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ジミー・オルセン #1-2

ジミー・オルセン #1-2
(作:マット・フラクション、画:スティーブ・リーバー)

デイリープラネットの編集長ペリー・ホワイトは怒っていた。
同新聞のカメラマン、ジミー・オルセンがWeb動画のために行った体当たり企画による損害賠償額が、彼の我慢の限界を超えたのだ。
保険会社からの請求書をジミーに突きつけるペリー。
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ジミー:この"オルセン特約"ってなんなのさ?
ペリー:会社にお前がいることに対する、保険会社の上乗せ分だ!

ジミー:大げさだなぁ。いったい僕が何をしたって……
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ジミー:……

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ジミー:……まぁ確かに。


しかし、ペリーは保険会社からの請求金額にだけ目を奪われ、大事な数字を計算に入れていなかった。
新聞社という斜陽産業の中で、いまやジミーの動画による公告収入のみがデイリープラネット社の唯一の黒字事業であったのだ。
しかし、社会の木鐸として、これ以上ジミー・オルセンによるメトロポリスの破壊を看過しては置けないのもまた事実。

かくしてプラネット社の特派員となったジミーは、同社の収益を護るため、メトロポリス以外の別の街に特ダネを求めて旅立たせられたのだ!
*************

…という感じで始まった『ジミー・オルセン』誌。
マーベルの人気者ホークアイのそれほどスーパーではないヒーロー生活を描き一世を風靡した『ホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポン』のマット・フラクションが、スーパーマンの友人ジミー・オルセンの活躍を飄々とした雰囲気で描く本作。

「ジミーの命を狙う謎の存在」、「オルセン家とルーサー家の西部開拓時代から続く確執」など、気になる要素はありながらも、ひとまずはそのオフビートなジョークだけでも楽しめる快作となっています。

今回はそんな中から気に入ったシーンをいくつか紹介。

【対策会議】
ジミー・オルセンによる破壊を止めるべく対策会議を開く、デイリープラネット。
同社の現在の社主であるミス・レオーネ(その正体はスーパーマンさえその存在を知らないメロトロポリスの裏の主"見えないマフィア"のボス)は、クラーク・ケントに語り掛ける。

ミス・レオーネ:ケント。ジミーがやり過ぎないように、あなたが見張ってればいいんじゃない?
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クラーク・ケント:おや大変。そんな難業は、スーパーマンでも呼ばないとね。

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ミス・レオーネ:…あっそ



【スーパーマンの新能力】
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メトロポリスを去る前夜。ジミーの"親友"であるスーパーマンは、メトロポリスの摩天楼の上で、自分の隠された秘密の能力を打ち明ける…

ジミー:すごい!特ダネじゃないか!
スーパーマン:じゃあいくよ。

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親指がこう曲がる。
ジミー:スーパー柔軟性か…続けて。


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スーパーマン:お願いすれば、たいていホットドッグを奢ってもらえる。

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スーパーマン:カツラが似合わない。

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スーパーマン:あなたの選んだカードはこれですね!

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スーパーマン:あれ?じゃあこれかな?



【最後の別れ】
そうして訪れた別れの瞬間。スーパーマンはジミーを引き留める。

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スーパーマン:やっぱり君はプラネットに必要な人間じゃないかな?
ジミー:いいよいいよ、ペリーの言うことは正しい。所詮僕は馬鹿げたことをしてるのがお似合いなのさ。
スーパーマン:そんなこと、今までだって……

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スーパーマン:……

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スーパーマン:……寂しくなるね


【宣伝(使いまわし)】

まずは個人的にうれしいのが、"ヒーローたちのメンタルヘルス"というアメコミのタブーを扱った名作『ヒーローズ・イン・クライシス』の翻訳決定。
個人的には今年のベストに上げたい作品ですので、未読の方は是非。
同じ作者が手掛けているバットマン誌も順調に翻訳が継続。
遂に中盤の山場ともいえる『バットマン:ウェディング』までが刊行リストに載りました。

そして、ジョーカー殺害の謎を前に、バットマンとジョン・コンスタンティンが手を組む読み切り作『バットマン:ダムド』の刊行も発表。
(ちなみにリー・ベルメホ先生の筆が滑ってバットマンのxxxが描かれてしまったことで有名な本作ですが、おそらく今回の翻訳は修正版となると思われます……残念です。)



そしてこれまた嬉しいニュースが、角川のアメコミ翻訳参入。
不動の人気を誇るTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の各種コミカライズ作品を、TRPGのシナリオ付きという面白い形態で刊行するとのこと。個人的には非常に評判の高い『バルダーズゲートの伝説』から読み始めてみようかと思っています。



また最後にぜひ皆さんに紹介したいのが、管理人の大好きな『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック インフォグラフィックで拡がる 海外コミックの世界』の翻訳決定!

