジェファーソン国王]
嵐の国の国王。魔法の力で雷を自在に操り、才能あふれる2人の子供を溺愛している。

参謀である予言者が下した「星々からやってきた我々によく似た姿の悪魔が、この世界を支配する」という予言が、エル家のことだと確信しており、暗殺者にジョー=エルの暗殺を密かに依頼。

(こちらがジョー=エルの暗殺を指揮した男。その指輪と全身を包む光の色から"緑の男"と呼ばれている)
[コンスタンティン]
ジェファーソン王の参謀。ジョー=エルの宇宙船が飛来した日に、星から飛来する悪魔に関する予言を下したが、本人は「予言は予言。エル家のお歴々もそこまで悪い奴らじゃなさそう」と、暗殺には懐疑的。

ジェファーソン国王に対して、臣下としての忠誠心以上の感情を密かに抱いている。
[報復]
ジョー=エル暗殺から数日後。ジェファーソン国王は、寝室を揺るがす爆音で目を覚ます。
音の出どころである、息子ジェニファーの寝室に駆け込むジェファーソン。
そこで彼が見たものは、息子を襲う1つの影、エル家の王女ザーラであった。

ジェファーソン:息子から手を放すのだ、ザーラ。
ザーラ:それはいいアイデアだ、人間よ。
邪悪な笑みを浮かべてジェニファー王子を高空へと吊り上げたザーラは、そこから幼い王子を突き落とす。
息子が落下するさまもなす術もなく見つめるだけであったジェファーソンは、怒りに燃えて稲妻をザーラへと叩きつける。
しかし、ジェファーソンの渾身の魔法はザーラには何の手傷も負わすことはできなかった。
嘲りの笑みと共に飛び去って行くザーラの後に残されたのは、命を失った少年の亡骸と、最愛の息子を失った父のみ。

この時、ジェファーソン国王の心はすでに決まっていた。
やはりエル家は人の皮をかぶった悪魔であった。今こそ古の同盟に頼り、アマゾニアと共にエル王国への進軍を開始する時がきたのだ。
【宣伝】
今回紹介した作品はこちら。
(3つ目は22年9月に発売予定の単行本)
新たに本作の前日譚となるスピンオフも発表されるなど、本国での人気ぶりもうかがえる本作。
ファンタジーながら非常に読みやすい現代英語なので、気になる方は是非。
続いては邦訳作品の紹介。
(久しぶりの更新のため、既刊、新刊問わず目についた商品から)
まずはDisney+のドラマが待たれるシーハルクを主人公とした『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』。マーベルのトップライターとして今をときめくダン・スロットの出世作であるとともに、シーハルクのキャラクターを新たな次元に押し上げた名作です。第4の壁を破ることができるシーハルクによる法廷コメディ!
次は可愛い絵柄が人気の日本人アーティスト、グリヒルによる『ソー&ロキ:ダブル・トラブル』。
ソーとロキがわちゃわちゃと喧嘩をしながら繰り広げるスラップスティックコメディである本作は『ダブル・トラブル』シリーズとして人気を博しており、『スパイダーマン&ヴェノム:ダブル・トラブル』も邦訳済み。
DCですが、こちらは映画『ブラックアダム』での登場が予定されているJSAを主人公とした『JLA/JSA:欲望と希望の狂宴』が発売済み。
ジャスティスリーグの先輩チームであるJSAがメインの作品が邦訳されるのは、おそらくこれが初めて。
ライターも、デイビッド・S・ゴイヤーとジェフ・ジョーンズという、今の時代に見ると信じられないような組み合わせです。
続いておすすめなのが、『バットマン:ザ・ワールド』。世界中のコミック作家とバットマンの共演という面白い趣向のコミックですが、キム・ジョンギやパコ・ロカといったコミックファンなら一度は名前を聞いたであろう大御所たちが参加しており、この1冊で日本とアメリカのみならぬ、世界中の様々なコミック文化に触れることができる面白い一冊です。
(日本からは時代劇系の劇画誌で活躍中の崗田屋愉一が参加)
また、長らく手に入らずプレミアがついていたミニョーラの『バットマン:ゴッサム・バイ・ガスライト』が再び発売するのもうれしいニュース。
19世紀末のゴッサムを舞台にバットマンと切り裂きジャックの対決を描いた本作ですが、なんと今回はその続編にあたる『マスータ・オブ・ザ・フューチャー』も初邦訳の上で、収録される予定です。
(作:トム・テイラー、画:ヤスミン・プットリ)
星々の遥か彼方に存在する惑星クリプトン。その崩壊を予見した科学者は、最愛の息子を守るため脱出ロケットを建造した。

遂に訪れたクリプトンの崩壊の日、爆発する惑星から飛び立つロケット。
やがてロケットは緑豊かな惑星、地球に着陸する。
ロケットから現れたのは、科学者ジョー=エルと、着陸の衝撃で産気づいた身重の妻のラーラ。
そして彼らがたどり着いた地球は、剣と魔法、合戦と権謀が渦巻くファンタジー世界であった!

