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アクアマン #28-34

アクアマン #28-34
(作:ジェフ・パーカー、画:ポール・ペルティエ、他)

前回の紹介からずいぶんと期間が空いたので、アクアマンの現状を説明。

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"死せる王"として復活した古代アトランティスの賢王アトランを退け、あらためてアトランティスの玉座に着くこととなったアーサー。
アトランティスの進撃」事件の直後は、王国の追放者たちが築いた隠れ里ゼベルの出身であることがアーサーの治世の妨げにならないようにと、身を引くことを決意したメラも、アーサーの熱意にほだされて正式に王妃としてアトランティスで暮らすことに。

(と、ここまでがリブート後から続いたジェフ・ジョーンズ担当分となり、これ以降は『X-MEN:ファーストクラス』などを担当したライター、ジェフ・パーカーの担当となります。)

国王として新たなスタートをきったアーサーですが、

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…アトランティスの守護獣として語り継がれてきた伝説の怪獣と戦ったり、

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…時のアトランティス王の裏切りにより地獄に幽閉され錯乱したヘラクレスその人と戦ったり、

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…法律&倫理上、国内では許されない違法な研究を公海上で大手を振って行うために作られた海底研究所「トリトンベース」と対立したり、

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…そのトリトンベースが培養したあらゆる海洋生物の遺伝子をその身に保持するキメラ人間「モンスターキング」と戦ったり

と国内を留守にしがち。


そんな王の不在を補佐するのが王妃であるメラ。
「王が突如連れてきた何処の馬の骨とも知れない女」と批判的な声に囲まれながらも抜群の政治手腕を発揮して、アトランティスの近代化、地上との融和政策を推進していく。
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先王オームの復帰を望む過激派によって自身が襲撃された際も、暗殺計画を見抜けなかった評議会の不手際を襲撃の事実も含めてアーサーには秘密にしておくことで評議会を味方につけるなど、硬軟織り交ぜながら自らの(ひいてはアーサーの)影響力を高めるその手腕はさすがの一言。


そんなこんなで様々なトラブルを乗り越えながらも、王族としての平穏な日常を築きつつあるアーサー&メラ。
しか、そんな2人の幸せを、アトランティスを襲う新たな大災禍(メイルストローム)が待ちかまえていた…

というのが、昨年11月より始まったアクアマンのストーリーライン「メイルストローム」の導入となります。
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この「メイルストローム」は、アクアマンの担当となってから比較的小規模な物語を続けアーサーたちの日常描写に力を入れてきたジェフ・パーカーが放つ初めての大規模ストーリーとなり、この物語のなかでアクアマンの人生が大きな転換点を迎えることが示唆されています。

ジェフ・ジョーンズによる超弩級のクライマックス以降、種蒔きに徹してきた感のあるアクアマン誌がいよいよエンジンをかけてきたといったところでしょうか?
(『X-men:ファーストクラス』読めば分かるように、ジェフ・パーカーは何気ない事件を活き活きと描くのが非常に上手なので、種蒔き期間は種蒔き期間で面白いのですが。)

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敢えて引き合いに出させてもらえば、ジェフ・ジョーンズによる超絶クライマックス後の脱力感に苦しんだアクアマン誌とグリーンランタン誌のうち、グリーンランタン誌が前任者に負けないくらいのクライマックスを畳みかける事で読者をつなぎ止めようとしたのに対して、アクアマン誌は前述のように種蒔き期間を置いて読者のクールダウンを促しました。
どちらが正解であったのかなかなか判断が付けづらい面もありますが、少なくともアクアマン誌についていえばジェフ・パーカーの取り組みは成功しているように思えます。

ライターのジェフ・パーカーは「メイルストローム」に関するニュースサイトのインタビューの中で、記者から発せられた「あなたは(新任ライターがよく使う)“そして○○に大きな変化が訪れる!”カードを中々使いませんでしたね?」という質問に対して、「そうだね。大きな変革をもたらす前に、まずは読者に自分の事を信頼してもらう方が先だと思ってね」と回答しており、個人的には非常に高印象です。

【宣伝】
小プロからはジェフ・ジョーンズの『シャザム』や、米国の各賞を総なめにする"いまアメリカで最も売れているアメコミ"『サーガ』や、弱小出版社ながらその面白さが話題となっているヴァリアントコミックスの『クァンタム&ウッディ』など、比較的キャラ人気に重きを置いていた今までの翻訳作品とは一味ちがった"実力派"タイトルが販売されますので、この機会に是非どうぞ。
ちなみに『サーガ』については、アメコブログさんが詳しいのでどんなコミックか知りたい方はこちらを参照ください。


