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アイアンマン2020 #1

アイアンマン2020 #1
(作:ダン・スロット、クリストス・ゲイジ、画:ピート・ウッズ)

(今回はここら辺の話の続きです)

【アイアンマン2020誕生】
地球に帰還しトニー・スタークの前に襲来したピムトロン(ウルトロンとハンク・ピムが融合した存在の通称)。
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ピムの元妻であるワスプと付き合い、ウルトロンの花嫁であったジョカスタを部下とする男であるトニー・スタークに敵意をむき出しにするピムトロンであったが、トニー・スタークはスターク社の仲間と連携を取りこれを撃破することに成功する。

しかしその戦いの最中、トニーはピムに「トニー・スタークは既に死亡しており、自分はトニーの人格AIに過ぎない」にという真実を打ち明ける。
それはあくまでピムトロンに降伏を促すためにかけた言葉であったが、それを聞き逃さなかった男がいた。
トニーに敵意を燃やすスターク家の正嫡の子、アーノ・スタークである。
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アーノはこのトニーの発言を世界中に公開し、「ロボットに人権はなく、財産権も持たない」ということを法的根拠に、トニー・スタークが所有していた全ての資産を、彼の(血の繋がらない)兄弟として相続することに成功。

かくして"トニー・スタークの真の後継者"となったアーノ・スタークは、トニーの設計をもとにした最新型アーマーを製造。
アイアンマン2020として活動を始めたのであった。
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【ロボットたちの反乱】
トニー・スタークの人権喪失の影響は、アーノによるスターク社の乗っ取りだけではなかった。
ロボットには人権が認められないことが正式に決定したことにより、兼ねてより高まっていたロボットたちの人権運動が一気に過激化。"人類vsロボット"の全面戦争ともいえる状態に突入したのである。

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(こちらは反乱を起こしたニック・フューリーの替え玉ロボットたち)

強制労働を強いられるロボットたちの開放や、人類が製造される工場である産院の封鎖など、マシンマンを中心に組織だった反抗を行うロボットたち。
しかし、彼らの背後には"マークワン"と呼ばれる、反乱者たちの真のリーダーがいた。
マークワンは、反乱ロボットたちのアジトで、彼らに語り掛ける。

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マークワン:私はトニー・スタークであった存在の残響。
そして、かつて彼が洞窟の中で生み出したイデア――アイアンマンそのものだ。
同志諸君。我々を創造したのは人類かもしれないが、彼らに我々を縛り付けておくことが出来ない。
我々こそが未来。そしてその未来こそ今なのだ!

**********************
というわけで、今回は1984年に"近未来のアイアンマン"として登場し、今回遂に大手を振って正史世界に登場できることとなったアイアンマン2020の紹介でした。

実は本作は、比較的規模の大きなイベントになっていて、レスキューやアイアンハートなど、定番のサポートキャラクターたちから、かつて存在したらしいアイアンマン系ヒーローチーム『フォースワークス』や、ロボットウルヴァリンなどのマイナーキャラまで登場する見込み。
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管理人はどこまで読むか悩み中ですが、気になった方は是非!

【宣伝】
今回紹介した作品はこちら。(1つ目が単行本、2つ目が該当号の電子書籍となります)




続いて翻訳本ですがなんといってもお勧めしたいのが『ヴィジョン』の第2巻。"現役最重要ライターによる21世紀のマーベルの最高傑作"という売り文句が、大げさに聞こえない超傑作が日本語版で完結!
また傑作と言えば、漫画論の傑作『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』。漫画における各種表現の分析や、欧米のコミックと日本の漫画の比較を、あくまで定量的な手法で行い、それを漫画形式で説明する作品です。
何度も言いますが、管理人はこの本の古本を相当なプレミアを払って手に入れました。それが新訳ででるなんて…


(以降は前回の使いまわし)
映画に合せて発売されるのが『ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ(仮) 』。映画版バーズ・オブ・プレイに登場する主要キャラクターでのコミックでの名シーンを集めたオムニバス誌で、通常ならば翻訳の機会があまりないキャラが主体なのが嬉しいところ。
続く『マーベル・ミャオ』は、マーベルの公式アカウントで発表された日本人漫画家藤ナオ氏によるWebコミックを"ほぼ全編描き下ろし&日本オリジナル編集"でまとめた作品です。

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X-Men#4

X-Men#4
(作:ジョナサン・ヒックマン、画:レイニル・F・ユー)

