IvX(インヒューマンズ vs X-MEN) #0

IvX #0
(作:チャールズ・ソール、画:ケネス・ロカフォード)

【ニューアティランにて】
ビースト:さて!取り掛かるとしようじゃないか。
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インヒューマンズの王都ニューアティランの研究室にて、ビーストは声をあげた。
そのどこか楽し気な姿に、ビーストの助手であるインヒューマンの科学者アイソは思わず質問した。

アイソ:ずいぶん上機嫌ですね。ミュータントが絶滅の危機にあるというのに。
ビースト:しかり。ただ、今回の敵は殺人ロボットでも、不安定な魔女でも、時空の特異点でもない。
ただの化学反応、つまりは科学の領域じゃないか。こと科学に関して言えば、我々人類はどんなことだって可能にしてきた。
アイソ:もう何かアイデアがあるんですね。
ビースト:いや、なにも。ただほら!
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ビースト:洞窟の壁に自分たちの姿を刻んだ3万年前の人々にとっては不可能に思えたことも、今ではこの通り、子供の遊びだ。
それもこれもみな、不可能を可能にする科学の力だよ。


インヒューマンズ誕生の引き金であると同時に、ミュータントを殺す疫病M-ポックスの原因となる雲――テリジェンミストを無毒化するために、インヒューマンズのもとで研究する道を選んだミュータントの科学者ビースト。
彼は自分の研究の先に、インヒューマンズとミュータントが手を取りある明るい未来があることを確信していた。


【両種族の現状】
しかしビーストの思い描く理想に反し、インヒューマンズとミュータントの関係は停戦協定の上になりたった不安定なものであった。

今をさかのぼること8か月前、全ミュータントの前でミュータントの平和的団結を説いたサイクロプス。
そんな彼ですが、テリジェンミストのミュータントへの害を知ったとたんに態度を硬化。
テリジェンミストとインヒューマンズの危険性についての憶測まじりの糾弾を、全世界に向けて発信した上に、インヒューマンズたちがミュータントの緊急避難に手を取られているすきに、地球を巡回する2つの巨大なテリジェンミストの1つを破壊したのだ。
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自分たちの同胞を増やすテリジェンミストはインヒューマンズにとって、神聖とすらいえる存在。
そんなテリジェンミストが破壊され、怒り心頭のインヒューマンズの前に現れたサイクロプスは、同胞たちを守るために残り一つとなったテリジェンミストも破壊することを宣言。
インヒューマンズの王ブラックボルトの怒りに触れたサイクロプスは、王の力により同胞たちの面前で塵となったのだ、
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「理念は死なぬ」という言葉を残して。

この一件により一種即発となったミュータントとインヒューマンズ。しかし両種族のリーダーである2人の女性ストームとメデューサは、争いを由とせず両種族の間で停戦協定を結ぶこととなる。

この協定により、インヒューマンズは残されたテリジェンミストを常に追跡し、その進路にミュータントの反応があれば避難を最優先とすることを約束、事態はひとまずの収束を迎えたかにみえた…


【暗躍するホワイトクイーン】
エマ:理念は死なない…
ビーストが科学の力で、ミュータントたちを救おうとする中、表舞台から姿を消していたホワイトクイーン、エマ・フロストもまたミュータントを救うための、密かな活動を行っていた。

もちろんエマが頼るのは科学の力ではない。
マグニート率いるアンキャニーX-MEN、
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過去からやってきたAll-New X-MEN
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地獄に作られた避難所に居を構えるエクストラオーディナリーX-MEN
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ミュータントの各種勢力に密かにコンタクトをとり、ビーストが失敗した時の"プランB"に向けた協力要請を行っていたのだ。

【一方インヒューマンズも…】
メデューサ:ビーストは信頼に足る人物だわ。でも、全てのミュータントがそうだとは限らない。
いつか、必ずしびれを切らすものが現れる。
我々から戦争の口火を切ることはけしてない。しかし、戦争に勝つ準備は常にしておくように。

