フラッシュ #768-771
フラッシュ #768-771
(作:ジェレミー・アダムス、画:ブランドン・ピーターソン他)
【ウォーリー引退】
『DCユニバース:リバース』でこの世界に帰還し、『ヒーローズ・イン・クライシス』で許されざる罪を負い、『フラッシュフォワード』でDr.マンハッタンの知覚とメビウス・チェアの知識を併せ持つ知の魔人となったウォーリー・ウエスト。

『ダークナイツ・デスメタル』での冒険を経て元の日常を取り戻した彼は、ジャスティスリーグの仲間たちにある決断を打ち明ける。
ウォーリーの決断とはヒーロー稼業からの引退であった。
ダークマルチバースの彼方から救出した子供たちとの時間をとるため、
再び自身の能力が暴走し『ヒーローズ・イン・クライシス』での惨劇が繰り返される事を避けるため、
そしてなによりも、自分のヒーローとしての活動が家族の身を再び危うくすることを避けるため、ウォーリーはヒーロー稼業から足を洗う事を決意したのだ。

突然の引退宣言に戸惑ったリーグの面々も、ウォーリーの考えを尊重。かくしてウォーリーは正式に"フラッシュ"の名を返上することとなったのだ。
しかし、ウォーリーには引退前に行わなければならないことが1つだけあった。
それは、残されたもう一人のフラッシュであるバリー・アレンに自身の能力を譲り渡すこと。
ウォーリーの身体に蓄えられたスピードフォースを全てバリーに明け渡すためには、2人同時にスピードフォースにアクセスしなければならない。
かくして、バリーとウォーリーはウォーリーの引退イベントともいえるスピード勝負を行うこととなる。

人生最後となる筈の師弟での競争を楽しむ2人。
しかし、2人が光の速度を超えスピードフォースの中に突入した瞬間に、事件は起こった。

スピードフォースで起きた謎の嵐が2人を襲ったのだ。
激しい嵐に飲み込まれ気を失ったバリー。彼が再び現実世界で目を覚ました時、彼の前に残されたのは持ち主を失ったウォーリーのコスチュームだけであった……

【ウォーリーの時間旅行】
一方ウォーリーはそのころ、スピードフォースの力で超高速で走る恐竜に追いかけられていた。

いや、厳密には追いかけられているのはウォーリーではない。
肉体を離れたウォーリーの精神が、太古の昔に存在した名もなきスピードスターの原始人の身体に憑依しているのだ。

(原始人がウォーリーの顔をしているのはあくまで漫画的表現。実際の外見は、こんな感じ)
しかもウォーリーの時間旅行はそれで終わりではなかった。
原始世界で起きた事件を解決したウォーリーの精神は再び時空を超え、様々な時代を渡り歩いていくこととなる。

30世紀の未来都市のインパルス、

第2次世界大戦中のジェイ・ギャリック、

西部開拓時代のマックス・マーキュリー

アニメ『スーパーフレンズ』風世界のリバースフラッシュ。
様々な時空に存在するスピードスターの肉体を渡り歩き、そこで発生するスピードフォースの過剰流出現象を修復していくウォーリー。
ウォーリーは、スピードフォース内で起きつつある謎の綻びを修復する抗体のような役割を、スピードフォース自体によって与えられたのだ。
そして、ウォーリーが次にたどり着いたのは、彼にとって奇妙に見覚えある女性の前であった。

【近未来にて】
アイリー:こんにちは父さん。この時代での父さんの着地点は、お兄ちゃんの身体だよ。
ウォーリー:アイリーなのかい?でもどうして…
アイリー:"どうして自分が来るのを知ってるのか?"って?
子供の頃ベッドで話してくれたお父さんの冒険の中で、一番好き話だったもの。
私もお兄ちゃんも、恐竜に追いかけられるパートが特に好きだった。
ウォーリーの前に現れた女性はウォーリーの娘アイリー。今回、ウォーリーは息子であるジェイの大人になった肉体に憑依したのだ。
ウォーリー:ゆっくり話をしている暇はない。この時代で起きているスピードフォースの綻びを修復しないと大爆発が……
再会の喜びを分かち合う間もなく、自らの使命を果たそうとするウォーリー。