……ということで、半年ぶりの更新となる今回は、今をときめく人気ライター、トム・テイラーとヤスミン・プットリによるファンタジー版ジャスティスリーグの紹介です。
以降はこの世界における3つの大国とその住人たちを紹介していきます。
【キングダム・オブ・エル】
クリプトン人であるジョー=エルが治める王国。

元々はウェイン王家が治める国であったが、先王トーマスとその妻マーサが正嫡の子を残さないまま暗殺されたため、その遺言に従いトーマスが最も信頼し、半ば崇拝していた側近であったジョー=エルが新たな国王となった。
魔法に弱いという王族の体質上、国内では魔法が禁止されている。
[ブルース卿]
先代の女王マーサ・ウェインの私生児。

先王トーマスとの間にできたのではない不義の子であるため継承権はなく、両親の死後はジョー=エルが後見人となり、王の近衛となった。
王家の人々の守護を誓っており、そのためには汚れ仕事をこなすことも厭わない。
そんな危険な任務をこなす日々の中で、たびたび絶体絶命の危機を経験するが、どんな状況であっても致命傷を負わない自分の悪運に疑問を抱いている。
[カル=エル王子]
エル王国の王子。宮廷のなかで屈託なく育ち、一緒に育ったブルース卿を兄弟のように慕っている。

しかしブルース卿は、そんなカル=エルのことを命に代えても守るべき主君として、一歩引いた態度を崩さない。
[ロビンズ]
ブルース卿の従者である少年少女たち。隠密行動に特化した特殊な訓練を受けており、ブルースとその家臣であるアルフレッドの諜報活動をサポートする。

左からリチャード、デューク、ジェイソン、ステファニー。
ティムは嵐の王国にて潜入活動中。
[ブルース卿の秘密]
そんなある日、ジョー=エル国王に呼び出され、人払いされた城のバルコニーを訪れたたブルース卿は、国王よりある秘密を打ち明けられる。その秘密とは、自身の出生についてであった。

マーサの密通の相手、つまりブルースの父の正体とは、ジョー=エル国王その人であったのだ。
ジョー=エル国王は、自身の過ちによりマーサの名誉を傷つけ、ブルースに恥辱にまみれた少年期を与えてしまったことを謝罪。国民に全てを打ち明け、ブルースを第一位王位継承者とする腹積もりであることを打ち明ける。
自身の生まれとともに、自分がどんな致命的な状況でも傷一つ負わない理由を知り、狼狽するブルース卿。
しかし、その瞬間、何者かの手で放たれた"緑色の矢"がジョー=エルを射抜く。

崩れ落ちる国王……父の身体を支えながらブルース卿は気が付いていた。
自分が今回も肉親の命を護れなかったことを、そして自分がジョー=エルの子であり正式な王位継承者であることを知る者は、自分以外にはもういないということを。
【アマゾニア】
女王ヒッポリタが治めるアマゾンたちの王国。

その勇猛さで世界に知られ、魔法大国である嵐の王国とは、同盟関係にある。
[ダイアナ]
女王ヒッポリタの娘。

平和を愛する博愛主義者でジョー=エル国王の暗殺によって大戦への道を歩み始めた世界に平和をもたらす道を模索する。
[ロイス・レーン]
アマゾニアに使える密偵。世界中を旅し、そこで集めた周辺諸国の動向をヒッポリタに伝えることを使命とする。

ジョー=エル国王暗殺の報を伝えるために、アマゾニアに緊急帰還する。
[ザーラ]
ジョー=エルの娘。エル王国の王女だが、見聞を広げるために客人としてアマゾニアの宮廷に迎え入れられている。

ダイアナ王女の恋人でもある。
(正史世界に於けるスーパーガール(カーラ)。正史世界とは異なりカル=エルの従姉ではなく妹であるため、名前が微妙に変わっているものと思われる。)
ロイスより父の訃報を聞いたザーラはショックを隠せず、何処かへと飛び立つ。
【嵐の国】
賢王ジェファーソンが治める魔法大国。