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ミュータントとインヒューマンズの戦争に向けた準備を進めていたのは、エマだけではなかった。
インヒューマンズ王家もまた、"ミュータントの保護"を理由にテリジェンミストの警護にあたり、ミュータントの戦争に備えていた。

【ビーストの発見】
ビースト:なんということだ!
アイソ:どうかされましたか?
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ビースト:・・・いや、なんでもない。そろそろ昼食でも取ろうか?ワシは腹が減って仕方がないよ。


サヴェッジランドに設置した計測器の測定結果を見たビーストは、ミュータントの同胞たちに連絡を取ることを決意する。
それもインヒューマンズには決して知られるように、ひっそりと・・・

************
というわけで、今回はマーベルの冬のクロスオーバー『IvX(インヒューマンズvsX-MEN)』のプレリュードの紹介でした。
ただ実はこの物語には#0とは別にもう一つのプレリュードが存在します。
そのタイトルは『デス・オブ・X』。
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昨年のイベント『シークレットウォーズ』終了から、『オールニュー・オールディファレント・マーベル』によるリランチ開始までの間、作中時間で流れた8か月間の空白期間を埋める物語として、人々の口を通してしか語られなかったサイクロプスの最後とインヒューマンズとの確執を描く物語です。
オールニュー・オールディファレント・マーベル開始以降、意図的にその詳細がぼやかされてきたサイクロプスの最後とは、いったいどのようなものであったのか?
実は、物語は事前に明かされていた内容通りに進んでいき、正直管理人は読みながら「わざわざもったいぶってこの内容?」と若干不満でした。
…最後の数ページを読むまでは。
「ブラックボルトとメデューサを襲撃して返り討ちに合う」という物語をなぞっていく『デス・オブ・X』は、最後の数ページに明かされた事実でその意味合いをがらりと変えます。
そして、その影響は本作『IvX』にも色濃く出ており、同じセリフを読んでいても、『デス・オブ・X』を読んだ読者と未読の読者では、そのニュアンスが大きく違って感じることでしょう。

果たして、マーベル世界の2大種族の対立はどこに着地するのか?
この世界に残されたサイクロプスの理念はどうなるのか?

ここ数年のX-MEN系列の大団円としての本作をみなさんもぜひ読んでみてください。

【宣伝(使いまわし)】
久しぶりの更新となると、書くのが大変なのがこのコーナー。
特にこの一か月は、とんでもないタイトルが数多く発表されました。

まずは『バットマン:エターナル<上>』! バットマンに訪れた最大の危機をかつてないスケールで描いた超大作がまさかの翻訳!
通常のTPBで8冊ほどの分量となる内容の前半部分を1冊にまとめての刊行になります。
個人的にも初めて完走した週刊タイトルで、毎週その展開に悶絶しながら読んだ思い入れたっぷりの作品なので、翻訳は嬉しいところです。

続いての驚きは『Y:THE LAST MAN 1』。「謎の伝染病により世界中の男性が死滅。この地球に残された最後の雄となった主人公は…」という、比較的ベタな設定を"今世紀最高のコミック"の1つへと引き上げた作品。
普段はヒーローコミック以外は読まない管理人ですが、アメコミの情報を仕入れていると常に大絶賛と共に耳に入ってくるこの作品が日本語で読める日が来るとは思いませんでした。

そして、こちらも驚きの『BATMAN LOBO / LOBO AUTHORITY:HOLIDAY HELL』!
英国コミックの雄、サイモン・ビズレーの描くバットマンとロボの大騒動が翻訳!

最後に管理人がお勧めしたいのが『アクアマン:王の遺産』と『アクアマン:王の最期』の2冊。
不人気キャラの代名詞であったアクアマンを、一気にDCのトップタイトルへと帰りづかせたジェフ・ジョーンズのアクアマン。
第一巻が発売された時にもちろん期待していましたが、完結編まで一気に刊行されることになりました!




