フラッシュポイント・ビヨンド
フラッシュポイント・ビヨンド
(作:ジェフ・ジョーンズ/ティム・シェリダン/ジェレミー・アダム、画:サーマニコ/ミケル・ハニン)
トーマス・ウェイン、"世界最速の男"の過ちによって生まれた悪夢のような世界からやってきたもう1人のバットマン。

正史世界にやってきた彼は、妻を娶り、子を育て、幸せな人生を送るべきである息子のブルースが、その幸せに背を向けてバットマンとして活動していることを憂い、息子をバットマンとしての生活から引きずり出すことに血道を開ける。
しかし、別アースからやってきたスーパーマン大統領と共にマルチバースを股に掛けた戦いに駆り出されたトーマスは、そこで目にした光景で自らの過ちに気が付く。
トーマスが見たものは、多次元世界のバットマンたち。様々な世界で名前や姿、時には種族すら変えながら、人々のために戦い続ける息子とその"ファミリー"の姿であった。

「子供自身の生き方や幸せの形を、親が勝手に定義することはできない」
そんな、人の親であればいつか知ることになる平凡な気づきを、マルチバースの中心で遂に学んだトーマスは、自らも息子と同様に世界を守る戦いの戦列に加わる。
しかし、トーマスの戦いは長くは続かなかった。

マルチバースのヒーローたちを集めたチーム"ジャスティスインカネート"に加わったトーマスは、真のダークサイドとの戦いに敗れ、この世から消滅したのである。
その次の瞬間、トーマスが目を覚ましたのはカジノの重役室であった。
トーマスは自身の出身アース、人類とアマゾンとアトランティスが血で血を洗う戦いを繰り広げる悪夢の世界に逆戻りしたのである。
息子であるブルースを救うためにバリーと共に消し去ったはずの世界が、なぜまだ存在するのか?
そしてその世界に自分を閉じ込めたのは誰なのか?

この狂ったアースにも自分の命にも何の未練も持たないトーマスは、再び世界を歪めた黒幕を探し始める。
********************************
……というわけで久しぶりの更新は、新しく始まったジェフ・ジョーンズによるサーガの開幕となったミニシリーズ『フラッシュポイント・ビヨンド』の紹介。
以降は、気になったシーンなどをつらつらと。
【世界最速の男の復活】
再びこの世界を消し去り、息子が活躍する世界を復活させる術を模索するトーマスは、前回の協力者バリー・アレンに再び協力を求める。
しかし、この世界のバリーは母親と共に平穏な暮らしを送るただの鑑識官。
この世界の全ての事柄に対して何の価値も感じないトーマスは、そんなことをお構いなしにバリーを誘拐。
彼を化学薬品を設置した避雷針に縛り付け、バリーを世界最速の男に仕立て上げた事故の再現を行う。

嵐の真っただ中で雷を持つトーマス。しかし、雷が避雷針を直撃するその直前、どこからともなく飛んできた銛が化学薬品を入れた容器を木っ端みじんに破壊する。
薬品をかぶることなく雷をその身に受けたバリーは黒焦げの死体に。時空を超える力を持った世界最速の男の復活を目論んだトーマスの試みは、無残にも失敗したのである……

【クロックワークキラー】
一方、セントラルシティのアパートの一室では、猟奇的な殺人事件が発生していた。
被害者の身元は不明。奇妙な黄色いコスチュームを着こんだ男は、IDも指紋登録もないまさにこの世界に存在しないはずの男であった。

奇妙なのはそれだけではない、男の死体からは内臓が抜かれ、その代わりには大量の歯車とクランクが詰め込まれていた。
実は、このような変死体はこの男が初めてではない。これは警察によって"クロックワークキラー"と名付けられたシリアルキラーによって引き起こされた連続猟奇殺人事件の1つなのだ。
元宇宙飛行士ナサニエル・アダム、コソ泥パーシバル・サター、マシュー・ライダーと名乗る男、そして今回見つかった黄色いコスチュームの人物……
互いに何の関りも共通性もない被害者たちを狙った猟奇殺人に、警察は頭を抱える。
しかし、トーマスだけは彼らの共通点を知っていた。
キャプテン・アトム、Dr.タイム、ウェーブライダー、リバース・フラッシュ。
クロックワークキラーの被害者たちは、息子が暮らす世界のヒーローとヴィランたち、それも全て時を超える能力を持った者たちばかりなのだ。
何者かが、この世界で時間旅行者たちを狩っている。それも息子の世界でのみ知りうる知識を使って。
トーマスは、激化するアトランティス/アマゾン/人類の戦いを尻目に、一連の殺人事件の犯人を追い始める。
【一方ブルースは】
一方そのころ、正史世界のバットマン、ブルース・ウェインもまたとある調査を行っていた。