[ジェファーソン国王]
嵐の国の国王。魔法の力で雷を自在に操り、才能あふれる2人の子供を溺愛している。

参謀である予言者が下した「星々からやってきた我々によく似た姿の悪魔が、この世界を支配する」という予言が、エル家のことだと確信しており、暗殺者にジョー=エルの暗殺を密かに依頼。

(こちらがジョー=エルの暗殺を指揮した男。その指輪と全身を包む光の色から"緑の男"と呼ばれている)
[コンスタンティン]
ジェファーソン王の参謀。ジョー=エルの宇宙船が飛来した日に、星から飛来する悪魔に関する予言を下したが、本人は「予言は予言。エル家のお歴々もそこまで悪い奴らじゃなさそう」と、暗殺には懐疑的。

ジェファーソン国王に対して、臣下としての忠誠心以上の感情を密かに抱いている。
[報復]
ジョー=エル暗殺から数日後。ジェファーソン国王は、寝室を揺るがす爆音で目を覚ます。
音の出どころである、息子ジェニファーの寝室に駆け込むジェファーソン。
そこで彼が見たものは、息子を襲う1つの影、エル家の王女ザーラであった。

ジェファーソン:息子から手を放すのだ、ザーラ。
ザーラ:それはいいアイデアだ、人間よ。
邪悪な笑みを浮かべてジェニファー王子を高空へと吊り上げたザーラは、そこから幼い王子を突き落とす。
息子が落下するさまもなす術もなく見つめるだけであったジェファーソンは、怒りに燃えて稲妻をザーラへと叩きつける。
しかし、ジェファーソンの渾身の魔法はザーラには何の手傷も負わすことはできなかった。
嘲りの笑みと共に飛び去って行くザーラの後に残されたのは、命を失った少年の亡骸と、最愛の息子を失った父のみ。

この時、ジェファーソン国王の心はすでに決まっていた。
やはりエル家は人の皮をかぶった悪魔であった。今こそ古の同盟に頼り、アマゾニアと共にエル王国への進軍を開始する時がきたのだ。
【宣伝】
今回紹介した作品はこちら。
(3つ目は22年9月に発売予定の単行本)
新たに本作の前日譚となるスピンオフも発表されるなど、本国での人気ぶりもうかがえる本作。
ファンタジーながら非常に読みやすい現代英語なので、気になる方は是非。
続いては邦訳作品の紹介。
(久しぶりの更新のため、既刊、新刊問わず目についた商品から)
まずはDisney+のドラマが待たれるシーハルクを主人公とした『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』。マーベルのトップライターとして今をときめくダン・スロットの出世作であるとともに、シーハルクのキャラクターを新たな次元に押し上げた名作です。第4の壁を破ることができるシーハルクによる法廷コメディ!
次は可愛い絵柄が人気の日本人アーティスト、グリヒルによる『ソー&ロキ:ダブル・トラブル』。
ソーとロキがわちゃわちゃと喧嘩をしながら繰り広げるスラップスティックコメディである本作は『ダブル・トラブル』シリーズとして人気を博しており、『スパイダーマン&ヴェノム:ダブル・トラブル』も邦訳済み。
DCですが、こちらは映画『ブラックアダム』での登場が予定されているJSAを主人公とした『JLA/JSA:欲望と希望の狂宴』が発売済み。
ジャスティスリーグの先輩チームであるJSAがメインの作品が邦訳されるのは、おそらくこれが初めて。
ライターも、デイビッド・S・ゴイヤーとジェフ・ジョーンズという、今の時代に見ると信じられないような組み合わせです。
続いておすすめなのが、『バットマン:ザ・ワールド』。世界中のコミック作家とバットマンの共演という面白い趣向のコミックですが、キム・ジョンギやパコ・ロカといったコミックファンなら一度は名前を聞いたであろう大御所たちが参加しており、この1冊で日本とアメリカのみならぬ、世界中の様々なコミック文化に触れることができる面白い一冊です。
(日本からは時代劇系の劇画誌で活躍中の崗田屋愉一が参加)
また、長らく手に入らずプレミアがついていたミニョーラの『バットマン:ゴッサム・バイ・ガスライト』が再び発売するのもうれしいニュース。
19世紀末のゴッサムを舞台にバットマンと切り裂きジャックの対決を描いた本作ですが、なんと今回はその続編にあたる『マスータ・オブ・ザ・フューチャー』も初邦訳の上で、収録される予定です。
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