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デスメタル後のDC世界について

【デスメタル完結!】
世界を改変する力である"クライシス"の力を集め、DCユニバースを思うがままに改変した嗤うバットマン。マルチバース最強の存在となった彼に立ち向かうためにヒーローたちに残された手段、それは"クライシス"とは正反対の力"アンチクライシス"を結集させることであった。

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「自分が存在する時代さえ、自分さえよければ良い」という利己主義の象徴である"クライシス"に対し、"アンチクライシス"とは「例え自分自身はちっぽけな存在に過ぎなくとも、それは歴史という連綿と続いていく偉大な物語の一部であることを受け止める」という利他主義の力。
そんな"アンチクライシス"を集めるため、ヒーローたちは過去にDC世界で起こった歴史改変イベントを消去し、1つの歴史を取り戻す。

そして、全てが終わった後で開催された、悪のバットマン軍団との戦いの勝利を祝うヒーローとヴィランの祝勝会。(メタルシリーズの恒例行事です)
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その最中にバリーの呼び出しを受けたウォーリーは、月の裏側に密かに建造された秘密基地、"ホール・オブ・ジャスティス&ドゥーム"に招かれる。
そこは今回のようなユニバース全体の危機に対抗すべく組織された善と悪の垣根を超えた評議会"トータリティ"の本拠地であった…

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(こちらがトータリティのメンバー。左からホークガール、マーシャンマンハンター、Mr.テリフィック、ヴァンダル・サベッジ、タリア、スーパーマン、バットマン、レックス・ルーサー)
***************

というわけで、先日ついに完結した『ダークナイツ:デスメタル』(翻訳も決定!)。
この物語のエピローグでDCユニバースの構造に相当大きな変更があったので、今回の記事では、その変化の内容を簡単に整理していきます。

【変化1:死者の復活】
まず重要なこととして、ワンダーウーマンによって世界はデスメタル発生前の状態に修復されました。
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このため、デスメタルの中で殉職を遂げたブルービートルや、ゾンビとなりながら最後まで戦い続けたバットマンは無事復活。
さらに、バットマン本人の説明によれば、"デスメタル以前に死亡した者の復活も確認された"とのこと。
先ほどトータリティのメンバーとして登場したヴァンダル・サベッジなんかはその典型なのですが、他に誰が復活したのかは不明です。

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パッと思いつく候補は、デスメタルの最終決戦にバットマンによって復活させられたゾンビとして参戦したアーセナルと、

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同じくゾンビで登場したアルフレッドあたりでしょうか?

現在進行中のバットマンの物語にいきなりアルフレッドが登場するとも思えませんが、ほとぼりが冷めたあたりで、デスメタルでのこの一件を理由に再登場することもありそうです。


【変化2:過去の歴史の復活】
先述の通り、クライシスの度にリセットされてきたDCの歴史が統合され1つのものになりました。
とはいえ、どうもこの"歴史の統合"というのは、「DCの過去の物語が全て1つの年表に収まるようにヒーローたちの人生が書き換えられた」というわけではなく、どちらかといえば、「New52世界での人生を歩むヒーローたちが、クライシス前の記憶を取り戻した」と言った形で実現されるようです。

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とはいえ、『デスメタル』のラストでは、第二次世界大戦中にサージェント・ロックに率いられるJSAの姿も確認されており、
ここら辺、正史世界の歴史が実際にどのような形になったのかは、今後の展開待ちですね。


【変化3:無限のアースの復活】
『ファイナルクライシス』以降、DCの世界観は「全てのアースの中心である正史世界(アース-0/プライムアース)と、それを取り巻く51のアース」という形で統一されていました。
そしてそれら52のアースで構成されるマルチーバースの外側には、"ソースウォール"という隔壁が存在していたのですが、『デスメタル』のラストでこの壁は完全に消失。その向こうに存在する無数のマルチバースが観測可能となりました。
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ちなみにこの複数のマルチバースからなる世界の総称を"オムニバース"と呼ぶようです。
数式で言えば「オムニバース > マルチバース > アース」と言ったところでしょうか?
(厳密には">"じゃなくて"⊃"ですが……と注釈を入れてしまう数学専攻の拘り)


【変化4:"世界の中心"の変移】

冒頭で紹介したようにトータリティの会合に招かれたバリーは、メンバーから衝撃の報告を受けます。
それは「"世界の中心"が変わった」という事でした。
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DCの世界観では、マルチバースの中には常にその中心となるアースが存在し、残りのアースは全てその中心を基準とした変奏曲であることになっています。
そして今までのDCにおいて、世界の中心はつまりアース-0やプライムアースと呼ばれる世界――その時々で読者が"正史世界"として慣れ親しんでいるアースでした。
ところが、今回の事件により、我々の知る正史世界ではない、新たな"世界の中心"が生まれたのです。
それも2つも!