またマーベルで楽しみなのは、『ドクター・ストレンジ:ウェイ・オブ・ウィアード』。昨年より始まったオールニュー・オールディファレント・マーベル路線の初翻訳は、映画の公開が待たれるDr.ストレンジ!
本国でも映画化を控えた時期に始まった企画ということもあり、マーベルのトップクリエーターの共演となっています。
またDr.ストレンジでいえばその誕生譚を再構成した『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』も、映画の予習にはぴったりの作品となっております。
また、翻訳作品の続刊となる『ジャスティス Vol.2』『ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 1』も近日発売となっています。

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チャンピオンズ#1-2

チャンピオンズ#1-2
(作:マーク・ウェイド、画:ハンブレロ・ラモス)

マーベルの新時代を体現するヒーローチーム"オールニュー・オールディファレント・アベンジャーズ"のメンバーとして参加した3人の若手ヒーロー、ノヴァ(サミュエル・アレクサンダー)、アルティメット・スパイダーマン(マイルス・モラレス)、Ms.マーベル(カマラ・カーン)。

しかし、理想に燃える3人の若者を待っていたのは、理想とは程遠いヒーロー世界の現実であった。

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サム:こんなことをやらされる為にチームに入ったんじゃない。俺もスパイディも、これ以上大好きなヒーローたちを殴るのはごめんだ!

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カマラ:悪人と戦うのには熱心なのに、なんでその後で破壊された街を直してみんなの生活を再建しようとしないの?


親世代のヒーローたちの体たらくに絶望した彼らは、"戦うためではなく、よりよい世界を作るための活動"を目指し、自分たちのヒーローチーム"チャンピオンズ"を結成する。

結成メンバーとして、元アベンジャーズの3人に加えて、"トータリー・オーサム・ハルク"ことアマデウス・チョと、ヴィジョンの娘ヴィヴの2名を迎え入れたチャンピオンズ。
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彼らは「お互いの事をよく知るまではチームとは言えない」というカマラ独自のヒーロー哲学に従い、全ての駆け出しヒーローチームがまず初めにするべきミッション、キャンプ旅行を決行する!
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【自己紹介タイム】
キャンプファイヤーを囲み、お互いを知るためにまずは自分たちの能力を紹介しあうことになった少年たち

チョ:おつぎ僕の番かな。僕の能力は見ての通り。この星で8番目の知性の持ち主、つまり何でも知ってるってわけ!
カマラ:じゃあ質問その1、どれくらい高くジャンプできるの?
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一同:・・・
カマラ:…あなたの番を始めた方がよさそうね

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ヴィヴ:ワタシはシンセロイド、人工の組織を持つアンドロイド。サーバーが内蔵され…
カマラ:ちょっとまった!もしかしてあなたって、Wi-Fiを飛ばしてたりしない?
ヴィヴ:その問いに肯定シマス
カマラ:それを早く教えてよ!パスワードは?
ヴィヴ:EVENANANDRO1DCANCRY(アンドロイドにだって泣くことはできる)

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一同:…
カマラ:…だめよ!キャンプにきてこんなことしてちゃ!



【キャンプの定番】
カマラ:次は怪談の時間よ!
マイルス:やったぜ!

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ヴィヴ:(検索中)怪談…
幽霊…
生きている様で死んでいて…
人であるようで違って…
実体があったりなかったり…
Ms.マーベル。もしかしてワタシに対する軽微な敵対行動デスカ?


【敵(?)の襲来】
夜も更けキャンプファイヤーが盛り上がるなか、突然はるか上空からチームのキャンプサイトのど真ん中に巨大な影がふってくる。

呆然とする一同を前に、巨大な影が口を開く…
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アマデウス・チョ:小腹が減ってきたから戻ってきちゃった。で、次の質問は?