「5人のロビンの在任期間」、「バットマンのテーマの歌詞における"Da!"と"バットマ~ン♪"の割合」、「パニッシャーが悪人を前にした時のフローチャート」など、アメコミ界の様々なデータをインフォグラフィックの手法で提示する愉快な統計集です。
疲れた時に拾い読みするだけでも楽しめる管理人の愛読書なので、未読の方は是非!
また、同じ出版社から『ジャック・カービー アメコミの"キング"と呼ばれた男』の翻訳も決定。
こちらは、マーベルとDCを股にかけ、今日のヒーローユニバースの礎を築いたアメコミ界の"キング"ジャック・カービーの伝記となります。
伝記と言いながらも、当時のコミックやラフスケッチを多数収録したヴィジュアル的にも見どころの多い本のようなので、こちらも楽しみです。
ついでにスタン・リーの伝記も読んで、皆さんも「スタンとキング、マーベルユニバースを真に生み出したといえるのはどちらなのか」という、マニアたちの不毛な百年戦争に参加しましょう!(笑)


スーパーマン#14-15(または最近のジョン・ケント)

スーパーマン#14-15
(作:ブライアン・M・ベンディス、画:アイヴァン・レイス)

惑星クリプトンの跡地で繰り広げられたロゴル・ザーとの最終決戦。
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クリプトン星の破壊者であるロゴル・ザーと対峙したのは、スーパーマン、ジョン・ケント、Mr.オズ(スーパーマンの父ジョー・エル)、スーパーガール、名犬クリプト、すなわちエル家の生き残り全員であった。

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途中、エル家の仇敵ながら誰よりもクリプトンに忠誠を誓った男ゾッド将軍の加勢により、クリプトン人最後の抵抗ともいえる闘いは、スーパーマンたちの勝利に終わる。

しかし、全ての問題がそれで解決したわけではなかった。

Mr.オズの行いにより、銀河は全星間国家による戦争が勃発する間際となっていたのだ。
各国の首脳陣が集まり互いに挑発を繰り返す中、彼らを説得しようとするスーパーマンは、直前に息子が思いついた単純なアイデアを披露する。

スーパーマン:…つまりは、何か問題が起こった場合は、国の代表たちが対等な立場で話し合いで解決するんです。
ジョン:これって僕の故郷では国連とかって呼んでるんだけど……誰か加盟しない?

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あまりにも素朴で、あまりにも夢想的なその提案に、絶句する各文明の首脳たち。
その気まずい沈黙は、意外な形で破られた。

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サターンガール:こんにちは!私たちリージョン・オブ・スーパーヒーローズです。
この記念すべき日を祝うために、31世紀からやってきました
コズミックボーイ:皆さんの決断が、銀河を救ったんです。今日この日は、"連盟の日"として広く銀河に知られることとなります。

突然の能天気な闖入者に唖然とする一同。
初めに事態を把握したジョンは、恐る恐る口を開く。

ジョン:…もしかして少し来るのが早かったんじゃない?
君たちがもう起こったと言ってることは、まだちっとも起こってないんだけど…


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サターンガール:ちょっとどうなってるのブレイニアック5?
ウルトラボーイ:早すぎたって言ってるぞ?
ブレイニアック5:少しだけだって!
サターンガール:もしかして出直した方がいいじゃない?
ブレイニアック5:でも、もうこうして会っちゃったし…



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タマラン人代表:…つまりは、銀河連盟は成功するということか?
ドミネーター代表:それも今から1000年経ったあとでも。

呆気に取られた各国首脳陣であったが、彼らの登場が意味することを知ると、態度を一変。
我先にと、銀河連盟への加盟を表明していく。

この瞬間、未来からの使者たち、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの言葉は真実となった。
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有史以来初めて銀河は1つとなったのだ!