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(2つの世界の中心の内の1つは既に発見され"エルスワールド"と名付けられました。
そして2つ目の中心については謎のまま)

今まで読者にとって"世界の中心"とは、すなわち毎週の新刊の舞台であり、普段慣れ親しんでいる正史世界の事でした。
そのため「世界の中心とはなんなのか?」について、読者は深く考える必要はなく、「我々が正史として読んでる世界が、全ての基準になっているんだな」というふんわりとした理解でよかったのですが、これからは違います。

果たしてマルチバースにおける世界の中心とは何を意味するのか?
DC世界開始以降初めて"辺境"となった正史世界にとって、世界の中心とはどのような存在なのか?

おそらく今後のDC世界はこれらの謎を中心に物語が進んでいくのではと思います。

最後に、この世界の中心について某ニュースサイトが挙げていた面白い予想の紹介。
今回、所在地が観測された世界の中心の一つ、通称"エルスワールド"の事をマーシャンマンハンターは"アルファワールド"と呼んでいました。
もし、世界の中心が"アルファワールド"であるならば、その対極となるもう一つの中心は"オメガワールド"であると言えます。

そして『デスメタル』のエピローグでは、修復後の世界からダークサイドの存在が消えていることが判明しています。
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もしダークサイドがマルチバースの何処かに潜んでいるのだとしたら、この"オメガワールド"以上に相応しい名前がの場所があるでしょうか?

【今後のDCについて】
というわけで、DC世界の変化について簡単にまとめてきたのですが、続いてはDCの今後の出版予定について紹介していきましょう。
まず『デスメタル』の完結を機に、5年間続いた『DCリバース』のブランドは終了。
3月より新たに『インフィニットフロンティア』のブランドが立ち上がり、このタイミングで多くのタイトルが新たにライターを迎えて再スタートを切ることになります。
(誤解を呼びたくないので明言をすると、この『インフィニットフロンティア』で今までの展開がリセットされるわけではありません。
あくまで"新シーズン"的な扱いです。)

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そしてそんな新シーズン到来の号砲となる作品が、3月の第1週に発売される読み切り『インフィニットフロンティア#0』です。
この作品は、DCリバースにおける『DCユニバース:リバース』のような作品となり、3月より刊行される各タイトルの展開を紹介するとともに、今後のDCユニバース全体をけん引する大きな事件が起きることが予告されています。

先述の"世界の中心"に関する物語が展開されるとしたら、おそらくはここでしょう。

余談ですが公開済みの『インフィニットフロンティア#0』の表紙は
 ・New52世界では登場しなかったアラン・スコットの2人の子供、ジェイドとオブシディアンがいる
 ・アニメ『ティーンタイタンズ』の人気キャラ、レッドXがいる
 ・『デスメタル』のラストで時の彼方に旅立ったワンダーウーマンの不在
など、非常に示唆に富んだものとなっています。
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そしてDC世界の今後の展開を予告するものは、これだけではありません。
『デスメタル』が完結した12月から、『インフィニットフロンティア』が開始する3月の間にDCで展開するイベント『フューチャーステイト』もまた、DC世界の今後を占う上で外せない作品となりそうです。

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『フューチャーステイト』を刊行する1-2月の間、DCは正史世界を舞台とした全タイトルの刊行を停止、全てのタイトルが『フューチャーステイト』傘下の物語に置き換わります。

そして「デスメタルによる世界改編の余波として、垣間見えた"DC世界の描かれない未来"」という体で語られる『フューチャーステイト』の物語は、イベントが終了した3月以降もDC世界にこだまのように響き続け、物語を読み進める読者もその存在を忘れることが出来ない、面白い趣向が凝らされています。

その趣向は何か?
……ということは、次回の更新で語らせてください。
(すみません、時間切れです。)