ブルースの隣にいるのは、マイムとマリオネット。『ウォッチメン』の世界からDCの正史世界へとやってきた2人組の犯罪者である。
何者かの年季のはいった研究室に忍び込んだバットマンは、マリオネットらの助けを借りながら、ジャニー・スレイター(Dr.マンハッタンの元恋人)の腕時計と、その傍らに置かれた小さなスノーボールを盗み出す。
そしてその晩、バットケイヴに1人の少年、コーキー・バクスターが現れる。
DC世界のタイムパトロール、タイムマスターズの1人であるコーキーは、挑戦的な表情でブルースに詰め寄る。

コーキー:あんたが研究室に押し入ったと知れば、リップ・ハンターはただじゃ置かないぞ。
きっとあの人は僕たちタイムマスターズを集結させて、あんたの人生の改変を命じるはずだ。
おっと、僕はあんたに警告しに来たんじゃない。
あんたはとっくに蛆虫入りの缶詰を開けちまったのさ。あとは僕たちがそれをあんたの口に詰め込むだけだ!
【宣伝】
今回、紹介した『フラッシュポイント・ビヨンド』はこちら。
マーベルからは大型イベント『インフィニティウォーズ』の序章である『インフィニティ・カウントダウン』が発売。
また『X-MEN』は、現在のX-MENブームの火付け役である『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』の直接の続編となるタイトル。今後も続々と続きが発売されそうなので、この機会にぜひ。
『デーモン・デイズ』は、マーベルから次世代を担う大物アーティストの称号"ストームブレイカー"を授与された日本人アーティスト桃桃子による大人気シリーズの第1話。日本の民話風にアレンジしたマーベル世界を舞台にし、米国でも高い評価を与えられた傑作です。
続いてDCからはトム・キングの『ロールシャッハ』が早くも日本到来。『ウォッチメン』から35年たった"今"を舞台に、死亡したはずのロールシャッハによる大統領候補暗殺未遂事件の真相を追う。
『バットマン:ゴッサムに到る運命』は、マイク・ミニョーラ脚本によるバットマンvsクトゥルフ神話という、たまらない趣向のタイトルとなっています。
(作:ジェフ・ジョーンズ/ティム・シェリダン/ジェレミー・アダム、画:サーマニコ/ミケル・ハニン)
トーマス・ウェイン、"世界最速の男"の過ちによって生まれた悪夢のような世界からやってきたもう1人のバットマン。

正史世界にやってきた彼は、妻を娶り、子を育て、幸せな人生を送るべきである息子のブルースが、その幸せに背を向けてバットマンとして活動していることを憂い、息子をバットマンとしての生活から引きずり出すことに血道を開ける。
しかし、別アースからやってきたスーパーマン大統領と共にマルチバースを股に掛けた戦いに駆り出されたトーマスは、そこで目にした光景で自らの過ちに気が付く。
トーマスが見たものは、多次元世界のバットマンたち。様々な世界で名前や姿、時には種族すら変えながら、人々のために戦い続ける息子とその"ファミリー"の姿であった。

「子供自身の生き方や幸せの形を、親が勝手に定義することはできない」
そんな、人の親であればいつか知ることになる平凡な気づきを、マルチバースの中心で遂に学んだトーマスは、自らも息子と同様に世界を守る戦いの戦列に加わる。
しかし、トーマスの戦いは長くは続かなかった。

マルチバースのヒーローたちを集めたチーム"ジャスティスインカネート"に加わったトーマスは、真のダークサイドとの戦いに敗れ、この世から消滅したのである。
その次の瞬間、トーマスが目を覚ましたのはカジノの重役室であった。
トーマスは自身の出身アース、人類とアマゾンとアトランティスが血で血を洗う戦いを繰り広げる悪夢の世界に逆戻りしたのである。
息子であるブルースを救うためにバリーと共に消し去ったはずの世界が、なぜまだ存在するのか?
そしてその世界に自分を閉じ込めたのは誰なのか?