銀河連盟の誕生を見届けたリージョンは、スーパーマンたちを振り返り、彼らが現代にやってきたもう一つの要件を切り出す。

サターンガール:"連盟の日"を称えるために一番良い方法。それはこの時代と我々の時代が互いの事を学びあうことだと、私たちは確信しています。
そこであなたには、ぜひ我々と一緒に31世紀に来ていただきたいのですが…

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スーパーマン:君たちに加わる!?
お気持ちは嬉しいが、私にはこの時代でやるべきことが…

ウルトラボーイ:あの…気を悪くしないでください。彼女はあなたを誘ったんじゃないんです。
サターンガール:ジョン・ケント、銀河連盟の発案者…リージョンにあなたをお迎えできれば、これ以上光栄なことはありません。

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ジョン:ぼく!?

******************************
ということで、今回はいつの間にかハイティーンに成長してしまったジョンくんの状況を紹介してみました。

この後で、ジョンくんはリージョン参加を決心。
成長後に一度も会っていなかった相棒のダミアンとの別れをすませ未来へと旅立ち、
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(『スーパーマン#16』より。めちゃくちゃエモい話なので、ぜひ!)

1人の不死者の視線で語られるDC世界の一大未来史である『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ:ミレニア』のラストでは、
31世紀にやってきた瞬間の様子を見ることが出来ます。
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ちなみに、ベンディスのインタビューによれば、これから始まる『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』誌は、数少ない例外を除いてタイムトリップは行わず、31世紀の未来でのみ物語を展開するそうです。
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(ちなみにその"数少ない例外"がこれ。やっぱり来るのかよ!)

管理人はリージョンについては全く知らず、正直今回のブログも検索を駆使しながら各キャラの名前を調べたような状態なのですが、これを機に読んでみることにします。

【宣伝】
今回、ぜひとも紹介したいのが『アメコミ・ヒーロー スーパーグラフィック インフォグラフィックで拡がる 海外コミックの世界』。
その名の通り、「ワンダーウーマンのコスチュームの変遷と太ももの露出度」、「『バットマンのテーマ』における"Da!"と"バットマ~ン♪"の割合図」、「ヒーローたちの政治信条分布図」などアメコミに関する面白い統計をインフォグラフィック形式でまとめた図録集です。
たまたま存在を知って購入して以来、密かに翻訳されないかと思っていた管理人の愛読書が遂に翻訳!
続いて翻訳が決定したのが、『ウィンターソルジャー:セカンド・チャンス』。人気者ウィンターソルジャーを主人公とした個人誌ですが、特筆すべきはその翻訳スピード。
本国での単行本発売から殆ど間を置かずの発売です。このブログで繰り返し書いていますが、本当にいい時代です。
またトランスフォーマーのサムライ、ドリフトの個人誌『トランスフォーマー:ドリフト』も翻訳決定。管理人はトランスフォーマーは門外漢ですが、これまた翻訳が盛り上がってますね。


またDCでは、歴史に残る名作となりそうなトム・キングのバットマンの中盤の山場、『バットマン:ウェディング』の翻訳が決定。業界を揺るがした結婚回ですよ!
また、来年のクライシス級の大型イベントに向けて加速を始めたスコット・スナイダーのジャスティスリーグの2巻目にあたる『ジャスティス・リーグ:グレイブヤード・オブ・ゴッズ』も翻訳決定。噂に上り始めた2020年のDCの大型リランチに直接続いていきそうなタイトルということで、こちらもお勧めです。

スーパーサンズ #1

スーパーサンズ #1
(作:ピーター・J・トマシ、画:ジョージ・ヒメネス)

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本作については「"スーパーマンの息子"ジョン・ケントと、"バットマンの息子"ダミアン・ウェインがコンビを組む」という粗筋だけで、もう他に言うことなし!
というわけで、今回は気に入ったシーンの紹介のみで。

【まずは顔見世】
どこかの森の中で謎の敵に追われる2人の少年。

ジョン:君のせいだぞ!
ダミアン:全部知ったうえで参加することを決めたのはオマエだ。
ジョン:君がウソをついて巻き込んだんだ!
ダミアン:ウソじゃない。全てを話さなかっただけだ。・・・もういい、逃げるのは止めだ。ここからは…

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ロビンとスーパーボーイの力を見せてやる!