【宣伝】
アメコミとはあまり関係ないのですが、先日、フランスの漫画であるBDの翻訳版を紹介する雑誌『ユーロマンガ』が、電子マガジンとして再創刊されました。
これが、新旧10作品も収録されながらお値段880円という衝撃の値段!
昔からのBDファンのみならず、海外のコミック文化を知りたい方にとっても最適な雑誌なので、ぜひどうぞ!
(管理人は迷わず買いました)



また新たな新刊の情報として、マーベルの「もしもの世界」を追求する名物企画『ホワット・イフ』の翻訳が決定。
こちらも、最新シリーズから3編、過去のシリーズから3編を収録したオムニバス形式の作品となっています。


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ストレンジ・アドベンチャーズ#1-2

ストレンジ・アドベンチャーズ#1-2
(作:トム・キング、画:ミッチ・ゲラッズ&ドク・シャーナー)

【ヒーローの凱旋】

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女性キャスター:今日のゲストは、アメリカの……やだ、彼ってまだアメリカ人だったかしら?
男性キャスター:もちろんさ、彼が"あっち"で何を成し遂げようがね。
女性キャスター:そのとおりね。それでは改めまして。
今日のゲストはアメリカのヒーローでもあり、世界のヒーローでもあり、もちろん宇宙のヒーローでもあるこの方。
アダム・ストレンジさんの登場です!


ラーン星での冒険を終え、地球に帰還したアダム・ストレンジはヒーローとして文化人として忙しい日々を送っていた。
自身が体験したラーン星での日々を胸躍る冒険譚として描きつつ、ラーン星を襲った侵略種族ピクットの脅威に警鐘を鳴らす彼の自伝が大ヒットしたのだ。

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読者:あの、先ずはお礼を言わせてください。あなたが娘さんへの思いを綴られた箇所、私にとって本当に救いになったんです。
私も、大事な人を亡くしたばかりだったから…
アダム:ありがとう。サインしても良いかな?


サイン会のために全国の書店を精力的に回るストレンジ。
そんなある日、サイン会に1人の男が現れる。

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男:俺はこのピクットって奴らも、オマエのあそこでの所業も知ってんだぞ、この嘘つき野郎め。
オマエのせいで何人死んだ?何人が拷問された?いったいオマエは何人分の墓穴を掘り腐ったんだ!?


大声でアダム・ストレンジの異星での蛮行を騒ぎ立てる男。
その様子はサイン会の参加者によってネットに流され、多くの人が男の告発の内容を知ることとなる。
しかし、だれも男の発言を気にも留めなかった。
……その男が何者かによって殺害され、その死因が地球には存在しない技術によって発せられた熱線、例えば光線銃によるものだと断定されるまでは。

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ひとたびアダム・ストレンジに疑いの目が向け始めたられると、世間は容赦がなかった。
彼の殺人容疑だけではなく、彼がラーン星で行ったと主張する英雄的行為そのものの真偽すら、人々は疑問を抱き始めたのだ。
事態を重く見たジャスティスリーグは、アダム・ストレンジと面識のない第三者による調査を始めることを決定する。

リーグが調査を依頼した男とは、"世界で三番目に賢い男"、"フェアプレイの信奉者"、Mr.テリフィックであった。

【Mr.テリフィック登場】

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Tスフィア:トルクメニスタンの2015年の国民貯蓄率は?
Mr.テリフィック:GDPベースで18.9%
Tスフィア:正解

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Tスフィア:三角法の考案者と、彼の名がつけられた算術理論とは?
Mr.テリフィック:ナスィールッディーン・トゥースィー。彼は"トゥースィーの対円"と呼ばれるモデルを用いて、天動説における惑星運動を計算した。
Tスフィア:正解

自身の知性の限界を探るように、行住坐臥いかなる時でも、自身の開発した万能装置Tスフィアからの問題に答え続けるテリフィック。
しかし、彼はアダム・ストレンジの調査依頼に悩んでいた。

人々はアダム・ストレンジを愛している。赤と白に輝くコスチュームを、背中に背負ったジェットパックを。
子供たちだって彼の笑顔がプリントされたランチボックスを買い求める。彼は完璧なヒーローだ。
一方、自分は違う、彼が金メダルを何個獲得しようが、大発明を何回しようが、世界を何回救おうが、人々は決して彼を愛さない。彼の顔をランチボックスにプリントしたりしない。
Mr.テリフィックが彼を有罪と言おうが、無罪と言おうが、世間はそれを快く思わないだろう。
人々は、テリフィックのような人間がストレンジのような人間を裁くことなど求めていないのだ。

バットマン:その通りだ。でもそれが真実以上に大事な事か?