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そんなハルクに物陰から照射されるエネルギーブラスト。
突然の敵襲に驚く一同であったが咄嗟の連携で、攻撃者を取り押さえる。

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サイク:ごめん、間違えた!てっきり、キミたちが巨大な何かに襲われたんだと思って…
ハルクをエネルギーブラストで攻撃した人物、それは『アベンジャーズvsX-MEN』事件の直後に、ビーストによって過去から現代に連れてこられたX-MENのオリジナルメンバー、若き日のサイクロップスであった。

チャンピオンズ結成の際カマラがTVカメラに向かって行った演説に感銘を受けたサイクロップスは、チャンピオンズに加わるためにはるばるこの地までやってきたのだ。

突然の入隊に希望に戸惑う少年たち。
それもそのはず、彼らの知るサイクロップスといえばミュータントによる革命を扇動し、インヒューマンズの女王メデューサの暗殺未遂事件を起こしたばかり。
そんな彼の扱いについて、喧々諤々の議論を交わすチャンピオンズの面々。

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チョ:奴はいわば"少年時代のヒットラー"だろ?
カマラ:将来悪人なる運命かもしれない人と、一緒に戦える?
マイルス:ヴィランになったサイクロップスは死んだんだ。そこにいる彼は言わば別世界の彼だよ。
サム:俺ら"未来の行為に対する断罪"でやらかしたばかりだろ?


結論の出ない議論が進む中、一人沈黙を守っていたヴィヴが口を開く。

ヴィヴ:運命や可能性についての議論は無意味デハ?唯一、確実なコト。それはハルクを敵と誤認識した彼が、面識のないワタシたちを救助するため巨大な脅威と戦ったコト…
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ヴィヴの意見に顔を見合わせる一同。
そして・・・
**********************
というわけで、ついに始まったマーベルのリランチレーベル「Marvel Now!」の旗艦タイトルであるチャンピオンズ誌。
企画段階では"〇〇〇アベンジャーズ"のようなタイトルを検討していたにも関わらず、編集者の「よりフレッシュでしがらみのない名前こそが彼らにはふさわしい」という思いからこの名前が選ばれたという逸話が示す通り、若さと元気にあふれる快作となっています。

特に今回のサイクロップスを仲間に加えるエピソードは、直前のイベント『シヴィルウォーⅡ』の原因となった問題に対して、若者たちが話し合いによって希望溢れる結論を下す構成になっており、その様子は『シヴィルウォーⅡ』の終わりなき内部闘争を経験した読者としては爽快ですらあります。

はっきりと「暴力による問題解決」を由としない姿勢を示している彼らが、暴力による問題解決が基本となるアメコミ世界で今後いかなる道を歩んでいくのか? 
今後の展開が非常に気になるタイトルです。

【宣伝(使いまわし)】
10月に発売された『ジャスティス・リーグ:インジャスティス・リーグ』の興奮も冷めぬうちに、続刊となる『ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 1』が12月に発売されます。
New52のジャスティスリーグの総決算となる、アンチモニター/ダークサイド/ジャスティスリーグの3つ巴の戦いが遂に翻訳!
そして、DCからは他にも「レッドフード:ロスト・デイズ」と「フラッシュ:グロッドの脅威」が刊行。
前者は最近すっかり丸くなったジェイソンのダークヒーロー時代が描かれる作品ということで個人的にたのしみです。
また「フラッシュ:グロッドの脅威」は、New52フラッシュの第三巻となるのですが、フランシス・マナプルという才能豊かなアーティストが、ライターとアートを兼務したからこそできる珠玉の見開きページが含まれるはずですので、そのためだけに買ってもいいくらいです。
そして、こちらも1巻が出たばかりのアクアマンの続刊である『アクアマン:王の遺産』が発売。1巻を読んでその面白さに度肝を抜かれた方も多いと思いますが、実は2巻からが本番。アクアマンの宿敵ブラックマンタと、新たな盟友ジ・アザーズの登場で物語はさらにエスカレートしていきます。


マーベルからは、MCUのラスボスであるサノスを扱った作品である『デッドプール VS. サノス』と『サノス・ライジング』がお目見え。また、映画の公開が待たれるDr.ストレンジのオリジンである『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』に、最近の翻訳では珍しい1冊完結の読み切り作品『アベンジャーズ:エンドレス・ウォータイム』など、映像化作品を中心に据えた手堅い作品が並んでいます。


キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース #1-3

キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース #1-3
(作:ニック・スペンサー、画:ヘスース・サイズ)

【スティーブ・ロジャース復活】
スタンド・オフ』事件のさなかに、"生けるコズミックキューブ"ともいえる少女コビックの現実改変能力により若返ったスティーブ・ロジャース。
再び全盛期の力を取り戻した彼は、シールドのエージェントとして現場での活動に復帰していた。

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スティーブとシールドの目下の最大の懸念事項は、レッドスカルがリーダーとなったことで再び力を蓄えだしたヒドラ。
レッドスカルは、先進国の貧困層の間に広がる漠然とした不公平感を言葉巧みに移民や難民への憎しみへと転化させ、ヒドラの忠実な構成員とすることで急速にその版図を広げていく。

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(貧困のため社会からつま弾きにされてしまった青年。ヒドラの思想以外によりどころを失った彼は、スティーブの心からの説得を振り切り自爆テロの道を選ぶ…)

しかし、そんなレッドスカルによる新しいヒドラの隆盛を快く思わないのは、ヒーローたちだけではなかった。
"平和な牢獄"プレザントヴィルから脱出したジーモもまた、自身のヒドラを立ち上げようとしていた。

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バロン・ジーモ:レッドスカルは自分が新しいヒドラのリーダーだと世間に喧伝しているが、それは誤りだ。
ヒドラが、まともな教育も受けてないストリートギャングの集団であっていいわけがない。
ヒドラの理念を取り戻す戦争は今この場から始まる。
そしてレッドスカルを我々の前に跪かせるのだ!


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プラントマン:・・・"我々"? もう少しメンバーいないんですか?



しかし、そんなバロン・ジーモの同行を知ったシールドは、スティーブとその相棒のジャックフラッグをジーモの下に送り込む。
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突然の襲撃に、捕虜であるセルヴィク博士を連れて航空機で逃げ出すジーモ。
すかさず航空機に飛びつきそれを追うスティーブとジャックフラッグ。

激しい格闘戦の末、ジーモを取り押さえたジャックフラッグ。
そしてスティーブは彼の肩に手を置き、声をかける。
スティーブ:すまない、ジャック

戸惑うジャックフラッグを、手早く飛行機の外に投げ落とすスティーブ。
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そして…

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セルヴィク博士:それでは、偉大なるリーダーの話は本当だったのですね。あなたも我々の側で戦っているというのは!
スティーブ:全てはヒドラの、"真の"ヒドラの栄光のために。
セルヴィク博士:助けてくれてありがとう。あなたと偉大なるリーダーに感謝を…
スティーブ:あなたは少し勘違いされているようだ。ヒドラはあなたの献身に感謝している。が、すまない。他に方法がないんだ。

飛行機をビルへの衝突ルートに乗せたスティーブは、セルヴィク博士の拘束を解かぬまま、飛行機を後にする・・・

【スティーブの身に起こったこと】
自由主義の闘士であったはずのスティーブが、なぜヒドラの党員となったのか?
これにはもちろん、現実改変能力によってスティーブを若返らせた張本人であるコビックが絡んでいた。

シールドに保管されたコズミックキューブの欠片が自我を持ち、人間の少女の姿を持つようになった存在であるコビック。
実はこのコビックへと姿を変えたコズミックキューブは、もともとレッドスカルの持ち物であったのだ。
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器物であった自分へと注がれた愛着をよすがにレッドスカルの下にあらわれたコビック。

世界を思うがままに書き換える力を持つ秘宝が、人を疑うことを知らない純真な少女として現れたことに驚きを隠せなかったレッドスカルであったが、この少女が秘めた宇宙最強の力を自分のものとするため、彼女を何としてでも手なずけることを決意する。

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レッドスカル:こうしてヒドラはその偉大なリーダーと共に世界一のテロ組織となり、みんな幸せに暮らしましたとさ。
コビック:もういっかい!もう一回読んで!