アイリー:その件については、父さんから聞かされて解決済みだから大丈夫。
ほら、父さんが次の時間に飛ばされるまで、少し時間があるんだからゆっくりお話しましょ?
慌てる様子もなくコーヒーを啜りながらそう告げたアイリーは、兄であるジェイの身体を借りたウォーリーに、「ウォーリーは現在の状況を間もなく脱することが出来ること」、「その後から今まで、家族みんな幸せな生活を送っていること」を伝える。
自分のヒーローとしての生活が家族に危害を与えることを何よりも恐れていたウォーリーは、娘の話を聞き胸をなでおろす。
しかし、アイリーは突如真剣な表情を浮かべ、父に最後の言葉をかける。
アイリー:父さんが次に向かう先で、父さんは今までで一番つらい経験をすることになる。
でも、その時は私の言葉を思い出して。"父さんは絶対に乗り越えられる。ただ一歩、前に進めばいい"って。
娘の言葉と共に、次なる時代、次なるスピードスターの下へと流されていくウォーリーの意識。
次の瞬間ウォーリーは、自分が療養施設サンクチュアリの前に立っていることに気が付く。

時空転移の最後の着地点は過去の自分自身。それも『ヒーローズ・イン・クライシス』で起きた惨劇のまさにその瞬間であったのだ!
*********
というわけで、今回はウォーリーに主人公を移して始まった"インフィニットフロンティア期"の『フラッシュ』誌の紹介でした。
のっけから近年のDCコミックにおける一番の問題作『ヒーローズ・イン・クライシス』を再訪する大胆な内容ですが、これがまぁ抜群に面白い。トム・キングの大ファンで、『ヒーローズ・イン・クライシス』を溺愛する自分にとってみても、この後の展開は今年の上半期のベストともいえる内容でした。
ところで、紹介の流れの関係で紹介できなかった気になるキャラが1人。
それがこちらのキャラクター。

ウォーリー(が乗り移ったインパルス)が未来の世界で出会ったヒーロー、ゴールドビートルです。
見ての通りDCが誇る人気コンビ、ブースターゴールドとブルービートルと関係がありそうなキャラクターなのですが、彼らとの関係性含めて詳細は不明。

ただ、成長したウォーリーの娘アイリーの口ぶりからすると、息子ジェイの恋人になりそうな雰囲気ですし、今後も『フラッシュ』誌に登場しそうな予感がします。

ちなみに下品な笑い声はご先祖(?)譲り
【宣伝】
邦訳の宣伝はマーベルから。
先ず一番の衝撃がマーベルコミックスによる『ザ・ライズ・オブ・ウルトラマン』。
自分も原書で読みましたが、ウルトラQから始まるウルトラマンシリーズの美味しいところをつまみながら、現代的な視点で起承転結を付けた作品で、まるで"MCU版ウルトラマン"を観ているような読み心地の快作です。
ちなみに本作は諸事情により再販の予定が無いらしいので、気になる方は早めに手に入れておいた方がよさそうです。
『ウエスト・コースト・アベンジャーズ:怒りのサンダードーム』は、グウェンプールやアメリカ・チャベスなど最新の人気キャラを集めたウエスト・コースト・アベンジャーズの最新刊。
若手ヒーローばかりのノリのいい作品です。
『マーベル:レガシー』は、「紀元前百万年前の地球に既にアベンジャーズが存在した」という衝撃の暴露から始まった現行の『アベンジャーズ』の序章となる物語。最新のマーベルコミックのカタログ的な役割も持つ作品なので、今のマーベルユニバースの状況を大まかに把握したい人にもおすすめです。
続いてDCのお勧めは『スーサイド・スクワッド:バッド・ブラッド』。今のDCのトップライターであるトム・テイラーの作品。
具体的な紹介はこの記事に譲りますが、とにかくおすすめです。またこの1冊で物語が完結しているのも嬉しいところ。
また現行のバットマン系列の最初のイベント『ジョーカーウォー』と、その関連誌を集めた『ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ』も予約開始。
ナイトウィングやバットガール、パンチラインなど、今のバットマン系列各誌の展開は全てここから始まったといっても過言ではないイベントですので、これまた必見です。
(作:ジェレミー・アダムス、画:ブランドン・ピーターソン他)
【ウォーリー引退】
『DCユニバース:リバース』でこの世界に帰還し、『ヒーローズ・イン・クライシス』で許されざる罪を負い、『フラッシュフォワード』でDr.マンハッタンの知覚とメビウス・チェアの知識を併せ持つ知の魔人となったウォーリー・ウエスト。