その他の翻訳で気になるところは以下の通り。
まずは、現在のバットマン系列誌の旗艦誌となっているスナイダーのNew52バットマンの最新作「バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街」が早くも発売になります。
また、アベンジャーズ系列の一つの節目となる大イベント『シージ』や、飛ぶ鳥を落とす勢いのデッドプールの新刊『デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション』なども気になるところです。

Aquaman #18-22

アクアマン #18-22
(作:ジェフ・ジョーンズ、画:ポール・ペルティエ)

ジャスティス・リーグとのクロスオーバー「Throne of Atrantis」にて再びアトランティスの王となり、お話が一段落したアクアマン誌。
その後なんとなくトリニティーウォーやWrath of the First Lanternなどの、派手なクロスオーバーの紹介ばかりになってしまい、あまり紹介できていませんでしたが、相変わらず面白いです。

今回のストーリーアーク「Death of a King」で特筆するべきは、その登場人物の多さと、「物語の着地地点」の見えなさ。
数々の登場人物が其々の思惑を胸に行動していくうちに、壮大な物語が紡がれていく様は、大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を思わせます。
(小説派の管理人的には「氷と炎の歌」や「七王国の玉座」って名前の方がしっくりくるのですが(笑))

米国のブログなどを見ていても同様の感想を抱く人は多いらしく、ジェフ・ジョーンズ本人も「映画化するなら『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいな雰囲気で」なんて語ったりしていますね。

というわけで、今回はアクアマンの最新のアーク「Death of a King」の登場人物を紹介することで、現在アクアマンが置かれた状況を整理させてもらいます。

【アトランティス陣営】

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アクアマン
言わずと知れたアトランティスの新王。地上世界との融和政策の一環として、先の戦争のどさくさで流出したアトランティスの超兵器の回収を指示する。
しかし、そんな彼の行動は、一部の国民の不満を招くこととなる。

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ムーク
先王オームの忠実な部下であった近衛兵の古兵。
アクアマンの王権を認めず、オームを再び王位につけることを画策している。
現在は、テュラ、スワットと共に地上世界へ侵入。ベル・ルーヴ超人刑務所に捉えられているオームの脱獄を狙う。

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テュラ
アトランティスの近衛兵にして先王オームの妹。
アトランティスの法を重んじ、アクアマンに忠実につかえていたが、
ムークにそそのかされ刑務所襲撃の企てに加わる。

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スワット
人里離れた海底で地上世界の研究を続ける隠者。(ステファン・シン教授の海底版!)
アトランティス人であるにもかかわらず水中で呼吸ができないため、常に専用の呼吸機具を身につけている。
地上への興味とムークの脅しにより、刑務所襲撃の案内役を務めることに。

【エグゼベル陣営】
エグゼベルとはバミューダ・トライアングルに存在するアトランティスとは異なる海底王国のこと。
遥かな昔にアトランティスと袂を分かち、独自の発展を遂げた。
彼らは「アトランティスはエグゼベルの敵であり、エグゼベルの破滅を狙っている」と思い込んでいる。
(しかし、アトランティスは彼らの存在を忘れ去っており、歴史書にも記載されていない。)

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ネルエウス
エグゼベルのリーダー。
エグゼベルの王女メラの不在の間、王女の許嫁(=次期王)として王国を治めていた。

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メラ
アクアマンの妻。元々はエグゼベルの王女であり、アトランティスの王であるアクアマンの暗殺をもくろみ彼に近づいたことが、2人の馴れ初めであることがこの度明かされた。
その出自ゆえアクアマンと共にアトランティスに帰還することができず、現在はを地上に残っている。

【その他の陣営】
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スカベンジャー
潜水艦隊を率いる海賊の首領。
アトランティスの武器流出事件の黒幕だが、彼の本当の目的はアトランティスそのもの。
卑劣な計略によりアトランティスの座標を手に入れ、遂に自慢の潜水艦隊でアトランティスへの侵攻を開始する。

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死せる王(The Dead King)
長い眠りから覚めた、アトランティスの初代国王。
アクアマンの三叉矛やオームの王錫など、アトランティスの神器の作製者。冷気を発し、周囲の物を氷漬けにする能力を持つ。
今のところ目的は不明だが、彼のみが知るアトランティス建国の謎が、今後の展開に大きく関わってくると予想。


以上、ざっと挙げただけですが、これだけのキャラクターが自由気ままに(物語としてのお約束を感じさせずに)動き回る様はなかなかに壮観です。
このまま上手く物語として着地できれば、歴史に残る傑作になりそうな予感がします。

【宣伝】
アクアマンのTPBは今のところ2巻まで発売。
何度か書いていますが、ジェフ・ジョーンズの作品は英語が本当に簡単なので、これから原書を読み始める人に強くお勧めします。