シールドの研究施設で暮らすコビックと夜ごとに密会し、彼女を娘のようにあつかいながら愛情深くヒドラの思想に染め上げていくレッドスカル。
かくして、コビックは「世界中のみんなが楽しく暮らせるようになってほしい」という子供らしい純真な善良さと、「ヒドラによる独裁支配による新世界秩序」という思想を、自身の心の中で無理なく両立させていく。

コビック:どうしてシールドのみんなはヒドラにならないんだろ?世界を安全にしたいならば、わたしそれが一番だと思うの。
レッドスカル:まったく、君の賢さには目をみはるばかりだ。でももう少し待つとしよう。このことは2人の秘密にするっていう約束は守れているね? せっかくのサプライズパーティをだいなしにしてはいかんからな。
コビック:もちろん!ヒドラやおじ様の事は、わたしとセルヴィク先生以外知らないわ。


コビックがヒドラの事をセルヴィクに打ち明けていることを知り、狼狽するレッドスカル。
しかし、その後コビックのとりなしでセルヴィク博士と会ったレッドスカルは、コビックがセルヴィクにしたことを知り驚嘆する。
コビックはその力を用いて、セルヴィクを理想に燃える熱烈なヒドラ党員に仕立て上げたのだ。
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セルヴィクの心を覗き、それが洗脳やマインドコントロールのようなちゃちなものではなく、コズミックキューブの力を用いた完全な歴史改変であることを知ったレッドスカル。
(今のレッドスカルは、世界最高のテレパスであるエグゼヴィア教授の脳を奪い、その能力を自身のものとしています)

彼はその改変能力を積年のライバルであるキャプテン・アメリカに適用する計画を思いつく…


【スティーブロジャース:エージェント・ヒドラ】
ジーモとの戦いを終え、セルヴィク博士を抹殺したスティーブは…

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レッドスカル:遅いぞ。ヘル・ロジャース。
スティーブ:申し訳ありません。お許しください。
レッドスカル:許すかどうかは、お前次第だ。ジーモとセルヴィクの件は順調か?
スティーブ:はい。ただ本当にセルヴィクを殺す必要があったのでしょうか?彼の今までの功績を考えれば…
レッドスカル:それを判断するのはお前ではない! それで他に報告事項は?
スティーブ:実は昏睡状態ながらジャックフラッグが生きております。落下の衝撃を耐えきりました。
レッドスカル:馬鹿者!なぜ不確実な方法をとった!セルヴィクやジーモと一緒に爆破してしまえばよかったのだ。
スティーブ:申し訳ありません。あの時はそれが最善の判断だと・・・
それに敵ながらフラッグは、まっとうに埋葬されるべき立派な若者です。

レッドスカル:お前は柔弱すぎる!先日の自爆テロのときも、戦闘員に情けをかけたことは報告に上がっている。
スティーブ:お言葉ですが、総統。私がシールドのために活動していると改めて信じさせるために、若者を殺すのはやりすぎでは。
レッドスカル:うるさい!奴が投降し、支部の位置がばれたらどうするつもりだ。お前の情けとヒドラの理想を天秤にかけるつもりか!


"偉大なるリーダー"レッドスカルより強い叱責をうけ、その日の報告を終えたスティーブは、シールドのものでもレッドスカルのものでもない彼個人の計画に着手する。
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セルヴィク博士と共にレッドスカルを打倒し、理想のヒドラを取り戻す計画を!