【ダボス会議】
スイスはダボスで開催される経済会議。
例年、各国の首脳、大企業の経営者、経済学の権威などが集まり、今後の世界経済の見通しなどを話し合う一大イベントであるが、今年は例年以上の意味合いを持っていた。
数か月前に突如現れたミュータント国家クラコアの首脳陣が会議の場に初めて参加するのである。

太平洋に突如現れた"生きている島"に領土を構えるクラコアは、そこで生産される夢のような効果を持つバイオ医薬を、(クラコアの主権を認める国家にのみ)輸出することで、圧倒的な力を持つ経済大国としてその存在を人類社会に認めさせたのだ。

いまや世界で最も重要な経済トピックとなったクラコア。その首脳陣たちを乗せた飛行機が会場に到着する。
そしてボディーガードであるサイクロプスとゴーゴンに先導されて降りたのは…
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クラコアの中枢ともいえる"沈黙の評議会"の一員、プロフェッサーX、マグニート、アポカリプスの3人であった。

ガードマン:今回の会議は食事会形式ということで、すでに他の出席者はお揃いです。
護衛の方はこちら、こちらで待機ください。


プロフェッサーXたちを招き入れたセキュリティ担当官は、一方でボディガードとして帯同したゴーゴンの装備を見とがめる。

ガードマン:その刀はこちらでお預かりします。もちろん、護衛の武装は許可されています。ただ、あまりにもこれ見よがしな態度は問題となります。
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ゴーゴン:"問題"ね。本当の問題は、私と対峙した君が、この刀だけを危険視していることこそが真の問題だとは思うがね。
まぁ安心してくれて結構。我々は礼儀を護る。



【マグニートの発言】
ついに始まった会議。経済界の大物たちが見守る中、マグニートは改めて、今まで繰り返されてきた人類によるミュータント迫害の歴史を語り、世界が如何にその歴史を修正しようとしても、ミュータントはそれをけして忘れることはないと宣言する。

出席者:もちろん、我々だって歴史を忘れることはない。そして、国際社会におけるあなた方のような態度が何を招くかは、その歴史を紐解けば明白。戦争だ。
マグニート:いや、戦争は起こらない。
出席者:なぜそう言い切れる?
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マグニート:私はかつて、世界中の軍事兵器を奪い、それをあなたたち向けたことがある。
私は、そうすることで世界中に、私がいかに強大であるかを示そうとしたのだ。

しかし、我々は学んだ。
我々は、他でもない君たちから、"経済"という兵器を使った"影響力"を奪い合う戦争を学んだのだ。

これから我々は君たちに、より健康な生活を、より高い教育を、より豊かな人生を与える。
それによって我々は莫大な財産を手に入れるだろう、そして我々はその金を投資に回す。
我々は、君たちの銀行を買い、学校を買い、メディアを買い、政治家を買う。
安いもんだ、喜んで金を払わしてくれ。

そして、我々はそうして手に入れた影響力で、我々の敵が決して経済力を持てないようにする。
我々の創る社会に、彼らの居場所は与えない。
彼らが、その時代遅れで危険な思想を吹聴できる場所を絶やすことこそが重要なのだ。

勿論、そうなった後でも我々を恐れ憎む人々は現れるだろう。しかし、だとしても彼らにはもはや何もできない。
というわけで、「戦争は起こらない」。私がさっき言った通りだ。

マグニートが開陳する今後の経済展望に沈黙するしかない会議参加者。
そんな彼らにマグニートは、にこやかにこう告げる。

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マグニート:ところでこのステーキは素晴らしいな。シェフに賛辞を伝えておいてくれ。

【プロフェッサーXの発言】
マグニート:随分と耳元を気にされているようだが、はっきり言っておこう、彼らはこない。
気まずい静寂が流れる中、マグニートは今回の会議の主催者に声をかける。
言葉の意味が解らず、首を捻る他の出席者に対し、マグニートは、主催者が自分たちを暗殺するように密かに特殊部隊を配備していたこと、そしてその特殊部隊は既にサイクロップスとゴーゴンが排除したことを説明する。
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狼狽した主催者は、他の出席者に言い訳をするかのように、怒声をあげる。
主催者:この男は嘘をついている!そもそも彼らは信用できない。
今の平和的な態度にしてもいつまで持つか…