ジョン:なんでキミの名前が先なんだよ。
ダミアン:年上だからな
ジョン:背は僕の方が高い
ダミアン:黙れ



【スーパーボーイ、ジョン・ケント】
メトロポリス郊外ののどかな田舎町、ハミルトンシティにて理想的な少年時代をおくるジョン・ケント。
小学校に向かうスクールバスで、いつも通り幼馴染のキャシーの隣に座るジョン。
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しかし、そんなジョンの目に入ったのは、クラスメイトをイジメる悪ガキの姿。

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キャシー:ジョン、座ってた方がいいんじゃ…
ジョン:ダメだよ、あんなの見て黙ってられないよ。

父親譲りの正義感の持ち主のジョンくん、いい子に育ってます。
(余談ですが、まるで少年漫画の正統派ヒロインのようなキャシーですが、最近の『スーパーマン』誌ではあんなことやこんなことに…)

【ダミアン先生】
学校内で自分を見張る怪しい男に気が付くジョン。
その男の正体はジョンの学校に赴任してきた先生…の皮をかぶったダミアンであった!

ジョン:なんてこった!君は13歳のくせに全校生徒に地球科学を教えるふりをしてたの?
ダミアン:"ふり"なんかじゃない、馬鹿にしてるのか。俺は7歳のころに地質学の博士号を取りかけてた。
ジョン:なんで取らなかったの?
ダミアン:お袋が途中で俺の教授を殺して、海に捨てたからな。

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ジョン:はは!先生を殺す、そいつはいいね。
(冗談だと思ってる)
ダミアン:…
ジョン:……う、運転は何歳から?


【チームアップ!】
何だかんだで、ダミアンの挑発に乗せられて、ダミアンの"ヒーロー活動"の調査を手伝わせる羽目になったジョン。
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その目的地は、メトロポリスのレックスコープ本社。
そしてレックスコープといえば当然現れるのは…
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というわけで、始まった『スーパー・サンズ』誌。
実はタイトルの発表からなかなか実際の発売日が決まらなかった本作ですが、『スーパーマン#10』にて本作に先んじてジョンとダミアンの活躍を描いたピーター・J・トマシが担当。

そのおかげもあってか、ご覧の通り、DCの未来を担う少年二人の掛け合いが非常に楽しい「DC世界に希望と楽観主義を復活させる」といDCリバースのコンセプトを体現するような娯楽作に仕上がっています。
個人的には、翻訳されたら人気が出ること間違いなしの作品だと思っていますので、皆さんも是非出版社に邦訳希望を!

【宣伝】
遂に2016年のアメコミシーンを話題をさらった"Game Changer"である『DCユニバース:リバース』の予約が開始!
当ブログではこの作品の素晴らしさについて何度も買ったてきましたので、いまさら紹介は良いでしょう。
未読の方はぜひ本作を読んで、自分同様、その素晴らしさに度肝を抜かれてください!
そしてここから始まるDCの新展開DCリバースのトップバッターとなるのが『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』と『ワンダーウーマン:ザ・ライズ』。
前者は今回の記事でも紹介したフラッシュポイント以前のDC世界からやってきたスーパーマンとその息子の活躍を描き、
後者は過去編と現代編が交互に刊行されるという変則的な発刊スタイルをとったワンダーウーマン誌の現代編となります。



また映画の公開をまじかに控えたワンダーウーマンについては他にも翻訳本が発売予定。
『ワンダーウーマン アンソロジー』は往年の名作から最新作までワンダーウーマンの様々なストーリーを集めた傑作選で、75年を超えるその歴史の中で常に"業界を代表する女性ヒーロー"としての座を守り続けてきたワンダーウーマンの歴史そのものを楽しむことができる作品です。
続く『ワンダーウーマン:ベストバウト』、ワンダーウーマンと様々なヒーロー/ヴィランの戦いを集めたアンソロジー集。
こちらはお手頃な値段が魅力ですね。
そして映画が近いといえばスパイダーマン!
こちらの方も、映画に合わせてピーターの学生時代の活躍を描いた『スパイディ:ファースト・デイ』が早くも翻訳です。


プロフィール

NOB-BON

Author:NOB-BON
X-men生まれSpawn育ちを地でいく、90年代アメコミバブルの残党。
しばらくの間、アメコミは翻訳本を買う程度だったのが、最近のデジタルコミックの手軽さにひかれ、本格的に復活しました。

基本的にMarvelメインですが、DCのリランチを機に自分の中でDCブームが来てるので、しばらくはDCの話題続くかも。
しばらくどころか完全にDC派に転びました。

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