8月の翻訳はここら辺。今月末に期待の映画「マン・オブ・スティール」が公開されるだけあって、スーパーマン関連が充実しています。
「スーパーマン:ラスト・サン」は未読なのですが、ライターがジェフ・ジョーンズで映画にも登場するゾッド将軍がヴィランということで、管理人は非常に期待してます。
「スーパーマン:アクション・コミックス Vol.1」は、グラント・モリソンが携わったNew52のスーパーマン誕生譚ということで、これまたお勧め。(ルーサーが良いキャラしてるんだよね、これ)

Aquaman #9

アクアマン #9
(作:ジェフ・ジョーンズ、画:アイヴァン・レイス)

*****
遂にステファン・シンの口から、アーサー(アクアマン)、シン、ブラックマンタの過去の因縁が明かされる。

まだアーサーが幼かった頃、アーサーは成長するにつれ開花する自らの能力に怯え、次第に自己を否定するようになってゆく。息子のそんな様子を心配した父トーマスは、親交のあった海洋学者ステファン・シンに相談を持ちかける。

シンと共に自分の能力を体系的に調査&訓練をするアーサー。
やがて彼はシンに対して心を開くと同時に、自分の能力を”呪い”ではなく、”ギフト”としてポジティブにとらえ始め、幸せな少年期を過ごす。
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一方、アーサーに対して実の息子のような愛情を注ぐシンであったが、アーサーの能力を調査するうちに「自らの研究を学会に発表したい。」という、海洋学者としての欲求を募らせていく。
ついに自らの名誉欲に負け、アーサー達には無断で彼らの存在を世間に公表してしまうシン。

突如、世間の好奇の目に晒されたアーサー達はシンを恨み、人目を避けて郊外の灯台にこもる。
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一方で息子同様に接してきたアーサーを裏切ってまで行ったシンの発表も、学会では説得力に乏しい異端学説としてみなされ、シンは親友と職を同時に失ってしまう。

シンは自らの学説を学会に受け入れさせるためには、新たな証拠"アトランティス人の血液サンプル"を手に入れる必要があると判断。しかし、アーサーからの信頼を失ってしまったシンにはそれを平和裏に手に入れる術はもう残っていない。

功を焦ったシンは最期の手段として、凄腕のトレジャーハンターであるブラックマンタにアーサーの血液サンプルを入手するように依頼する。

「つまりは、ブラックマンタがアーサーの父を殺したのが、2人の因縁ということ?」
そこまでシンの告解を黙って聞いていた、メラはシンに問いただす。
メラの問いかけに、シンは答える。

「トーマスは、ブラックマンタの侵入にショックをうけ心臓の発作を起こし、3日後病院で死んだ。」
「つまり、厳密にはブランクマンタはトーマスを殺したとは言えない。」
「しかし怒りに駆られたアーサーはブラックマンタに復讐を行う。」
「アーサーの方こそがブラックマンタの父を殺害したんだ。」

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*****

うーんというわけで、明かされた3人の因縁。
いくら、父の死亡の原因を作ったからといって、お返しに相手の父親を殺しちゃうのはヒーローとしてはちょっとやり過ぎですよね。
どうも、アクアマンは父が死亡し、陸地での生活に背を向けていた間はずいぶんと荒れていたようです。
その間にアウトローズとしての活動や、アトランティスへの帰還、妻メラとの出会いなどがあったようなので、今後はそこら辺のドラマをを絡めつつ現代の話を進めるようです。

それにしてもアクアマンに限らず、ジェフ・ジョーンズのライティングは1話1話に、
 ・謎が明かされる驚き
 ・新たな謎による"引き"
 ・退屈な会話劇にならないためアクションシーン
がバランス良く盛り込まれていて、読んでいて楽しくかつ非常に先が気になります。
さすが、売れっ子ライターは違うといったところでしょうか?

【今月のお気に入り】
今月号でブラックマンタが襲撃したアウトローズのメンバー"プリズナー"ですが、非常にかっこいいです。
戦争(おそらくイラク戦争)で心に傷を負い戦傷者病院にこもる彼の生きがいは、なんと無言電話!!
戦死した戦友たちの認識表を首から下げ、彼らが思いを残した家族たちに夜な夜な無言電話をかけます。

彼の戦友たちに対する執着は強く、ひとたび戦いになれば、戦友たちの亡霊を背中にダブらせながら戦います。
(これが特殊能力なのか、心理描写なのかは判然としませんが、おそらく後者)
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うーん、かっこいい。おそらく来月号あたりでマンタに狩られて、その後出てこなくなると思うと残念ですね。
プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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