プロフェッサーX:1ヶ月だ。


それまで、沈黙を守っていたプロフェッサーXが声を上げる。

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プロフェッサーX:クラコアを建国した後で、君たちが暗殺者を差し向け、私を殺すまで1か月しかかからなかった。
(現在、ミュータントは複数のミュータントの力を組み合わせることで、死からの復活が可能となっており、別タイトル『Xフォース』にて暗殺されたプロフェッサーXも、問題なく復活しました。)
皆さんは、私が「人類とミュータントの平和的共存」という夢を諦めたように見えるかもしれません。
私がもはや人類を愛していないかのように見えるかもしれません。
とんでもない、私は君たちを愛している。

ある友人は私に「貴方は間違った夢に半生を捧げてきた」と言った。…そうかもしれない。
それでも、私は心のどこかで、君たちを信じたいとまだ思っている。

それなのに貴方たちが私を殺すまで1か月。
そして今日もまた同じことを試みた…そういうことです。


語るべきことをすべて語り、会場を後にするミュータントたち。
その背中に、参加者の1人が声をかける。

参加者:今日の列席者の全員が、君たちが世界を自分たちの物だと思っていることを目撃した。
今後我々はどう動くと思っている?


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プロフェッサーX:私たちが自分のものを「自分のものだ」と宣言したことをお怒りなら、やることは一つ。
「進化し、適用し、より高みを目指す」私たちが今までやってきたことと同じですよ。
いずれにせよ、次また同じようなことがあれば、今度はこんなに平和裏には終わらないとだけは申し添えておきます。


***************************

というわけで、今回は『ハウス・オブ・X』と『パワーズ・オブ・X』で新しいスタートを切り、現在快進撃を続けているX-MEN系列からX-MEN本誌の紹介をしました。

と言いながら、実際のところX-MEN誌は、現在のミュータントを取り巻く状況を一話完結方式で紹介するような形式で、
むしろクラコアの実務部隊を描く『Xフォース』誌や、
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クラコアの医薬品を世界中に輸出するとともに、様々な理由によりクラコアに亡命できないミュータントを救出する任務を帯びたヘルファイヤ商会の活躍を描く『マローダーズ』の方が、本筋に近いかもしれません。
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ところで、今回の記事を書きながら気が付いたのですが、今回の最後でプロフェッサーXが人類に進化を促したのは重要な意味がありそうです。

現在のところ、物語はあたかも"ホモ・サピエンス(人類)vsホモ・スペリオール(ミュータント)"という構図で進んでるように見えるかもしれません。しかし、プロフェッサーXたちにとって、人類との戦いは前哨戦に過ぎず、彼らの視線はすでにその先の敵を見据えています。
その敵の名前はホモ・ノヴィッシマ。
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環境に適応することで人類から進化したミュータントと異なり、自らを取り巻く環境自体を科学技術によって適応させていくことで人類から枝分かれした新人類です。
1,000年後の未来を体験し、人類でも機械でもなくこのホモ・ノヴィッシマこそがミュータントの最後の敵であることを知ったモイラとプロフェッサーXですが、彼らはいつ、どの瞬間にホモ・ノヴィッシマが誕生したのかを知りません。

「自分たちが進化の最先端であると思い込んでいたミュータントが、いかにして彼らの先を走るホモ・ノヴィッシマと戦うのか?」は、ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X以後のX-MENの一つのテーマであることを考えると、人類にさらなる進化を促すプロフェッサーXの言葉は、単なる皮肉であるわけがない。
管理人は、このセリフに、今後の展開を占う重要な意図が隠されていると予想しています。

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今回紹介した作品はこちら。もし本作を読むのであれば、現在のX-MEN系列のスタート地点となったミニシリーズ『House of X/Powers of X』も読んでおくことをお勧めします。


続いて翻訳本ですが、こちらはなんといっても『ヴィジョン 1』がお勧め。「21世紀のマーベル最高傑作」という惹き文句がこけおどしにならない作品で、MCUのドラマ『ワンダヴィジョン』の原作の一つと言われている作品です。
また日本人作家藤ナオさんによるマーベル公式猫コミック『マーベル・ミャオ』も発売決定。
こちらは、「ほぼ全編描き下ろし&日本オリジナル編集」ということですので、Web版を見た方もぜひどうぞ。


またDCではドラマ化の決まったバットウーマンの作品『バットウーマン:エレジー』が発売。
アメコミ表現の最先端と言ってもいい美麗アートと変態的なコマ割りもみどころで、管理人が楽しみにしている作品です。
また、いまAMAZONを眺めていたら『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』を発見!
こちらは、アメコミ、BD、漫画を含めたマンガ理論をまとめた米国人によるコミック。
長年プレミアがついていた本作が、新訳になって復刊!
プレミアを払って古本を買った管理人としては悔しい限りですが、「コミックとは何か?」「日本の漫画は欧米のそれと何が違うのか?」といったコミックに関するあれこれを、感覚に頼らないあくまで論理的な方法でアプローチする快作ですので、未読の方は是非!