自らの懸念を一笑に付すバットマンの一言に、アダム・ストレンジの調査を受けることを決意するMr.テリフィック。
そして、調査の第一歩としてアダム・ストレンジの自伝を読み終えたMr.テリフィックは、自伝の序文に立ち返る。

彼はそこに、この本に存在するただ一つの嘘を見つけたのだ。

「戦争で失った娘に捧ぐ。僕の人生は哀しみと共にある」

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【対決の朝】
アダム・ストレンジとの初対面の日の朝。身づくろいをしながらテリフィックはTスフィアに命令する。

テリフィック:私の知らない事を聞いてみろ。
いつものように忠実にテリフィックの命令を実行するTスフィアは、彼が知らない、知ることを拒否した知識を問いかける。
Tスフィア:あなたの妻と共に死んだ胎児の性別は?


Tスフィアの質問を初めて無視したテリフィックは、変わらず様子で対面の準備を進める。

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やがて、ストレンジの自宅の前でがっちりと握手を交わす2人。そしてそれは真実と"ポスト真実"を巡る現代の戦争の始まりを意味していた……

******************
というわけで、今回は数年でトップライターの座に駆け上った鬼才トム・キングによる『ストレンジ・アドベンチャーズ』の紹介でした。

今回の主人公であるアダム・ストレンジは、長い歴史を誇るDCのSFヒーロー。
しかし、アダム・ストレンジの源流となる「突如、異世界に身を置くことになった主人公が、その異世界で英雄になっていく」というパルプ小説の王道パターンは、近年"西側諸国による植民地支配のメタファー"とも捉えられる事も多いのもまた事実。
本作では、そういった理想と現実のギャップを描くべく、アダム・ストレンジの自伝に描かれている惑星ラーンでの物語はドク・シャーナーの陽性のアートで、
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一方、地球を舞台にした物語はミッチ・ゲラッズによるどこか陰鬱なアートで描かれることになります。
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始まったばかりですが、既に名作のにおいのぷんぷんする本作。
内容に反して意外にも英語は簡単ですので、翻訳まで待てない方は是非どうぞ!
(いや、この時点では翻訳の発表は一切ないですが、自分は確信しています)

【宣伝】
今回紹介した作品の電子版はこちら。


翻訳本では『バットマン:ラストナイト・オン・アース』の予約が開始。
「バットマンがジョーカーの生首をお供に荒廃した未来のDC世界を巡る」という眩暈がしそうな粗筋ながら、『梟の法廷』から開始したスナイダー&カプロのバットマンの集大成となる作品。
また映画に合せて『ブラック・ウィドウ:イッツィ・ビッツィ・スパイダー』の予約も開始。こちらは映画に登場する"2代目ブラックウィドウ"エレーナ・ベロワとナターシャの対決を描いた中編2作が収録。
発表後に発売日が延び延びになっていた『マーベル・エンサイクロペディア』も遂に8月に発売。前回発売された同様の事典は、速攻で完売しプレミア本になってしまったので、欲しい方はお見逃しなく。



また、マーベル初の大型イベント『マーベルスーパーヒーローズ:シークレット・ウォーズ 2』も第二巻の予約が開始。
今月末発売の1巻とあわせてどうぞ。
『トランスフォーマー:モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ』も順調に刊行が進み、来月には3巻が発売する予定。


ダークナイツ:デスメタル

ダークナイツ:デスメタル
(作:スコット・スナイダー、画:グレッグ・カプロ)

【地獄にて】
舞台は地獄、元々はセミッシラと呼ばれた場所。
それも"本物の"DCユニバース内の話。
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罪人たちから浴びせられる呪詛の声を浴びながら、ワンダーウーマンは"バットマン"の呼び出しに応えるべく歩を進めていた。

ジョーカー:よぉーワンダー看守。土方工事でもやってるのか?うるさくてかなわないぜ。
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何処からかくすねたであろう蝙蝠マークのサングラスをかけたジョーカーも、牢屋の中からワンダーウーマンに声をかける。
何も聞こえないかのように悠然と過ぎ去ろうとするワンダーウーマンだが、彼女に付き従うスワンプシングは血相を変えて、ジョーカーのサングラスを奪い去る。
スワンプシング:このマークを使うことは禁じられている。ダークナイトたちへの不敬を問われるぞ!