『ダークナイツ・デスメタル』での冒険を経て元の日常を取り戻した彼は、ジャスティスリーグの仲間たちにある決断を打ち明ける。
ウォーリーの決断とはヒーロー稼業からの引退であった。
ダークマルチバースの彼方から救出した子供たちとの時間をとるため、
再び自身の能力が暴走し『ヒーローズ・イン・クライシス』での惨劇が繰り返される事を避けるため、
そしてなによりも、自分のヒーローとしての活動が家族の身を再び危うくすることを避けるため、ウォーリーはヒーロー稼業から足を洗う事を決意したのだ。

突然の引退宣言に戸惑ったリーグの面々も、ウォーリーの考えを尊重。かくしてウォーリーは正式に"フラッシュ"の名を返上することとなったのだ。
しかし、ウォーリーには引退前に行わなければならないことが1つだけあった。
それは、残されたもう一人のフラッシュであるバリー・アレンに自身の能力を譲り渡すこと。
ウォーリーの身体に蓄えられたスピードフォースを全てバリーに明け渡すためには、2人同時にスピードフォースにアクセスしなければならない。
かくして、バリーとウォーリーはウォーリーの引退イベントともいえるスピード勝負を行うこととなる。

人生最後となる筈の師弟での競争を楽しむ2人。
しかし、2人が光の速度を超えスピードフォースの中に突入した瞬間に、事件は起こった。

スピードフォースで起きた謎の嵐が2人を襲ったのだ。
激しい嵐に飲み込まれ気を失ったバリー。彼が再び現実世界で目を覚ました時、彼の前に残されたのは持ち主を失ったウォーリーのコスチュームだけであった……

【ウォーリーの時間旅行】
一方ウォーリーはそのころ、スピードフォースの力で超高速で走る恐竜に追いかけられていた。

いや、厳密には追いかけられているのはウォーリーではない。
肉体を離れたウォーリーの精神が、太古の昔に存在した名もなきスピードスターの原始人の身体に憑依しているのだ。

(原始人がウォーリーの顔をしているのはあくまで漫画的表現。実際の外見は、こんな感じ)
しかもウォーリーの時間旅行はそれで終わりではなかった。
原始世界で起きた事件を解決したウォーリーの精神は再び時空を超え、様々な時代を渡り歩いていくこととなる。

30世紀の未来都市のインパルス、

第2次世界大戦中のジェイ・ギャリック、

西部開拓時代のマックス・マーキュリー

アニメ『スーパーフレンズ』風世界のリバースフラッシュ。
様々な時空に存在するスピードスターの肉体を渡り歩き、そこで発生するスピードフォースの過剰流出現象を修復していくウォーリー。
ウォーリーは、スピードフォース内で起きつつある謎の綻びを修復する抗体のような役割を、スピードフォース自体によって与えられたのだ。
そして、ウォーリーが次にたどり着いたのは、彼にとって奇妙に見覚えある女性の前であった。

【近未来にて】
アイリー:こんにちは父さん。この時代での父さんの着地点は、お兄ちゃんの身体だよ。
ウォーリー:アイリーなのかい?でもどうして…
アイリー:"どうして自分が来るのを知ってるのか?"って?
子供の頃ベッドで話してくれたお父さんの冒険の中で、一番好き話だったもの。
私もお兄ちゃんも、恐竜に追いかけられるパートが特に好きだった。
ウォーリーの前に現れた女性はウォーリーの娘アイリー。今回、ウォーリーは息子であるジェイの大人になった肉体に憑依したのだ。
ウォーリー:ゆっくり話をしている暇はない。この時代で起きているスピードフォースの綻びを修復しないと大爆発が……
再会の喜びを分かち合う間もなく、自らの使命を果たそうとするウォーリー。