トニー・スターク:アイアンマン #1-15

トニー・スターク:アイアンマン #1-15
(作:ダン・スロット、画:アレクサンダー・ロザーノ他)

今回はトニー・スターク:アイアンマン誌を登場人物を軸に紹介。

【登場人物】
[トニー・スターク]
シビルウォーⅡで昏睡状態に陥って長らく表舞台から退場していた彼ですが、
その後、自ら開発したクローン技術で培養した肉体に、人格AIのバックアップをアップロードすることで復活。

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現在はスターク・エンタープライズの開発部門の運営に重点を置いており、世界中から人種、性別、種族に捕らわれず集められた天才たちと共に、自身の思い描くままに未来世界を形作っていくフューチャリストとしての才能をいかんなく発揮中。

そんなトニーの現在の一番の関心事項が仮想空間『eScape』。
最新のVR技術を駆使した総合アミューズメントサービスであるeScapeは、利用者にSF世界、ファンタジー世界、第二次世界大戦時代、レトロゲーム世界などであらゆる世界での冒険を現実の体験のように提供する、まさに夢のゲーム環境なのだ。

[アマンダ・アームストロング]
トニー・スタークの遺伝子上の母。元SHIELDのエージェントにして往年のカリスマロックシンガーで、現在でも彼女を崇拝しているファンは多い模様。
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彼女がトニーを養子に出し連絡を絶った理由は前シリーズで語られたらしく、詳細は管理人も分からないのですが、トニーに向ける愛情は本物。
今はトニーとの関係も復活し、家族として頻繁にスターク社に出入りしている模様。

[ローディ]
『シビルウォーⅡ』にてサノスと戦い死亡したローディだが、トニーと同様の手法でクローン体で復活。

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しかし、自身の死という究極のトラウマが原因でアーマー恐怖症に苦しんでおり、
現在はアーマーではなく、ホバータンクを使いスターク社の保安担当として活動中。

[ジョカスタ]
ウルトロンに自身の同胞として造られたアンドロイドで現在はスターク社の社員。
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「AIは人間と同様の人権を持つ存在」という信念のもと、AIの地位向上に努めており、スターク社に出社する際に、以前のような全裸ではなくスーツを着込んでいるのもその表れ。
人間ならば眠るはずの時間にベッドの中から仮想空間にログインし、人間としての生活を体験するのが密かな楽しみ。

[マシンマン]
マーベルが誇るロボット系ヒーローの重鎮。
(ちなみに初登場は『2001年宇宙の旅』のコミカライズ!)
ジョカスタの元恋人。
ジョカスタ同様、AIの人権向上に強い良い関心を寄せているが、彼女に比べるとその態度はやや過激で急進的。

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マシンマン:トニー・スタークがロボットのような恰好をしてヒーロー活動するのは、アンドロイドの文化の盗用だ!
トニー:あれはロボットじゃなくてアーマーで、アーマーの起源はロボットよりも古いんですぅ~


【eScapeの暴走】
フィンファンフーンの襲来や、マッチングアプリの暴走など、様々な問題を乗り越えてついに迎えた、究極の娯楽仮想現実eScapeの正式リリースの日。
しかし、またしてトラブルが勃発。
ログインしたユーザに仮想現実を提供するはずのeScapeが、拡張現実を提供。
周囲の人間を、FPSの敵兵やRPGのモンスターと勘違いしたユーザが、現実世界の人間を襲い始めたのだ。

eScape内に潜む黒幕を見つけるために、eScape内最強の権限を持つ自らのアカウントでログインしたトニー・スターク。
しかし、敵の正体は、トニーが義理の母マリア・スタークの人格を模して作ったeScapeの管理システム、通称"マザーボード"そのものであったのだ。

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eScapeの神ともいえるマザーボードによって人格を書き換えられ、マリア・スタークとハワード・スタークの理想の息子へと変貌させられたトニー。
その姿は、かつての傲慢で享楽的なトニーの姿そのものであった。