【ダークナイツ】
ワンダーウーマンが向かっていたのは、セミッシラの謁見室。
そこには彼女が忠誠を誓う相手、バットマンたちが姿を見せていた。
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やってきたバットマンは3人。
1人目はローブ姿の魔術師、バットメイジ。
もう2人目は未来からやってきたバットマン、ビヨンダー。
そして最後の1人はブルース・ウェインの意識をダウンロードされたバットケイブの恐竜ロボ、バット・レックスである。

3人の用件は2つ。1つめは彼らが連れてきた新たな囚人を、セミッシラの最下層にある深淵――タルタロス・ピットに幽閉することであった。
神々の監獄であるタルタロス・ピットを開けることに難色を示すワンダーウーマン。
そこにバット・レックスが咆哮を上げる。

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バット・レックス:命令に従え!お前の姉妹たちがどうなってもいいのか!?
ワンダーウーマン:二度と私の仲間の事を口にするな、爬虫類。
バット・レックス:爬虫類じゃない。私はバットマンだ!
ワンダーウーマン:では、そのちっちゃなお手々で、バッタランを投げるがよい。
バット・レックス:腕のサイズは適正だ! バッタランだって練習している。

軽口を返しバット・レックスを嘲笑うワンダーウーマン。
しかし、彼女もバットマンたちも分かっていた。バットマンたちの恩情にすがってしか生きられないワンダーウーマンにとって、彼らの命令を拒否することなど端からできはしないことを。

連れてきた囚人をワンダーウーマンに引き渡したバットマンたちは、2つ目の用件を彼女に告げる。
「嗤うバットマンがジャスティスリーグの集合命令を出した」と。

*************************************
というわけで、始まったDCの今年の大型イベントにして、DCリバース……いやNew52から続くDC世界の総決算である『ダークナイツ:デスメタル』。
今回はその登場人物を紹介しながら、このイベントの骨格を紹介していきましょう。


【嗤うバットマン】
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ダークマルチバースからやってきた、バットマンの能力とジョーカーの狂気を併せ持つ最凶のバットマン。
ジャスティスリーグとの最終決戦に打ち勝ったレックス・ルーサーを陥れ、ルーサーに替わり創世の地母神パーペチュアの第一使徒となる。
現在は、マルチバースに残された唯一の星である地球の支配者として、ダークマルチバースから連れてきた悪のバットマン軍団たちを束ねる存在。

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(ちなみにこれが現在の地球……というかDCユニバースの地図。バットマンの所有物のご多分に漏れず、蝙蝠の形。)


【ジャスティスリーグ】
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嗤うバットマンが地球を支配するために従えているヒーローたち。

ハーレクインはアーカムウェストランドを、アクアマンは艦隊司令として海上を、Mr.ミラクルはメガポリプスを、ワンダーウーマンは地下世界をそれぞれ担当している。
嗤うバットマンとパーペチュアに付き従うことで地球の生存者を護りながらも、パーペチュアが破壊したマルチバースを取り戻す起死回生の一手を模索している。


【バットマン】
嗤うバットマンとパーペチュアの魔の手から逃れた数少ないヒーローの1人。
"犯罪と戦い"という終わりのない戦争に身を置いてきた経験からか、ジャスティスリーグの他のヒーローと異なり、自分の手の届く範囲の人々の命を救う小さな勝利を愚直に積み上げていく道を選んだ。
現在はブラックリングの保持者として、死者たちを操り、嗤うバットマンにゲリラ戦を挑む。

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(バットマンが呼び出したアメリカ独立戦争を戦った兵士たち。そのリーダーはジョナ・ヘックス!)


【囚人】
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バットマン達が連れてきた囚人。
その正体は"世界最速の男"ウォーリー・ウエスト。
ダークマルチバースの乱れを修復する旅の果てに、全知の椅子メビウスチェアーと、あらゆる時制を同時に観測するDr.マンハッタンの力を得ることに。
これにより、現在/過去/未来の全ての時制の森羅万象を把握する存在となったウォーリーは、この世界の真実を知ることとなった。

【ウォーリーの語る真実】
DCユニバースには全ての事象の根源となる2つの力が存在する。
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1つは、スピードフォースや、感情スペクトラム(グリーンランタンのあれ)、ジャスティスが属する"結合(Connective)"。
人々の絆を結び付け、自分の人生が過去から未来へと連綿と続く壮大な叙事詩の一部であることを信じさせてくれる力である。