************************

というわけで、5月より始まったキャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース誌の紹介でした。
"キャップが長年ヒドラの崇拝者であった"というクリフハンガーが、普段アメコミ特有のダイナミックな展開に親しんでいない層にまで拡散したせいで、炎上騒ぎにまで発展した本作。
その後「ユーザの猛抗議をうけて#2の展開をかえた」という、アメコミ出版体制の仕組みを知っていればありえないことがわかる噴飯物の記事がでまわるなど、アメコミ好きとしてはいろいろと感情をざわつかせられることが多かった本作ですが、その後これだけ魅力的な展開を見せているのに、(当たり前ですが)アメコミ好き以外では一切話題にならないのが悲しいところです。

今回のセッティングの面白いところは、キャップの忠誠心の向かう先が自由主義の理想からヒドラの理想にすり替わっただけで、彼本来の正義感は一切変わっていないところでしょう。
(そもそも今回の発端が、無邪気な少女の平和を愛する素朴な願いだったことを思い出してください)
ヒドラの末端構成員の哀れな境遇に向ける同情や、ひとたびヒドラがその"理想"を失ったとみるや、"理想"のためにヒドラ自体とも敵対する姿は、まさに我々の知るキャプテン・アメリカそのものです。

また作戦遂行のためには殺人をいとわないヒドラ・キャップですが、そもそも現在の状況は彼にとってはまさに戦争中。
「キャップといえども大戦中は敵兵を殺した。しかし相手に対する敬意の心は失わなかった」という近年の解釈を考えれば、その行動も無理もないところでしょう。

それでは、言わば"正義のヒドラ信者"となったスティーブが今後どのような方向に進んでいくのか?
詳しいことはもちろんわかりませんが、興味深い情報として先日発表された『シビルウォーⅡ:オース』についての情報があります。
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現在進行中のイベント『シビルウォーⅡ』のエピローグとなる本作において、スティーブ・ロジャースはヒーローコミュニティを2分する戦いを収めるための調停役として、両陣営のリーダーであるアイアンマンとキャプテン・マーベルの間に立つことになります。
果たしてヒドラの信奉者であるスティーブは、この機会をどう活用するのか?
本作は、キャプテン・アメリカ:スティーブ・ロジャース誌のライターであるニック・スペンサーがライターを担当することもあり、本作の内容がキャプテン・アメリカの、ひいてはマーベルユニバース全体の今後に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

【宣伝】
今回の翻訳本の宣伝はDCから。
まずお勧めなのが『アクアマン』! 長い歴史を誇りながらも「ジャスティスリーグ1の不人気ヒーロー」と揶揄されることも多かったアクアマンを一躍DCのトップヒーローへ押し上げたジェフ・ジョーンズの腕前に舌を巻くこと間違いなしの内容です。
"一躍DCのトップヒーローへ押し上げた"といえば『バットガール:バーンサイド』も外せません。打ち切り前の穴埋め的に行った路線変更が大当たり。その方向性の後追いをするタイトルがDCのみならずマーベルでも現れ、"バットガール化"という言葉すら生まれた記念碑的作品となります。
つづいては『ジャスティス・リーグ:インジャスティス・リーグ』。傑作イベント『フォーエバーイービル』の展開をうけ、ルーサーがジャスティスリーグに加入という衝撃の導入で開始する本作は、ジェフ・ジョーンズのジャスティスリーグの絶頂期と言っても過言ではない面白さです。



続いてはマーベル。
こちらは何といっても『スーペリア・スパイダーマン:マイ・オウン・ワースト・エネミー』でしょう。
Dr.オクトパスがピーターの体を乗っ取りヒーロー活動を始めるという、変化球どころかビーンボールのような内容ながら、その面白さで多くの人を唸らせた傑作です。ピーターが体を乗っ取られるまでの経緯を描いたアメージング・スパイダーマン誌の最後のストーリーも収録されるのがうれしいところ。
続いて未読ながら「心の中にいるキャプテンアメリカ、ウルヴァリン、スパイダーマンの人格と会話をしながら戦う多重人格ヒーロー」という設定がとにかく凄い『ムーンナイト 上』も気になるところ。
最後は定番となったデッドプールから『デッドプールVol.7:アクシス』と『デッドプール Vol.8:オール・グッド・シングス(仮) 』の2冊が発売。



プロフィール

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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