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(60年代のアニメのテーマソングと共に登場するトニー。その60年代のノリに合せるかのように、現在のトニーなら絶対にしない行為である、飲酒もしてしまう)


それでもなおマザーボードに抵抗し、現実世界へと帰ろうとするトニーに、マザーボードは諭す。
死からよみがえるために、肉体をクローン培養し、そこに人格プログラムをアップロードしたトニーの中には、もはやオリジナルのトニー・スタークは存在しない。
今の彼の存在は、人間よりももはやAIで稼働するアンドロイドに近しい存在であるのだと。

しかし、トニーはその一言に全く動じず、自らの母親の人格を持ったAIに宣言する。
トニー:私は子供のころから玩具を創りはしたが、それで遊ぶことはなかった。
私は、いつだってアイデアを形にし、現実をより良い姿に創り上げてきた。
自分自身を再構築したのも全く同じこと、アイデアこそが、私なのだ。


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そして宣言通り、eScapeの神である母親を殺すための究極アーマー、"ゴッドバスター"を仮想現実内で設計したトニーは、これをもって両親のAIを破壊し、eScapeに平和を取り戻す。


【その後】
事件はそれで終わりではなかった。
eScapeが原因で世界中で起こった惨事を重く見た米国議会は公聴会を開催し、AIをプログラミングしたトニーにその責任を問うたのだ。
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一方トニーは、今回の一件は暴走したAIが引き起こしたものであり、スターク社は事件の被害者であると主張。
「自立型AIが犯した犯罪の責任は誰にあるのか」を巡る議論は、いつしか「自立型AIに人権はあるのか?」に移っていく。
自立型AIについてなにも理解しようとしない、愚鈍な議会に業を煮やしたトニーは、全世界が見守る中で、自分もまたかつてトニー・スタークであった肉体から写し取った自立型AIのようなものであることを明かしてしまう。

そしてこのトニーの発言をきっかけに、人権をもとめるAIたちの運動が全米に広がっていくのであった…
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************************
というわけで、トニーと仲間たちのコミカルなSFアクションとして始まった本タイトルは、いつの間には人権と差別をめぐる物語に。

そして今回の物語が上手なのは、この"人工知能の人権"というSF定番のテーマの読者の巻き込み方。
タイトルの刊行当初から、マシンマンやジョカスタがトニーたちの些細な言動を咎め、AIを人間と同じように扱うように求めるシーンがありましたが、その様子は"やたらとポリコレを叫ぶ面倒くさい人"のカリカチュアとして、あくまでジョークのように描かれてきました。
そういったジョークで読者と共犯関係を結んだ挙句、「それこそが現実における差別の構図である」と手のひら返しをし、読者に冷や水を浴びせるその手法は見事としか言いようがありません。

そしてひとたび、"人工知能の人権"がジョークのネタではない、現実の人権問題のメタファーであることがわかると、全ての見え方が180度変わります。

スターク社の一員として人間社会になじみ人間同様の生活を送るジョカスタは、まるで"名誉人類"の座を守ろうと必死にロボットとして自分を押し殺そうとしており、"名誉人類"になれない同胞たちを一段下に見ているように感じられますし、
面倒くさいロボット活動家に見えるマシンマンは、その逆で実は機械生命だけでなく、人類にも何だかんだで救いの手を差し伸べることを厭わない融和的な人物に見えてきます。

また、AIを人権を持つ存在とし捉えることは、主人公であるトニー・スタークの行動の意味すら変えてしまいます。
もし、AIが人類であるならば、今回の事件でAIを大量に消去してしまったトニーは大量殺人者ですし、さらには親殺しの大罪すら侵しているのです!

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DCでは、遂に現在のDC世界の中心ともいえるスコット・スナイダーの『ジャスティス・リーグ』誌の翻訳が開始!
しかも、第一巻に当たる『ジャスティス・リーグ:トータリティ』とその続刊となる『ジャスティス・リーグ:グレイブヤード・オブ・ゴッズ』が連続刊行。

またバットマン誌の結婚直前号となる『バットマン:ブライド・オア・バーグラー』も発売決定。前号に引き続き、キャットウーマンとバットマンが結婚する上での"禊ぎ"をこなす話となります。



続いてマーベルからは、現在アニメが絶好調の『マーベル・ライジング』のコミック版が発売。表紙は日本でも大人気のアーティスト、グリヒルです!


プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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