一方、その対極に存在するのが、アンチライフや、カオスマジック、ドゥームが属し、「自分の時代が、自分だけが良ければそれで良い」と永遠に同じことを繰り返し続ける力。"クライシス"である。

かつて、自身の命と引き換えに"結合"の力を以てマルチバースを産み落とす使命を帯びたパーペチュアはしかし、その使命を拒否しソースウォールに幽閉されることとなった。
しかし、パーペチュアから漏れ出す"クライシス"の力は、常にDCユニバースに影響を与え続けてきた。
その力に感化された者たちによる欲望に任せた世界改編。それこそが、DCの歴史上で繰り返されていた『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』、『インフィニット・クライシス』、『ファイナルクライシス』といったクライシスイベントの本質であったのだ。
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パーペチュアがダークマルチバースの化身ともいえる存在、嗤うバットマンを使徒とした理由もここにあった。
人々が想像するあらゆる可能性が具現化するダークマルチバース。そこでは人々の深層意識に刻み込まれた過去のクライシスが、歪んだ変奏曲として無限に繰り返され"クライシス"の力を放出し続けているのだ。

【ワンダーウーマンの計画】
ウォーリーより世界の真実を知ったワンダーウーマンは、途方もない計画を思いつく。
人々の記憶が過去のクライシスを再演させ、それがパーペチュアに世界を改変する無限のエネルギーを与えているのであれば、それを利用すれば良いのである。
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過去のクライシスの現場に再び訪れ、そこで発せられる世界改編の力を自らの物とすれば、クライシスの存在を歴史と人々の記憶から消し去り、パーペチュアのエネルギー源を断つことが出来るのだ。

???:なるほど、アンチ・クライシス(Anti-Crisis)を、ダイレクト・クライシス(Direct Crisis)にぶつけるってわけか。
そのアイデア気に入った。AC/DCってヤツだ!

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突然二人の会話に割って入ったのは、嗤うバットマン。彼は全てをお見通しであったのだ。
しかし、あらゆる事態に備えることはバットマンの専売特許ではない。
ワンダーウーマンは、このような事態を見越していたのだ。

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突然、爆音が鳴り響き、嗤うバットマンの身体が四散する。
ワンダーウーマンは、見えないジェット機の破片と真実の投げ縄を組み合わせた"見えない真実のチェーンソー"を、如何なる時も持ち歩いていたのだ。

【蝙蝠城にて】
嗤うバットマンと彼のバットマン軍団の居城"蝙蝠城"の奥深くで黄色いボタンを押しながら、バットメイジはロビンたちに命ずる。
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バットメイジ:時は来た。彼の真の計画を発動する。
"最後のブルース・ウェイン"の準備に取り掛かれ。

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【宣伝】
今回紹介した作品の電子版がこちら。


また、作者のスナイダー曰く、本作はここからいきなり読み始めても問題ないが、前後の流れを完全に追いたいならば、
先ずは『ジャスティスリーグ(途中まで翻訳あり)』、『バットマン/スーパーマン』、『ヘルアリズン』。



文脈を完全に理解したいならば、『クライシス・オン・インフィニット・アース』、『インフィニット・クライシス』、『Final Crisis』、『ドゥームズデイクロック』がお勧めとのこと。



その他、マーベル関連では、マーベル初にして最大の大型イベント初代『シークレットウォーズ』の翻訳が決定。マーベルのアメコミを読んでると頻繁に引用されるイベントながら、なかなか手が出ない作品ですので、嬉しいですね。
また、日本人の人気アーティスト、グリヒルが作画を担当した『ワスプ1』の予約も開始。科学好きの少女をエンパワメントする作品として本国評価も非常に高い作品です。
女性をエンパワメントするといえば、DCの『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』もお勧め。ハーレクインを主人公にしたいわゆる"学パロ"で、ジョーカーやアイビーが全員高校生として登場。ちなみに今年のアイズナー賞にノミネートされました。
また、ハーレイ・クイン誌と同じレーベルから発売された『ワンダーウーマン:戦禍を呼ぶ者』も7月に発売。こちらもハーレイ・クイン誌と同様に、正史世界の細かい設定に縛られないYA向けの作品で、ワンダーウーマンの少女時代が美麗なアーティストで描かれます。

プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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