この狂ったアースにも自分の命にも何の未練も持たないトーマスは、再び世界を歪めた黒幕を探し始める。
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……というわけで久しぶりの更新は、新しく始まったジェフ・ジョーンズによるサーガの開幕となったミニシリーズ『フラッシュポイント・ビヨンド』の紹介。
以降は、気になったシーンなどをつらつらと。
【世界最速の男の復活】
再びこの世界を消し去り、息子が活躍する世界を復活させる術を模索するトーマスは、前回の協力者バリー・アレンに再び協力を求める。
しかし、この世界のバリーは母親と共に平穏な暮らしを送るただの鑑識官。
この世界の全ての事柄に対して何の価値も感じないトーマスは、そんなことをお構いなしにバリーを誘拐。
彼を化学薬品を設置した避雷針に縛り付け、バリーを世界最速の男に仕立て上げた事故の再現を行う。

嵐の真っただ中で雷を持つトーマス。しかし、雷が避雷針を直撃するその直前、どこからともなく飛んできた銛が化学薬品を入れた容器を木っ端みじんに破壊する。
薬品をかぶることなく雷をその身に受けたバリーは黒焦げの死体に。時空を超える力を持った世界最速の男の復活を目論んだトーマスの試みは、無残にも失敗したのである……

【クロックワークキラー】
一方、セントラルシティのアパートの一室では、猟奇的な殺人事件が発生していた。
被害者の身元は不明。奇妙な黄色いコスチュームを着こんだ男は、IDも指紋登録もないまさにこの世界に存在しないはずの男であった。

奇妙なのはそれだけではない、男の死体からは内臓が抜かれ、その代わりには大量の歯車とクランクが詰め込まれていた。
実は、このような変死体はこの男が初めてではない。これは警察によって"クロックワークキラー"と名付けられたシリアルキラーによって引き起こされた連続猟奇殺人事件の1つなのだ。
元宇宙飛行士ナサニエル・アダム、コソ泥パーシバル・サター、マシュー・ライダーと名乗る男、そして今回見つかった黄色いコスチュームの人物……
互いに何の関りも共通性もない被害者たちを狙った猟奇殺人に、警察は頭を抱える。
しかし、トーマスだけは彼らの共通点を知っていた。
キャプテン・アトム、Dr.タイム、ウェーブライダー、リバース・フラッシュ。
クロックワークキラーの被害者たちは、息子が暮らす世界のヒーローとヴィランたち、それも全て時を超える能力を持った者たちばかりなのだ。
何者かが、この世界で時間旅行者たちを狩っている。それも息子の世界でのみ知りうる知識を使って。
トーマスは、激化するアトランティス/アマゾン/人類の戦いを尻目に、一連の殺人事件の犯人を追い始める。
【一方ブルースは】
一方そのころ、正史世界のバットマン、ブルース・ウェインもまたとある調査を行っていた。

ブルースの隣にいるのは、マイムとマリオネット。『ウォッチメン』の世界からDCの正史世界へとやってきた2人組の犯罪者である。
何者かの年季のはいった研究室に忍び込んだバットマンは、マリオネットらの助けを借りながら、ジャニー・スレイター(Dr.マンハッタンの元恋人)の腕時計と、その傍らに置かれた小さなスノーボールを盗み出す。
そしてその晩、バットケイヴに1人の少年、コーキー・バクスターが現れる。
DC世界のタイムパトロール、タイムマスターズの1人であるコーキーは、挑戦的な表情でブルースに詰め寄る。

コーキー:あんたが研究室に押し入ったと知れば、リップ・ハンターはただじゃ置かないぞ。
きっとあの人は僕たちタイムマスターズを集結させて、あんたの人生の改変を命じるはずだ。
おっと、僕はあんたに警告しに来たんじゃない。
あんたはとっくに蛆虫入りの缶詰を開けちまったのさ。あとは僕たちがそれをあんたの口に詰め込むだけだ!
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今回、紹介した『フラッシュポイント・ビヨンド』はこちら。
マーベルからは大型イベント『インフィニティウォーズ』の序章である『インフィニティ・カウントダウン』が発売。
また『X-MEN』は、現在のX-MENブームの火付け役である『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』の直接の続編となるタイトル。今後も続々と続きが発売されそうなので、この機会にぜひ。
『デーモン・デイズ』は、マーベルから次世代を担う大物アーティストの称号"ストームブレイカー"を授与された日本人アーティスト桃桃子による大人気シリーズの第1話。日本の民話風にアレンジしたマーベル世界を舞台にし、米国でも高い評価を与えられた傑作です。
続いてDCからはトム・キングの『ロールシャッハ』が早くも日本到来。『ウォッチメン』から35年たった"今"を舞台に、死亡したはずのロールシャッハによる大統領候補暗殺未遂事件の真相を追う。
『バットマン:ゴッサムに到る運命』は、マイク・ミニョーラ脚本によるバットマンvsクトゥルフ神話という、たまらない趣向のタイトルとなっています。
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