アイリー:その件については、父さんから聞かされて解決済みだから大丈夫。
ほら、父さんが次の時間に飛ばされるまで、少し時間があるんだからゆっくりお話しましょ?
慌てる様子もなくコーヒーを啜りながらそう告げたアイリーは、兄であるジェイの身体を借りたウォーリーに、「ウォーリーは現在の状況を間もなく脱することが出来ること」、「その後から今まで、家族みんな幸せな生活を送っていること」を伝える。
自分のヒーローとしての生活が家族に危害を与えることを何よりも恐れていたウォーリーは、娘の話を聞き胸をなでおろす。
しかし、アイリーは突如真剣な表情を浮かべ、父に最後の言葉をかける。
アイリー:父さんが次に向かう先で、父さんは今までで一番つらい経験をすることになる。
でも、その時は私の言葉を思い出して。"父さんは絶対に乗り越えられる。ただ一歩、前に進めばいい"って。
娘の言葉と共に、次なる時代、次なるスピードスターの下へと流されていくウォーリーの意識。
次の瞬間ウォーリーは、自分が療養施設サンクチュアリの前に立っていることに気が付く。

時空転移の最後の着地点は過去の自分自身。それも『ヒーローズ・イン・クライシス』で起きた惨劇のまさにその瞬間であったのだ!
*********
というわけで、今回はウォーリーに主人公を移して始まった"インフィニットフロンティア期"の『フラッシュ』誌の紹介でした。
のっけから近年のDCコミックにおける一番の問題作『ヒーローズ・イン・クライシス』を再訪する大胆な内容ですが、これがまぁ抜群に面白い。トム・キングの大ファンで、『ヒーローズ・イン・クライシス』を溺愛する自分にとってみても、この後の展開は今年の上半期のベストともいえる内容でした。
ところで、紹介の流れの関係で紹介できなかった気になるキャラが1人。
それがこちらのキャラクター。

ウォーリー(が乗り移ったインパルス)が未来の世界で出会ったヒーロー、ゴールドビートルです。
見ての通りDCが誇る人気コンビ、ブースターゴールドとブルービートルと関係がありそうなキャラクターなのですが、彼らとの関係性含めて詳細は不明。

ただ、成長したウォーリーの娘アイリーの口ぶりからすると、息子ジェイの恋人になりそうな雰囲気ですし、今後も『フラッシュ』誌に登場しそうな予感がします。

ちなみに下品な笑い声はご先祖(?)譲り
【宣伝】
邦訳の宣伝はマーベルから。
先ず一番の衝撃がマーベルコミックスによる『ザ・ライズ・オブ・ウルトラマン』。
自分も原書で読みましたが、ウルトラQから始まるウルトラマンシリーズの美味しいところをつまみながら、現代的な視点で起承転結を付けた作品で、まるで"MCU版ウルトラマン"を観ているような読み心地の快作です。
ちなみに本作は諸事情により再販の予定が無いらしいので、気になる方は早めに手に入れておいた方がよさそうです。
『ウエスト・コースト・アベンジャーズ:怒りのサンダードーム』は、グウェンプールやアメリカ・チャベスなど最新の人気キャラを集めたウエスト・コースト・アベンジャーズの最新刊。
若手ヒーローばかりのノリのいい作品です。
『マーベル:レガシー』は、「紀元前百万年前の地球に既にアベンジャーズが存在した」という衝撃の暴露から始まった現行の『アベンジャーズ』の序章となる物語。最新のマーベルコミックのカタログ的な役割も持つ作品なので、今のマーベルユニバースの状況を大まかに把握したい人にもおすすめです。
続いてDCのお勧めは『スーサイド・スクワッド:バッド・ブラッド』。今のDCのトップライターであるトム・テイラーの作品。
具体的な紹介はこの記事に譲りますが、とにかくおすすめです。またこの1冊で物語が完結しているのも嬉しいところ。
また現行のバットマン系列の最初のイベント『ジョーカーウォー』と、その関連誌を集めた『ジョーカー・ウォー:コラテラル・ダメージ』も予約開始。
ナイトウィングやバットガール、パンチラインなど、今のバットマン系列各誌の展開は全てここから始まったといっても過言ではないイベントですので、これまた必見です。
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